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会計実務家コラム

会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。

田原中男氏の尖った提案

2017/1/9 その88 時期尚早

様々な場面でよく聞かれる言葉ですが、要するに結論の先延ばしです

長い日本の歴史の中で生み出された『知恵』であり、厳しい対決を避ける『工夫』でもあり、また関係者の理解を得るための『時間的猶予』の混在した産物です

しかし、同じような文化を共有している人の間では有効な手段も異文化の混在する世の中では必ずしも効果を上げないどころか、逆効果になることもあります

話はいささか飛びますが、昨年はオバマ大統領が広島の原爆記念館を訪れ、また安倍首相がハワイのアリゾナ記念館を訪れました。また、年末には北方領土交渉を見据えた日露首脳会談も開かれました。これらはそれぞれ意義深いことですが、話題の一つとして“謝罪の言葉”が含まれるかどうかということもありました

しかし、謝罪ということであれば、“日本政府が日本国民に対して謝罪すべき”ではないかと考えます

ポツダム宣言の受諾回答期限が7月末でしたが、当時の政府は国体維持が不明確として回答しませんでしたし、スイスやスウェーデンの大使館を通じての確認作業も行いませんでした。 さらに日本の報道機関が『プツダム宣言を無視』という報道をしたことに対し無視ではなく検討中というような訂正報道も行わなかったため連合軍は『拒否』と受け取り、対日戦を継続しました

歴史に“もし”はありませんが、7月末の期限までにポツダム宣言を受諾、あるいは受諾の意思の明確化が行われていたら、広島・長崎の原爆投下もなく、8月9日のソ連の対日参戦もありませんでした。原爆被害もなく、シベリア抑留ということも避けられたわけです。結局8月10日になって原爆投下、ソ連参戦という事実を見て国体護持に関わらずポツダム宣言受諾を通告し終戦に至りました

アメリカの本音は独ソ戦終了後3ヶ月でソ連が対日参戦するという密約を前提とし終戦後の冷戦を見据えて8月6日までに対日戦を終了させたいということでしたので原爆投下という見せしめをしてまで対日戦終結を焦っていたのです

この状況で『時期尚早』と『謝罪』を考えると、優柔不断の結論先延ばしにより犠牲が大幅に増え、今に至るまで未解決の課題を引きずっていますので、まさに政府はこ国民に対し『謝罪』すべきだと考えています

自らの政府が自らの国民に対して謝罪することで、アメリカに対してのみならず諸外国に対しても謝罪が可能になり日本の対外的な信頼感は大きく向上するものと考えます

いわゆる識者もこのような事実を論評しませんが、日本のソフトパワーを高めるためには必要なことではないでしょうか

コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏

1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。

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