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会計実務家コラム

会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。

田原中男氏の尖った提案

2017/3/5 その96 国家百年の計

ゴーン社長が社長を退きルノー、三菱自動車を含めた会長職に選任するとのこと。
“コストカッター”、“ゴーン革命”と言われて経営危機にあった日産に乗り込んできたのはつい先日のように感じられますが、すでに20年近い月日が過ぎています。

やはり一つの企業を立て直し、文化を変え、定着化するにはこの程度の期間が必要だということです。
この間、毎日のように檄を飛ばし、考え方を指導し行動に移すことを促してきたのだということは容易に察せられます。

一企業の体質改善にこれだけの時間がかかるということは、国全体の改質改善には一体どれだけの時間が必要で、その間誰がぶれることなく一つの方針を掲げることができるのだろうか。

古くは聖徳太子や徳川家康といった人が強固な意思で国の流れを変えていったのであろうし、歴史に残らない様々な“抵抗勢力”との格闘があったことと察せられますが、そうすることで国の方向を変えることができたのでしょう。“国家百年の計”とはまさにこのようなことだと思いますが、さて今はどうなのでしょうか。

多くの政治家が2年程度先の選挙のことしか考えていないようにしか思えず寂しい思いを感じます。

私ごとですが、四半世紀前にさるフォーラムで老齢人口比率の上昇と老齢人口の考え方を発表したことがあります。最近、言われるようになった60歳からではなく65歳とか70歳からとすればどうなるのだろうかというのが趣旨でした。体力、気力とも昔と比較して飛躍的に改善されている状況と、長期の人口動態から類推して高齢者人口比率が非常に高くなることを前提にした提案でした。

もちろん、単に呼び方の問題ではなく課題の提示をしたわけです。定年の考え方、働き方の考え方、長い余生を送るための資金計画等で、抜本的な改革を進めないと社会制度のあり方そのものが前提からひっくり返ってしまうという提言でした。残念ながら当時は賛同は得てもすぐに行動に移すことなく結局今日を迎えています。

国家百年の計を誰も真剣に考えなかったために相当に手遅れになってしまいました。
企業も、国も長期の目標を立て、多少の負担は覚悟しないと結局泥沼にはまり込むということを認識したいものです。

コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏

1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。

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