• TOP
  • ≫ メッセージ

会計実務家コラム

会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。

田原中男氏の尖った提案

2022/02/17 その346 消化不良のジョブ型雇用、職務記述書

組織や組織運営の方法を変えないで雇用契約の形態だけを変えても意味がありません。綺麗事を言っていますが、本音は賃金構造を変え総労働費を下げたいという本音が透けて見えます。これまでの経営の怠慢、管理職、組織改革をほったらかしにして賃金抑制のみしかやってこなかった反省と経営者の自己改革が全く見えてきません。JOB型雇用そのものには反対しませんが先ずは経営者改革、管理者改革とそのための再教育、場合によっては経営陣の抜本的な入れ替えが先決でしょう。そうであれば働く側も本気になって改革を受け入れるでしょう。

『先ず隗より始めよ』

ジョブ型と言われる組織運営はまず組織の設計図があり、そのピースを埋めるための役割が職務記述書であり、要求される能力を持つ人材を当てはめる。だから、組織の要求が変化すれば職務も変化し対応できる人材は組織と共に成長し、対応できなければ社内外から適任者を探して交代させる事になります。

ここで重要なのは課長、部長、役員といった責任者が組織設計を行い、必要な職務能力(スキル)を決定しメンバーに要求される職務と期待値を提示し、適宜進捗を管理し、評価することにあります。単に職務記述書がありその実践を各個人に任せるのではありません。責任者による目標提示と目標達成時期の提示に加え適時評価と指導が必要になりますが、果たしてお神輿経営をしてきた管理者が突然このような変化に対応できるのでしょうか。またジョブ型の職務記述書が書けるのでしょうか?

ほとんどの企業では職務記述書が無い、あるいはあっても抽象的な記述であるばかりでなく実際の業務は記述書から離れている場合が多いのです。ごく少数役所や一部重厚長大企業には見られますが「お役所仕事」とも揶揄されるように頑なにルールを守るだけで組織としてのダイナミズムはありません。

日本企業はこのような管理者育成をしてきたのでしょうか。この反省なくジョブ型を唱えるのは単なる責任放棄に過ぎません。更に、ジョブ型が機能するためには少数のエリートと多数のもの言わない子羊が必要で、果たして日本の社会に受け入れられるのでしょうか。

コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏

1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。

田原中男氏の尖った提案 バックナンバー

2022.02.15 その345 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 無意識に存在する身分制度
2022.02.14 その344 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 今年の10年予測
2022.02.09 その343 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 知識の勝負から判断の時代へ
2022.02.08 その342 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 大阪の維新派なぜ強い
2022.02.07 その341 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 恥ずかしい日本
2022.02.04 その340 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 危険なほど内向きな日本
2022.01.31 その339 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 驚きとは
2022.01.26 その338 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 眞鍋さんのコメント
2022.01.19 その337 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 中国のGDPはアメリカを抜くのか?
2022.01.19 その336 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 再び:政治にマーケッティングを(2)
2022.01.18 その335 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 再び:政治にマーケッティングを(1)
2022.01.17 その334 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 コミュニケーションとは
2022.01.14 その333 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 選挙の争点は?
2022.01.13 その332 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 貧乏な国、日本を救う道
2022.01.12 その331 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 日本は貧乏な国という自覚を持とう
2022.01.11 その330 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 柔らかい個人主義の誕生を読む その4
2022.01.07 その329 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 柔らかい個人主義の誕生を読む その3
2021.12.27 その328 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 柔らかい個人主義の誕生を読む その2
2021.12.24 その327 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 柔らかい個人主義の誕生を読む その1
2021.12.23 その326 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 ソフトパワーが日本の生きる道
2021.12.21 その325 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 明るい話題
2021.12.13 その324 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 驚、喜/怒、伝/諦、無関心
2021.12.07 その323 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 此処にも『まるドメ』
2021.10.05 その322 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 自由・人権・都市
2021.09.14 その321 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 教育は何のためにあるのか
2021.09.07 その320 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 日本にある偏見の元凶
2021.08.26 その319 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 みずほ銀行の体質
2021.07.29 その318 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 手上げ横断の復活?
2021.07.27 その317 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案 マイナンバーとマイナンバーカードの不思議
2021.07.15 その316 FiReL:有勇自提起(悠々自適)な生活からの提案
2021.07.13 その315 フローチャートの描ける人、描けない人
2021.07.06 その314 So what? Therefore
2021.07.05 その313 デジタル教育
2021.06.24 その312 野党の主張
2021.06.16 その311 予言と予測
2021.06.14 その310 デジタル庁の初仕事
2021.06.08 その309 利己的な日本
2021.05.24 その308 政権の最終局面で危機を迎える国民の悲劇
2021.05.19 その307 猿真似とアイデア拝借
2021.05.11 その306 福島原発の汚染水処理に思う
2021.04.26 その305 大本営発表
2021.04.15 その304 市松会
2021.04.08 その303 野党慣れした野党
2021.04.05 その302 政治はマーケッティング
2021.03.26 その301 日本翻訳に隠された真実
2021.03.18 その300 日本人の繊細な感情はどこへ行ったのか?
2021.03.15 その299 株高 投信 ETF買い
2021.03.12 その298 報道の自由とその背景にあるもの
2021.03.10 その297 内からの眼、外からの眼
2021.03.08 その296 そろそろ宴会政治からの脱却を
2021.02.22 その295 BLM、トランプ、階級社会
2021.02.18 その294 マスクで表情が消える?
2021.01.19 その293 唐鳳・デジタル担当政務委員
2021.01.28 その292 2021年を展望する
2021.01.21 その291 言葉の重みについて
2021.01.14 その290 コロナに始まりコロナで終わった2020年の意味を考えてみる
2021.01.13 その289 携帯電話料金
2021.01.12 その288 デジタル化は言葉の定義とデータ共通化
2021.01.08 その287 本質を捉える知
2020.12.28 その286 田植え理論
2020.12.15 その285 日本版“緑の党”は可能か?
2020.11.11 その284 予見力と決断力
2020.11.17 その283 丁寧に説明するとはどういうこと?
2020.11.13 その282 本質は何か?を問う大切さ
