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会計実務家コラム

会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。

田原中男氏の尖った提案

2017/1/29 その91 働き方改革2

労基法を改正して、残業時間の短縮を目指すようですが、結論を目標にしても達成は難しく、却って隠れ残業を増やす結果になるのではないだろうか。残業をしなければならない原因とプロセスの改革が本来やるべきことです

もう一つの話題である非正規社員の問題を個人的な経験を基に考えてみます

例その1
ある職場で海外との取引が急に出現したため、英語のできる人材が必要になり外部から有期雇用で補充したことがあります。大変よくできる方だったので正社員にならないかと尋ねてみたら次のような答えがあり、なるほどと納得しました

『私はプロフェッショナルな働き方を求めていて、社員になると異動で異なる職種に就くことがあり好ましくないので、有期雇用で好んだ条件で働きたい』
というものでした


例その2
内部監査部門のシステムサポートをしてくれる人材を求めていました。同時に内部監査のサポート業務も担当してもらい、特に英語力が求められましたのでTOEIC800点以上、システムサポートができて内部監査に興味を持つ人を有期雇用でお願いしたところ、人事部からは『こんな人材はいません、条件を緩和して下さい』とのことでした。先例から人数は少なくても必ずいるとの確信がありましたので『この条件で募集し、ダメなら再考します』と言って、募集してもらったところ最適な人材がすぐに見つかりました。しかも中国語も堪能で大変活躍してもらうことができました


ここにあるように、少数ではありますが本当にプロ意識の高い人が存在するのに企業側が対応できていない、特に人事が挑戦的な採用をしていない、受け入れ部門も本当にどんなスキルが必要なのかという見極めをしていないことが多いと考えます
社内でプロを育てるには、必ずしもジョブローテーションが唯一の解決策ではありません

先日も経産省にプロの統計専門家が少なくなっていて、統計の質が低下しているのではないかという記事がありました。 他国ではプロの担当者を育成しており問題だという趣旨でしたが、全くその通りだと思います

企業も官庁も明治時代以来の新卒一括採用、ローテーションによる幹部候補生育成、年功によるステップアップ、評価は横並びの同期間での僅差の査定という発想から抜け出していないと考えます

新しい時代、特にグローバルな競争の時代に備えた革新が必要とされています

コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏

1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。

田原中男氏の尖った提案 バックナンバー

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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com