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会計実務家コラム
会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
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田原中男氏の尖った提案
2017/8/21 その119 国民皆保険
アメリカでのオバマケア(ACA)撤廃の動きを見ていると日本の国民保険制度というのは非常に進んだ制度であることがわかりますが、一方で高齢化に伴う費用負担も問題になり始めています。
ちょっとした風邪でも大病院に行くようになった結果、費用がかかる上に本当に大病院で治療が必要な患者さんに対するサービスが低下してしまっているのではないかということで、大病院を受診する際の紹介状の義務付けとか、フリーアクセスの制限や自己負担の増額という議論がなされています。
その議論の中で、海外では大病院の受診はかかりつけ医の紹介状が不可欠など受診制限があるが、日本では患者さんが自由に医療機関を受診できるフリーアクセスが認められているのが問題だという意見があります。
海外がどの国を指すのか不明ですが、イギリスではこれに似たようなことが行われています。ただし、受診制限ではなく“かかりつけ医(GPと呼ばれる)”と“専門医”との間の役割分担というのが正しい認識です。
通常は近所にあり、病歴等のデータが揃っているGPに行き、GPでは処置が困難な難病や手術あるいは専門的な治療が必要な場合にGPが大病院を紹介するもので受診制限とは全く趣旨が異なります。
そもそも日本ではGPのような制度が存在しないのに『紹介』ということのみ取り出して議論することは正しい議論ではありません。
ちなみにイギリスではGPについても病院での受診、治療についても全て保険でカバーされています。一方でGPについては経験や判断の良否等によって報酬が一律ではなく『実力主義』になっていて、医療活動の質に応じて報酬が変動するインセンティブもあるのです。
日本では他国の制度を紹介して類似の制度を作ろうとすることが多いのですが、そもそも他国の事例をその背景や趣旨、意図を正確に理解しないで、外形的な制度のみを持ち込むために結局うまく運用できないことがあります。
制度設計は、まず何を目指しているのかという本質的なことから議論を始め、運用や影響を十分に確かめてから作り上げないと効果がないばかりでなく、逆効果になることもあります。
『追いつき、追い越せ』と言った発想で海外での考え方を導入することも悪くはありませんが、そろそろ『現状を把握し、自ら考える』ことが必要です。
アメリカでのオバマケア(ACA)撤廃の動きを見ていると日本の国民保険制度というのは非常に進んだ制度であることがわかりますが、一方で高齢化に伴う費用負担も問題になり始めています。
ちょっとした風邪でも大病院に行くようになった結果、費用がかかる上に本当に大病院で治療が必要な患者さんに対するサービスが低下してしまっているのではないかということで、大病院を受診する際の紹介状の義務付けとか、フリーアクセスの制限や自己負担の増額という議論がなされています。
その議論の中で、海外では大病院の受診はかかりつけ医の紹介状が不可欠など受診制限があるが、日本では患者さんが自由に医療機関を受診できるフリーアクセスが認められているのが問題だという意見があります。
海外がどの国を指すのか不明ですが、イギリスではこれに似たようなことが行われています。ただし、受診制限ではなく“かかりつけ医(GPと呼ばれる)”と“専門医”との間の役割分担というのが正しい認識です。
通常は近所にあり、病歴等のデータが揃っているGPに行き、GPでは処置が困難な難病や手術あるいは専門的な治療が必要な場合にGPが大病院を紹介するもので受診制限とは全く趣旨が異なります。
そもそも日本ではGPのような制度が存在しないのに『紹介』ということのみ取り出して議論することは正しい議論ではありません。
ちなみにイギリスではGPについても病院での受診、治療についても全て保険でカバーされています。一方でGPについては経験や判断の良否等によって報酬が一律ではなく『実力主義』になっていて、医療活動の質に応じて報酬が変動するインセンティブもあるのです。
日本では他国の制度を紹介して類似の制度を作ろうとすることが多いのですが、そもそも他国の事例をその背景や趣旨、意図を正確に理解しないで、外形的な制度のみを持ち込むために結局うまく運用できないことがあります。
制度設計は、まず何を目指しているのかという本質的なことから議論を始め、運用や影響を十分に確かめてから作り上げないと効果がないばかりでなく、逆効果になることもあります。
『追いつき、追い越せ』と言った発想で海外での考え方を導入することも悪くはありませんが、そろそろ『現状を把握し、自ら考える』ことが必要です。
コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏
1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
田原中男氏の尖った提案 バックナンバー
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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com
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