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会計実務家コラム
会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
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田原中男氏の尖った提案
2017/10/03 その125 働き方改革 その5
前回、働き方改革は「働かせ方改革」だと述べました。
もう一歩突っ込んで「なぜ働き方を変えなければならないのか」を考えましょう。
究極の目的は「生産性の向上」にありますが、「人はそれぞれの特徴がある」ということが前提がなくてはいけません。
もし、平等というのが「人は皆同じ」ということであれば生産性の向上は性能を高める、つまり「もっと頑張る」ことでしか実現できません。機械で例えれば同じような機械が並んでいるのであれば、個々の性能が上がらない限り全体の生産性は向上しません。
しかし、人は「十人十色」でそれぞれの特徴を持っていますので、組み合わせを変えることで最終結果に大きな差が出てくるのです。共産主義社会でのコルホーズの生産性が上がらなかったことを思い出してください。平等というのは「皆が同じことをやる」ということではありません。「各自がそれぞれの特徴を生かして協力し合う」ということが本当の意味での平等です。
昔、週ごとに生産必要数が変化せざるを得ないある生産工場で次のようなことがありました。
通常は1日の生産必要数を勤務時間で配分し時間当たりの生産数を決めますがこのやり方では週ごと、月ごとに生産スピードに差があり、早まった時にはきつく感じ遅くなった時にはホッとして不良発生率がかえって高まったりします。
そこで、スピードを一定にして生産必要数が少ない時には「早く帰る」ということを行いました。
工場長からは「とんでもない、タイムカードはどうするのだ」
人事からは「とんでもない、勤務しないのに給料を払うのか」という文句が来ました。
これに対し「早く終われば、工場のエネルギーコストが節約できる」「必要なものを作ればいたずらに残っている必要はない」と言って実行してもらいました。
最近の言い方では「時間に対してではなく、成果に対して評価する」ということです。結果は、それまでの生産性をはるかに上回るスピードを実現し、改善提案も沢山出て来ました。早く帰れることが大きなインセンティブになって皆で協力して生産性の向上に自主的に取り組んだ結果で、半年で生産性は倍増しました。
生産ラインですから一人が頑張っても全体は良くなりませんからチームワークも改善されました。
「働かせ改革」の一例ですが、現在取りざたされている「働き方改革」は単なる残業削減の掛け声のように聞こえてしまいます。
物事の本質を明確に捉え、そのために必要な施策を工夫する、その際常識を打破することが大切です。
前回、働き方改革は「働かせ方改革」だと述べました。
もう一歩突っ込んで「なぜ働き方を変えなければならないのか」を考えましょう。
究極の目的は「生産性の向上」にありますが、「人はそれぞれの特徴がある」ということが前提がなくてはいけません。
もし、平等というのが「人は皆同じ」ということであれば生産性の向上は性能を高める、つまり「もっと頑張る」ことでしか実現できません。機械で例えれば同じような機械が並んでいるのであれば、個々の性能が上がらない限り全体の生産性は向上しません。
しかし、人は「十人十色」でそれぞれの特徴を持っていますので、組み合わせを変えることで最終結果に大きな差が出てくるのです。共産主義社会でのコルホーズの生産性が上がらなかったことを思い出してください。平等というのは「皆が同じことをやる」ということではありません。「各自がそれぞれの特徴を生かして協力し合う」ということが本当の意味での平等です。
昔、週ごとに生産必要数が変化せざるを得ないある生産工場で次のようなことがありました。
通常は1日の生産必要数を勤務時間で配分し時間当たりの生産数を決めますがこのやり方では週ごと、月ごとに生産スピードに差があり、早まった時にはきつく感じ遅くなった時にはホッとして不良発生率がかえって高まったりします。
そこで、スピードを一定にして生産必要数が少ない時には「早く帰る」ということを行いました。
工場長からは「とんでもない、タイムカードはどうするのだ」
人事からは「とんでもない、勤務しないのに給料を払うのか」という文句が来ました。
これに対し「早く終われば、工場のエネルギーコストが節約できる」「必要なものを作ればいたずらに残っている必要はない」と言って実行してもらいました。
最近の言い方では「時間に対してではなく、成果に対して評価する」ということです。結果は、それまでの生産性をはるかに上回るスピードを実現し、改善提案も沢山出て来ました。早く帰れることが大きなインセンティブになって皆で協力して生産性の向上に自主的に取り組んだ結果で、半年で生産性は倍増しました。
生産ラインですから一人が頑張っても全体は良くなりませんからチームワークも改善されました。
「働かせ改革」の一例ですが、現在取りざたされている「働き方改革」は単なる残業削減の掛け声のように聞こえてしまいます。
物事の本質を明確に捉え、そのために必要な施策を工夫する、その際常識を打破することが大切です。
コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏
1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
田原中男氏の尖った提案 バックナンバー
バックナンバーは下記URLよりご覧下さい。
BMDリサーチ http://www.bmd-r.com
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