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会計実務家コラム
会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
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田原中男氏の尖った提案
2018/4/23 その153 MBA経営が会社をダメにする?
米中の報復関税合戦が話題になっていますが、そもそも貿易では商品力そのものが市場での力の源泉になっています。
農産物と工業製品は多少異なる背景があると考えられます。すなわち、農産物はその基礎となる農地は移動不可能で工業製品のように競争条件によって生産場所を変更することが困難なため、土地の持つ優位性が固定されますのでここで論は工業製品に限ることにします。
何年も前から欧米ではMBA取得者によるプロフェッショナル経営が一般的で、その多くが短期間の結果を求め、かつ株価や利益によって評価され莫大な報酬を得ています。
そのため、投資収益率が不安定でしかも長期に亘る研究費に対し消極的で、自社で研究する代わりに成果を上げたベンチャー企業を買収することで研究成果を得ていました。 R&DではなくA&D(Acquisition & Development)です。
もう一つ、米国企業に特徴的なことは生産能力を需要の8割ほどしか持たないことで、これにより景気によらず常時フルキャパシティーで生産できるので高い効率を維持できることです。好景気で需要が多い時は超過部分を他社、基本的に輸入に依存することで、海外企業に参入の基礎を与えています。
家電製品の絶え間ない技術革新、ガソリンの高騰による市場が急変した自動車、その自動車に供給していた高品質の鉄鋼製品の軽量化要求等市場の急変に対し研究を怠ると追随できなくなり結果的に小さな窓が開いていた海外企業に市場を席巻され、自らは退場せざるを得なくなるという結果を招いてきました。
プロ(?)の経営者は短期の利益を得て次の会社に移り、会社の長期的な存続には関心がありません。結果的に国際的な競争力を失い貿易収支は赤字になります。
関税やその他の人工的な手法を採用しても、競争の源泉となる企業が弱体化しているままでは中期的には米国の消費者に負担がかかることになることになります。
MBAで学ぶことを過小評価しないわけではありませんが、経営者の評価をどのようにするかがもっと重要です。一方で日本のように社長は2期4年、3期6年と決めてしまうような経営ではどうしても『過怠なく無事に過ごす』という消極的な経営になってしまいます。
正解はありませんが、『評価は歴史が行なうという視点』『挑戦と決断』が必要です
米中の報復関税合戦が話題になっていますが、そもそも貿易では商品力そのものが市場での力の源泉になっています。
農産物と工業製品は多少異なる背景があると考えられます。すなわち、農産物はその基礎となる農地は移動不可能で工業製品のように競争条件によって生産場所を変更することが困難なため、土地の持つ優位性が固定されますのでここで論は工業製品に限ることにします。
何年も前から欧米ではMBA取得者によるプロフェッショナル経営が一般的で、その多くが短期間の結果を求め、かつ株価や利益によって評価され莫大な報酬を得ています。
そのため、投資収益率が不安定でしかも長期に亘る研究費に対し消極的で、自社で研究する代わりに成果を上げたベンチャー企業を買収することで研究成果を得ていました。 R&DではなくA&D(Acquisition & Development)です。
もう一つ、米国企業に特徴的なことは生産能力を需要の8割ほどしか持たないことで、これにより景気によらず常時フルキャパシティーで生産できるので高い効率を維持できることです。好景気で需要が多い時は超過部分を他社、基本的に輸入に依存することで、海外企業に参入の基礎を与えています。
家電製品の絶え間ない技術革新、ガソリンの高騰による市場が急変した自動車、その自動車に供給していた高品質の鉄鋼製品の軽量化要求等市場の急変に対し研究を怠ると追随できなくなり結果的に小さな窓が開いていた海外企業に市場を席巻され、自らは退場せざるを得なくなるという結果を招いてきました。
プロ(?)の経営者は短期の利益を得て次の会社に移り、会社の長期的な存続には関心がありません。結果的に国際的な競争力を失い貿易収支は赤字になります。
関税やその他の人工的な手法を採用しても、競争の源泉となる企業が弱体化しているままでは中期的には米国の消費者に負担がかかることになることになります。
MBAで学ぶことを過小評価しないわけではありませんが、経営者の評価をどのようにするかがもっと重要です。一方で日本のように社長は2期4年、3期6年と決めてしまうような経営ではどうしても『過怠なく無事に過ごす』という消極的な経営になってしまいます。
正解はありませんが、『評価は歴史が行なうという視点』『挑戦と決断』が必要です
コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏
1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
田原中男氏の尖った提案 バックナンバー
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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com
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