- TOP
- ≫ メッセージ
会計実務家コラム
会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
田原中男氏の尖った提案
*毎週の連載から不定期での連載に変更となりました。
2024/10/17 その447 久しぶりにコメントを書きました
次回では総選挙の結果が出てここに書いてあることがどうであったか明確になっていることでしょうが現状についてのコメントと考えてください。
総裁選前には人気の高かった石破さんですが総裁就任後の言動は二歩も三歩も後退した感じは否めません、まさにそのことを多くのメディアやコメンテーターが指摘しています。しかし冷静に考えると次のような理由が考えられ真の姿は総選挙後になるでしょう。ただし、選挙結果によっては混乱も予想されます。
まずは現状分析から
1)世論調査の結果と異なり高市さんとの差が僅か20票であった。世論調査では石破、小泉が抜け出し高市は引き離された3位であった。
2)安倍派の影響力が総裁選後も残っている。安倍亡き後の安倍派とは何なのか、いまだに明確な後継者はいないのに安倍派という名称が一人歩きしていて裏にどんな人物がいるのか?
3)世の中は(裏金問題)で大騒ぎしているがその本質は何か?何故、選挙に金がかかるのかが本質的な問題。
これらを踏まえて謎解きをしてみたい。
田中真紀子さんがよく言うように地元後援会やその関係者からの(金よこせ)を断ったら落選したと言うことにヒントがあります。
議員本人の資質や主張よりも地元後援会の意向が色濃く反映されている政治の世界ということで、これでは後援会や地元の地方議員への資金援助などお金がいくらあっても足りないでしょう。2世、3世議員が多いのは本人よりも後援会が力を持っていることの証です。
後援会にとってみると2世、3世議員は扱いやすく地元の言うことを聞かざるを得ない状況に追い込んでかなり自由に遠隔操作ができると言うことになり、世論調査と総裁選の結果が大きく異なるのは自民党の組織のあり方そのものが旧態依然とした状況にあることの裏返しでしょう。
それでは地元後援会とはどんな組織なのでしょうか?
地元の有力者の集まりで特定郵便局長、農協役員、中小土建業の経営者等が典型的な姿ではないでしょうか。
これらの人は必ずしも(保守的な思考)を持つわけではありませんが(現状維持)が絶対的な心情になっています、つまり現状の権益を死守すると言うことでたまたまそれらの土台の上にいる政権幹部が保守的な思想であれば全体として保守に傾いてしまうわけです。
メディア等では盛んに(裏金問題)と言いますが裏金の使途と何故それが必要かという視点での解説はほとんどありませんが、多分事実は上記のような岩盤地盤の維持に必要な資金ということになるのでしょう。
もう一つ(謎の安倍派)について考えてみるとその裏側にいる(実力者)の姿が浮かび上がってきます、つまり森、麻生、菅というかつての首相経験者が引退せず裏で糸を引いている構図が見えてきます。一般的には首相経験者は引退若しくは長老としての象徴的存在であるべきなのに裏で糸を引く黒幕になってしまっています。
例外は小泉純一郎で見事に政界からも引退し、まさに(飛ぶ鳥跡を汚さず)で見事なものです。
因みに上記3名はいずれも首相在任が短期でしかも在任中の人気の低い首相だったのも共通点で何かを示唆しているのかもしれません。
つまり首相としては短期で(レガシー)も残せなかったので政界ボスとして君臨したいということなのでしょうか。
これらを考慮しながら石破首相の戦略を考えると
1)安倍派の影響力を極力削ぐ
2)これによって裏に構えるボスからも自立できる
3)このような体制ができて初めて自分の考える政策が実行できるようになる
このように考えると公認問題は裏金議員の処遇ではなく安倍は幹部の排除が主目的、それではないか、それは同時に裏のボスの影響力の排除にも繋がります。
