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会計実務家コラム

会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。

田原中男氏の尖った提案

2017/2/6 その92 働き方改革3

今年もそろそろ春闘の季節になりましたが、春闘という労使交渉の方法は20年も前に破綻しているのではないかという疑問を持っています

きっかけは、膨大な時間と労力をかけてもは実質賃金で週にタバコ一箱ほどのベアを交渉することに意義があるのかということに気づいたことにあります

ベアということを真剣に考えてみましょう
ベアと仕事内容と労働契約、そして評価方法、これらが結びついているのでしょうか
その心は具体的な業務契約と生産性向上を目指しているのかどうかということです
生産現場を除くとほとんどの事務・管理的仕事については具体的な業務マニュアルや仕事の進め方に関する具体的な目標がありません、そのため事務・管理部門の生産性は他国に比べて極端に低いままなっています。また、残業時間の長さにも繋がっています

具体的な個人別の目標がないため、その日、あるいはその週にどこまで達成すれば良いのかが設定できず、上司がいる限り仕事をしているフリをしなければならないという笑えない現実があるように思います。自主的に時間管理ができる場合でも、今日はここまでという区切りがつけ難いこともあるでしょう

ある日突然上司から『例の件、どうなっている?』というような御下問があり、その前後にたまたま定時退社でもしていたら、評価が低くなるという恐怖感から逃れるのは難しいでしょう

本当は明確な目標、すなわち『何をいつまで、達成とはこのような状態』そして『目標時期が早まるのはどんな状況の時か』ということが相互に了解されていれば定時に帰ろうが残業しようがそのこと自体が評価に影響することはない筈です

残業のように企業あるいは組織体が自発的に解決すべき課題にまで国が介入すること自体、まさに『世界で最も成功した社会主義国=日本』を表しています

企業経営者よ頑張れ!

コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏

1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。

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