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会計実務家コラム

会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。

田原中男氏の尖った提案

2017/3/19 その98 企業の寿命は?

東芝、シャープ、その前はソニーも厳しい状況に。
セブンイレブンも一時期の勢いはなく、お家騒動のような状況も聞こえてきます。
三菱グループも自動車での様々な問題に限らず、造船でも新規客船の納期大幅遅れ、期待のMRJも数度にわたる納期変更があり、当初の予定ではすでに初号機が引き渡される時期にもかかわらずまだ試験飛行中。

人間と同じく企業にも寿命があり、徐々に若さが薄れ、行動が遅くなり、保守的になって却って競争力を失って行くような気がします

よく言われることですが、日本企業は創業の精神とビジネス分野を守り過ぎて柔軟な対応ができないのが活力低下の原因という指摘を受けます。

GEは総合電機メーカーでありましたが機関車をやめ、トースターをやめ、最後まで残った儲け頭の電球も撤退し、その後は金融だったり医療機器だったり、さらにはサービスをビジネスの中心にしたこともあり、千変万化、時代によって巧みにビジネス分野を変更して会社を維持してきました。

日本企業との差で言えば、ビジネスの推移とともに必要な人材を入れ替えつつ発展を続けてきたということで、日本企業のように長期に亘って人材を確保するビジネスモデルでは対応が非常に難しいということが言えます。

IT技術が進歩し、AIがもっと活用されるようになると、生産性の向上のためには本当の意味での頭脳労働が重要になり、時間より仕事の内容で優劣を競うようになります。

昨今の残業時間短縮や働き方改革に、その前提としての労働の質を高める方策の議論が少ないのでこのままでは企業の寿命は短くなってしまうでしょう。

高齢者の社会費用負担を減少させるのに、手厚い援助をするより、気力・体力を高めるような活動が必要なのと同じように、企業も組織内から湧き出るような溌剌さを高める施策が求められています。

コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏

1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。

田原中男氏の尖った提案 バックナンバー

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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com