本当の意味での(裏金問題)は前に書いたように旧態依然とした自民党の地方組織のあり方の抜本的な改革がない限り解決しないし、また国民が真に求める政治のあり方への改革はできないでしょう。
一例を挙げると選択的夫婦別称問題です。国民の意見は圧倒的に賛成ですが政治の世界では鈍い動きでしかありません。
政治家や政党が国民を代表するのであれば真っ先に進めるべき問題なのでしょうが自民党の基盤である地方のボス(地元後援会)が反対しているために進められずにいるのです。
野党も自民党の票を奪うのではなく4割以上ある無投票層の半分でも掘り起こして得票できれば大きく状況は変化するでしょう。しかし野党も立憲と国民は支持母体の総評の意見の違いで協力関係を築けず、こちらも組織率が2割を切っている労組頼みでは将来性は全くありません。労組を断ち切ってでも新しい将来像を示せば中間層の多くを取り込めることは間違いありませんが、それもできない状況で50年前の状況から抜け出せないでいますので全く魅力がないということでしょう。
野党についてもう一つ言及すれば、保守vs革新という構図ではなく野党そのものが限りなく(保守的)だということです。
○○を守る という言い方は現状を変えないという至って保守的な主張です。
一方の自民党はその基盤が現状維持を望む勢力だとしても(彼らに影響のないエリアでは)変革を主張しています。
つまり政策面では保守と革新が入れ替わっていますのでわかりにくい構図でもあり、また野党が政治の表舞台に出る確率は低くなります。何故ならば国民の大多数は変革を望んでいるからです。
原発反対、平和憲法を守れ よりは 生活の質の向上(保育園の充実やパート従業員の待遇改善、103万円, 130万円という年収の壁の改善)を望んでいるのでどちらの党がより実現可能性が高いかを考慮しています。その意味では野党は国民の期待に応えていないので労組の組織率を超える得票を得ることができないでいます。
せめて色々なことを考慮して投票したいものです。
2024/10/17 その447 久しぶりにコメントを書きました
次回では総選挙の結果が出てここに書いてあることがどうであったか明確になっていることでしょうが現状についてのコメントと考えてください。
総裁選前には人気の高かった石破さんですが総裁就任後の言動は二歩も三歩も後退した感じは否めません、まさにそのことを多くのメディアやコメンテーターが指摘しています。しかし冷静に考えると次のような理由が考えられ真の姿は総選挙後になるでしょう。ただし、選挙結果によっては混乱も予想されます。
まずは現状分析から
1)世論調査の結果と異なり高市さんとの差が僅か20票であった。世論調査では石破、小泉が抜け出し高市は引き離された3位であった。
2)安倍派の影響力が総裁選後も残っている。安倍亡き後の安倍派とは何なのか、いまだに明確な後継者はいないのに安倍派という名称が一人歩きしていて裏にどんな人物がいるのか?
3)世の中は(裏金問題)で大騒ぎしているがその本質は何か?何故、選挙に金がかかるのかが本質的な問題。
これらを踏まえて謎解きをしてみたい。
田中真紀子さんがよく言うように地元後援会やその関係者からの(金よこせ)を断ったら落選したと言うことにヒントがあります。
議員本人の資質や主張よりも地元後援会の意向が色濃く反映されている政治の世界ということで、これでは後援会や地元の地方議員への資金援助などお金がいくらあっても足りないでしょう。2世、3世議員が多いのは本人よりも後援会が力を持っていることの証です。
後援会にとってみると2世、3世議員は扱いやすく地元の言うことを聞かざるを得ない状況に追い込んでかなり自由に遠隔操作ができると言うことになり、世論調査と総裁選の結果が大きく異なるのは自民党の組織のあり方そのものが旧態依然とした状況にあることの裏返しでしょう。
それでは地元後援会とはどんな組織なのでしょうか?