2020.11.09 その281 “覆水盆に返らず” は死語?
2020.10.27 その280 明治23年を超えられない
2020.10.22 その279 勘違いでなく統治の不備?
2020.10.20 その278 何か勘違いしていませんか?
2020.10.07 その277 日本の停滞はインテリが闘わなくなったから
2020.10.05 その276 何か間違っていませんか?
2020.10.02 その275 天上がりとJOB型雇用
2020.09.28 その274 選挙とは
2020.09.18 その273 改めて終戦の日を思う
2020.09.17 その272 政治は腹芸ではない
2020.09.04 その271 3回目の四半世紀
2020.09.04 その270 JRの切符は何故1ヶ月前からしか買えないのか?
2020.08.24 その269 ルールは運用次第で活きもすれば死にもする
2020.08.18 その268 誰も報道しない世論調査結果
2020.08.17 その267 全員が感染経路不明者ではないの?
2020.07.29 その266 富士通の制度改善
2020.07.15 その265 かんぽの不当販売
2020.07.03 その263 アル・カポネ、禁酒法、個人情報
2020.07.03 その262 Black Lives Matter
2020.06.08 その261 数字で見えてくる世界
2020.06.08 その260 体調が悪かったらどこへ行く 保健所?
2020.05.26 その259 信条と信念 
2020.05.25 その258 個人の力が再び求められている 
2020.05.18 その257 リモート教育
2020.05.11 その256 禅問答で鍛えられた合理的思考
2020.05.01 その255 発言が無いのはどうしたことか
2020.04.20 その254 指導者に求められること
2020.04.20 その253 決断力
2020.04.16 その252 リスクは誰が負うのか 
2020.04.15 その251 警察組織にみる彼我の差 
2020.04.09 その250 日本型 緑の党 
2020.04.08 その249 不安解消には具体的な情報公開を
2020.03.26 その248 新型コロナウイルスに対して その2
2020.03.11 その247 民主主義とは
2020.02.17 その246 ボケの防止は定年退職前から
2020.02.17 その245 新型コロナウイルス肺炎対応の混乱
2020.02.17 その244 マニュアルは絶対か?
2020.02.06 その243 Stay where you are
2020.01.29 その242 孤立していることを知らない怖さと安心
2020.01.20 その241 郵便のユニバーサルサービス
2020.01.16 その240 正論
2020.01.06 その239 
あけましておめでとうございます。毎週、世の中の出来事で “これ変ですね” と思われることを掲載していましたが今年は一念発起、北海道に引っ越し、豊かな自然の中でのんびりと暮らすことにいたしました。
2020.12.25 その238 規制と責任回避は果てしなく続く
2019.12.16 その237 専門家とは
2019.12.09 その236 歳を取ると何もできなくなるという現実
2019.12.04 その235 歳を取ると何故一年が早く過ぎるのか
2019.11.27 その234 世界で孤立する日本の将来は?
2019.11.25 その233 茹で上がりつつある茹でガエル
2019.11.18 その232 瓢箪から駒で世界の潮流が変わる
2019.11.12 その231 大学入試の英語試験を考える
2019.11.08 その230 ポリティカルシミュレーション
2019.10.28 その229 ラグビーワールドカップ
2019.10.16 その228 何故、企業に余剰資金があるのか 
2019.10.09 その227 道徳教育は必要だ
2019.09.30 その226 責任と結果責任
2019.09.25 その225 携帯料金と災害とどちらが大切?
2019.09.17 その224 いつまで札束の上に寝ていられるのか?
2019.09.17 その223 魔女はいたのか?
2019.09.05 その222 マネジメントとは
2019.09.05 その221 内定辞退率を購入? 販売?
2019.08.15 その220 終戦の日を迎えて
2019.08.08 その219 英語教育の重要性
2019.08.06 その218 常識はずれの発想に突破口はある
2019.07.30 その217 日本企業はどこで間違ったのか その2
2019.07.22 その216 日本企業はどこで間違ったのか
2019.07.19 その215 事実は一つでも真実は二つ?
2019.07.05 その214 第2の鎖国
2019.07.05 その213 不思議な国 日本 その2
2019.06.25 その212 亡国の政治
2019.06.14 その211 無党派層は無関心層ではない
2019.06.11 その210 奈良公園の鹿
2019.06.04 その209 東大卒が日本をダメにする その2
2019.05.20 その208 高いエンゲル係数が貧困を生む
2019.05.20 その207 新天皇、新元号、新内閣?
2019.05.10 その206 民主主義の基本
2019.05.08 その205 10連休対策?
2019.04.22 その204 ピクトグラム
2019.04.15 その203 対症療法では根本的な解決はできない
2019.04.08 その202 企業利益は最高、しかし景気回復の実感がないのは何故?
2019.04.02 その201 企業統治に一貫性が必要
2019.04.01 その200 大学の授業を英語に
2019.03.19 その199 女性の活躍度は世界最低レベル
2019.03.18 その198 言葉の重みと覆水盆に返らずの諺
2019.03.11 その197 歴史は繰り返すのではなく「韻を踏む」
2019.03.04 その196 無駄の効用
2019.02.27 その195 世論調査の不思議
2019.02.18 その194 政治家の資質
2019.02.13 その193 不思議な国、日本
2019.02.01 その192 不祥事はなぜなくならないのか
2019.01.30 その191 逃 2018年の漢字
2019.01.23 その190 フェアプレーとは何だろう
2019.01.08 その189 あけましておめでとうございます
年初に期待すること:新しい夢を持とう
2019.01.07 その188 平成最後の天皇陛下誕生日会見
2018.12.27 その187 民主主義は議論だ
2018.12.20 その186 品質保証と身分制組織
2018.12.17 その185 東大卒が日本をダメにする?
2018.12.11 その184 三題噺 英米法とお上と忖度
2018.11.29 その183 徴用工の亡霊か?
2018.11.15 その182 積極性の楽しさ
2018.11.15 その181 JRの計画運休
2018.11.09 その180 試合中の事故で賠償?
2018.11.08 その179 私の憲法改正
2018.11.06 その178 虫眼鏡社会
2018.10.23 その177 一億総無責任時代
2018.10.05 その176 再び寛容と忍耐を
2018.10.05 その175 労働法の改正で自由な働き方を
2018.09.27 その174 国際感覚を磨こう
2018.09.19 その173 役職定年って何だろう
2018.09.14 その172 外見が変わると中身も変わる
2018.09.05 その171 そして誰もいなくなった
2018.08.31 その170 大学無償化前に必要なこと
2018.08.10 その169 プロの活用
2018.08.10 その168 やはり日本には投資家はいなかった
2018.08.10 その167 茹でガエルになっていないか?
2018.08.01 その166 民主主義とは何か
2018.07.18 その165 ピンボケの働き方改革
バックナンバーは下記URLよりご覧下さい。
BMDリサーチ http://www.bmd-r.com