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会計実務家コラム

会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。

田原中男氏の尖った提案

2017/4/2 その100 日本人とは

図書館に行けば“日本人とは”というような本はたくさんありますが、私見を一つ。
日本民族とか単一民族というような論点もありますが、客観的に見てもDNA分析でも多民族国家であることは明白です。近くは朝鮮半島やシベリヤから、また中国大陸からもたくさんの人が来ていますし、遠く南方の島々からも来ています。

“ヤシの実”に唄われた椰子の実は南の島から来たのでしょうが太平洋岸ではなく能登半島に流れ着いています。

古代には多くの文化が人とともに、中国や朝鮮から到来しています。
フォサマグナを境に日本の東西文化は大きく異なり、牛と豚、うどんとそばのような食文化にも、またエレベーターで歩くのは左側、右側等明確な違いがあるのはみなさんご存知の通りです。

しかし、今のアメリカやヨーロッパあるいは中近東のイスラエルとパレスチナの様子を見ていると多民族国家では宗教間、民族間で厳しい争いがありますが日本にはありません。

本当に単一民族であれば、形成の途中で激しい抗争や排除があった筈ですが歴史の中ではそのような抗争はありません。他国の例を見ると抗争の結果はエスニッククレンジングというような形をとることが多く、戦争では戦勝国が敗戦国の支配者や指導者を皆殺しにすることも珍しくありません。

日本では信長による比叡山焼き討ちや長島一向宗徒の皆殺しぐらいしかありませんし、これも一向宗に対する制圧が原因で、石山本願寺では多くの信徒が生かされています。

そこで、私見ですが日本と呼ばれる国土にいる人々は長い歴史の中で各地から“逃れて来た人”によって構成されていると考えています。抗争より調和、他民族でも相手を尊重し(自らの安全のためには他者を尊重することが有効)相互に分を超えずに生きる術を自然と身につけたために、他国で起きたような2000年を超える対立や相手を殲滅するようなことが起きなかったと考えられます。

このように考えると今でも調和を重んじ、自己主張はせず、厳しい意見対立を避け、とかく“出る杭”にはならないようにしつけられたのは本来的に争いを好まない人々の集合体だったからではないかと考えています。

今、日本が世界に発信できることはこのように寛容と忍耐を重んずれば数百年で単一民族と間違えるような調和のとれた国が形成できるということで、これこそが日本のソフトパワーではないでしょうか。

そのためにも皆んなが同じと誤解せずに、異なる文化を巧みに調和したと考え、もっと他国からの受け入れに寛容になることが逆に国力増進に役立つと信じています。

コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏

1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。

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