地元の有力者の集まりで特定郵便局長、農協役員、中小土建業の経営者等が典型的な姿ではないでしょうか。
これらの人は必ずしも(保守的な思考)を持つわけではありませんが(現状維持)が絶対的な心情になっています、つまり現状の権益を死守すると言うことでたまたまそれらの土台の上にいる政権幹部が保守的な思想であれば全体として保守に傾いてしまうわけです。
メディア等では盛んに(裏金問題)と言いますが裏金の使途と何故それが必要かという視点での解説はほとんどありませんが、多分事実は上記のような岩盤地盤の維持に必要な資金ということになるのでしょう。
もう一つ(謎の安倍派)について考えてみるとその裏側にいる(実力者)の姿が浮かび上がってきます、つまり森、麻生、菅というかつての首相経験者が引退せず裏で糸を引いている構図が見えてきます。一般的には首相経験者は引退若しくは長老としての象徴的存在であるべきなのに裏で糸を引く黒幕になってしまっています。
例外は小泉純一郎で見事に政界からも引退し、まさに(飛ぶ鳥跡を汚さず)で見事なものです。
因みに上記3名はいずれも首相在任が短期でしかも在任中の人気の低い首相だったのも共通点で何かを示唆しているのかもしれません。
つまり首相としては短期で(レガシー)も残せなかったので政界ボスとして君臨したいということなのでしょうか。
これらを考慮しながら石破首相の戦略を考えると
1)安倍派の影響力を極力削ぐ
2)これによって裏に構えるボスからも自立できる
3)このような体制ができて初めて自分の考える政策が実行できるようになる
このように考えると公認問題は裏金議員の処遇ではなく安倍は幹部の排除が主目的、それではないか、それは同時に裏のボスの影響力の排除にも繋がります。
本当の意味での(裏金問題)は前に書いたように旧態依然とした自民党の地方組織のあり方の抜本的な改革がない限り解決しないし、また国民が真に求める政治のあり方への改革はできないでしょう。
一例を挙げると選択的夫婦別称問題です。国民の意見は圧倒的に賛成ですが政治の世界では鈍い動きでしかありません。
政治家や政党が国民を代表するのであれば真っ先に進めるべき問題なのでしょうが自民党の基盤である地方のボス(地元後援会)が反対しているために進められずにいるのです。
野党も自民党の票を奪うのではなく4割以上ある無投票層の半分でも掘り起こして得票できれば大きく状況は変化するでしょう。しかし野党も立憲と国民は支持母体の総評の意見の違いで協力関係を築けず、こちらも組織率が2割を切っている労組頼みでは将来性は全くありません。労組を断ち切ってでも新しい将来像を示せば中間層の多くを取り込めることは間違いありませんが、それもできない状況で50年前の状況から抜け出せないでいますので全く魅力がないということでしょう。
野党についてもう一つ言及すれば、保守vs革新という構図ではなく野党そのものが限りなく(保守的)だということです。
○○を守る という言い方は現状を変えないという至って保守的な主張です。
一方の自民党はその基盤が現状維持を望む勢力だとしても(彼らに影響のないエリアでは)変革を主張しています。
つまり政策面では保守と革新が入れ替わっていますのでわかりにくい構図でもあり、また野党が政治の表舞台に出る確率は低くなります。何故ならば国民の大多数は変革を望んでいるからです。
原発反対、平和憲法を守れ よりは 生活の質の向上(保育園の充実やパート従業員の待遇改善、103万円, 130万円という年収の壁の改善)を望んでいるのでどちらの党がより実現可能性が高いかを考慮しています。その意味では野党は国民の期待に応えていないので労組の組織率を超える得票を得ることができないでいます。
せめて色々なことを考慮して投票したいものです。
コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏
1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ(http://www.bmd-r.com)代表
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ(http://www.bmd-r.com)代表
田原中男氏の尖った提案 バックナンバー
バックナンバーは下記URLよりご覧下さい。
BMDリサーチ http://www.bmd-r.com
BMDリサーチ http://www.bmd-r.com