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会計実務家コラム

会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。

田原中男氏の尖った提案

2017/2/12 その93 同一労働・同一賃金2

最近の報道を見て考えたことがあります
月2回の出社で年収1,000万円という仕事(労働)をどうやって定義するのか、もしうまく定義できたら他に同一賃金をもらえる仕事というのは存在しているのかという単純な疑問です

もう少し身近な例で言えば、介護施設で働く有資格者の介護士と大企業の新入社員を比較したら介護士の方々は同一労働に見合うだけの賃金を得られているのだろうか
業界が違うから比較は無理だと言われるかもしれませんが、誰もが生活をしているのでどの業界にいても毎日の食費や月々の家賃は同じ土俵にありますので、業界別の賃金格差を認めてしまうと賃金水準の低い業界に勤務する人たちは厳しい生活を強いられるということになります

永田町では専ら正規社員との比較で同一労働同一賃金が語られていますが、もう少し掘り下げて労働の質、労働の定義を真剣に議論すべきではないかと思います

前にも書きましたが『労働の定義』が重要なポイントです、そしてもう一つ労働契約です

何年か前にアメリカの会社であるインタビューを実施した際 “At will” な契約という言葉に出会いました。つまり雇用者・被雇用者が自由意志で労働契約するというもので、相互に何の束縛もなく解除ができるという契約で、会社は即日契約解除にもできるし、労働者もいつでも辞められるというものです

当然、賃金はそのような自由度がある分高くなりますので、これらを勘案しながら契約を締結するのです。このような契約自体の善悪はともかくとして労働契約に自由度があり、それらが賃金水準に結びついているという柔軟な制度に注目したいと思います。まさに『労働市場』が」存在しているのです

このような環境では自然に同一労働同一賃金となるでしょうから、今日本で行われている議論は『形式を整えよう』という議論にしか見えません
主とした雇用主である産業界からはもっと多様な意見を提案して、議論を主導するべきではないでしょうか

コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏

1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。

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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com