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会計実務家コラム

会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。

田原中男氏の尖った提案

2017/5/17 その106 何故、コンサルは役に立たないのか?
QC活動、ドラッカー、シックスシグマ等々海外発の経営指南書が流行り、競うようにして導入しますがしばらくすると何もなかったように沈静化し、そして次の流行が世の中を席巻するということが続いてきましたが、それらの多くは日本の企業活動を基礎にした理論になっています。

経営の根本を見直せば、そのような理論に頼ることなく組織が活性化され、新しいやり方は必要ないように思えますが、必ずしもそうではないようです。コンサルタントというのも似たようなことがあって改革改善が定着していれば、それなりの成果が継続的に表れる筈ですが、実際には課題が解決されないことも多いようです。

何故なのでしょうか?

原因は依頼内容が曖昧なために結果が出ないというところにあります。いつ迄に、何をどうしたいかという具体的な目的がはっきりしない事が多く、またコンサルタントも契約優先で十分に確認しないことがあります。

コンサルタントの聞き取り能力不足と、依頼者が目標を明確に立てていないために何かを実行する事が目的になってしまい、到達目標が不明確なまま導入されるので組織内で定着化せず数年経過すると、担当者も交代するなので自然消滅、あるいは形式的になり、そのこと自体が非効率的になり新たな経営改革が必要になってしまうのです。

経営改革の成功の鍵は

1に、明確な課題の設定と目的意識を持つこと
2に、どんな方法であれ、組織内に定着化するまで徹底すること
3に、トップと管理職が十分に内容を理解し運動を牽引すること

最近話題の『働き方改革』に当てはめると
1として、課題が曖昧で残業を削減することのように受け取れる
  本当は業務の効率化を図ることで、生産性を上げ結果的に残業も減少する
2として、どのような活動によって定着化しようとしているのか不明
  本当は各社、各部課、各個人の業務目標に組み込む仕組みの開発が必要
3として、国からの指示に企業が後追いで動いている
  本当は経営者が自ら課題を見つけ、率先すべきことなので国の指示で発動する
  ようなことでは社員の自発的な参画は期待できない

自主性の無い経営者の下には自主性のある社員は育たないのです。

コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏

1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。

田原中男氏の尖った提案 バックナンバー

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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com