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会計実務家コラム

会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。

田原中男氏の尖った提案

2019/6/25 その212 亡国の政治

残念ながら1920年代を想像せざるを得ない状況です。Rolling20’s と言われたように好景気に浮かれた時代から一転して大恐慌、第二次世界大戦へと続いた時代との類似性を考えざるを得ないのが最近の状況です。

一つの特徴として自国第一主義があります。有名なアメリカのモンロー主義とトランプの『America First』とはどこかで繋がり
ますし、国連が機能しない状況は国際連盟が機能しなかったこととも重なります。当時は『持つ国』と『持たざる国』が大きなテーマで、何を持つかといえば植民地です。植民地があれば自国主義が維持できますが、そうでないと経済的な低迷から抜け出せないということで日本は焦って中国東北部での権益確保に走ってしまったのです。今に置き換えると持つ持たないは『核兵器』ということになるのでしょうか。

社会の底流にある大きな課題をそのままに表面的な好景気に浮かれた時代、所謂大正デモクラシーが何かのきっかけで行き止まった時、底流にあった課題が表面化しその解決を主張した動きが急激に力を得て社会全体を動かしてしまい、一気に全体主義的な様相を呈してしまいました。

この時代の課題は地方農村での貧困と就職難でした。これに対し危機感を持った陸軍の若手将校が社会改革を訴え急速に力をつけた結果ニニ六事件から満州進出へと繋がってゆきました。何故ならば多くの若手将校は地方農村の次男三男だったからです。
長男は地元で田を引き継げますが、次男以下は家を出ざるを得ず、軍人になりました。これらを今に写してみましょう。やはり地方の問題があります。

農村人口の老齢化、経済のデジタル化に追いつかない地方経済、そして人口減少です。このように漠然とした不安と明確な解決策のない状況でオリンピックや万博開催、対外強硬策、具体的ではないが耳の心地よい抽象的なスローガンを唱える政治家はまさに亡国の政治だと思います。

バラ色のスローガンに騙されず、厳しい現実を見つめながら一歩一歩歩む努力をしようではありませんか。 

コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏

1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。

田原中男氏の尖った提案 バックナンバー

2019.06.14 その211 無党派層は無関心層ではない
2019.06.11 その210 奈良公園の鹿
2019.06.04 その209 東大卒が日本をダメにする その2
2019.05.20 その208 高いエンゲル係数が貧困を生む
2019.05.20 その207 新天皇、新元号、新内閣?
2019.05.10 その206 民主主義の基本
2019.05.08 その205 10連休対策?
2019.04.22 その204 ピクトグラム
2019.04.15 その203 対症療法では根本的な解決はできない
2019.04.08 その202 企業利益は最高、しかし景気回復の実感がないのは何故?
2019.04.02 その201 企業統治に一貫性が必要
2019.04.01 その200 大学の授業を英語に
2019.03.19 その199 女性の活躍度は世界最低レベル
2019.03.18 その198 言葉の重みと覆水盆に返らずの諺
2019.03.11 その197 歴史は繰り返すのではなく「韻を踏む」
2019.03.04 その196 無駄の効用
2019.02.27 その195 世論調査の不思議
2019.02.18 その194 政治家の資質
2019.02.13 その193 不思議な国、日本
2019.02.01 その192 不祥事はなぜなくならないのか
2019.01.30 その191 逃 2018年の漢字
2019.01.23 その190 フェアプレーとは何だろう
2019.01.08 その189 あけましておめでとうございます
年初に期待すること:新しい夢を持とう
2019.01.07 その188 平成最後の天皇陛下誕生日会見
2018.12.27 その187 民主主義は議論だ
2018.12.20 その186 品質保証と身分制組織
2018.12.17 その185 東大卒が日本をダメにする?
2018.12.11 その184 三題噺 英米法とお上と忖度
2018.11.29 その183 徴用工の亡霊か?
2018.11.15 その182 積極性の楽しさ
2018.11.15 その181 JRの計画運休
2018.11.09 その180 試合中の事故で賠償?
2018.11.08 その179 私の憲法改正
2018.11.06 その178 虫眼鏡社会
2018.10.23 その177 一億総無責任時代
2018.10.05 その176 再び寛容と忍耐を
2018.10.05 その175 労働法の改正で自由な働き方を
2018.09.27 その174 国際感覚を磨こう
2018.09.19 その173 役職定年って何だろう
2018.09.14 その172 外見が変わると中身も変わる
2018.09.05 その171 そして誰もいなくなった
2018.08.31 その170 大学無償化前に必要なこと
2018.08.10 その169 プロの活用
2018.08.10 その168 やはり日本には投資家はいなかった
2018.08.10 その167 茹でガエルになっていないか?
2018.08.01 その166 民主主義とは何か
2018.07.18 その165 ピンボケの働き方改革
2018.07.10 その164 なぜ、閉塞感なのか
2018.07.06 その163 不作為の作為
2018.06.29 その162 日中露とかけて今を楽しむと解く
2018.06.22 その161 アベノミクスを検証する
2018.06.12 その160 農業国アメリカ
2018.06.05 その159 北朝鮮に1ポイント
2018.06.04 その158 融資から投資へ
2018.5.30 その157 翻訳と文化
2018.5.22 その156 ロボコンの功罪
2018.5.15 その155 北朝鮮問題を考える
2018.5.8 その154 団塊の世代と大学闘争
2018.4.23 その153 MBA経営が会社をダメにする?
2018.4.17 その152 Pentagon Papers
2018.4.13 その151 働き方改革 その8 仕事量の削減が秘密の鍵
2018.4.2 その150 発言の取り消しとは何だろう
2018.3.26 その149 百年の計を見通した今の課題
2018.3.19 その148 プロの活用
2018.3.11 その147 女性の社会的進出
2018.3.5 その146 今、何が必要なのか
2018.2.26 その145 働き方改革 その7 裁量労働制の議論が横道に
2018.2.19 その144 働き方改革 その6 身近なことから改革しよう
2018.2.13 その143 Space-Xのロケットは23階建てのビルと同じ
2018.2.5 その142 政治とマーケティング
2018.1.29 その141 会議とコーヒーブレーク
2018.1.22 その140 幼稚園に見る最近の世相
2018.1.15 その139 やはり生産性の向上がこれからの鍵
2018.1.9 その138 正月早々ですが、頑張れの意味を込めて〝ひ弱な日本〟に喝!
2017.12.25 その137 日本本社の設立はできるか
2017.12.18 その136 再び身分制度を考える
2017.12.11 その135 NHK受信料
2017.12.4 その134 もっと楽観的になろう
2017.11.27 その133 仕事に必要な六つの資質
2017.11.21 その132 プロのコーチの存在感
2017.11.13 その131 経済学の当てはまらない時代
2017.11.05 その130 日産、スバルの完成検査
2017.10.29 その129 映画 ドリーム
2017.10.23 その128 日本沈没
2017.10.16 その127 部長が多すぎる
2017.10.10 その126 日本のバーニー・サンダース出でよ
2017.10.03 その125 働き方改革 その5
2017.09.25 その124 規制、補助金、入札
2017.09.19 その123 カッシーニ土星へ突入
2017.09.11 その122 中小企業の力
2017.09.04 その121 優柔不断と時期尚早
2017.08.28 その120 サムライジャパンのユニフォーム
2017.08.21 その119 国民皆保険
2017.08.14 その118 中島春雄さん
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