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会計実務家コラム

会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。

田原中男氏の尖った提案

2017/6/19 その111 日本的経営の終焉とこれから:その3

前回も書きましたが、年齢による管理というのは摩擦が少なくて済みます説明する必要がありませんし、「飛び級」はあり得ないので、勤続年数とか年齢によって序列が作られていると多少の不満はあっても組織の安定感はあります。
組織としてこの体制を維持するためには新卒一括採用というのはどうしても必要な手段となります。年度毎の綺麗な序列が形成され、横並び意識と合わさると管理者にとってはやりやすい仕組みです。

業績評価を客観的に行わなくても一年先輩を追い越さない程度にほんの少しの差をつけることで、それなりに同期の間で競争を促すこともできますし、評価の差について説明せずとも一定の納得感を保持することができます。
しかし、企業の成長が止まり、また人口構成がピラミッドからフラットになって来るとこのような管理体制を維持することは難しくかえってコスト増(人件費の上昇)になってきています。

それでは新しい方法にはどんなことが考えられるでしょうか。

やはり、客観的な評価基準を作成することですが、そもそも評価というのは絶対的なものではなく相対的なものです。したがってどのような評価をするにしてもその前提として、目標が客観的に定められていなければなりません。目標に対してどれだけ達成したかが評価になるからです。

ここで問題になるのが目標の決め方です。一時期流行ったような目標管理制度、つまり上位者が一方的にある数字を定めるような目標ではなく
1.組織全体の到達目標に対してどのような役割になっているのかを示す
2.目標達成の時期を明確にする:短期で達成できるものもあれば長期にわたるものもある
3.目標達成の手段を明示し相互に確認する:下位者が提案し上位者が承諾することが望ましい
4.不確定外部要因を事前に認識する:競合会社が新製品を出すetc
5.目標数字を達成したか否かより達成手段を履行したかどうかに重点を置く手段を達成したのに目標に達しないのは、事前の計画に瑕疵があり上位者の責任でもある
6.目標数字は売り上げのような数字のみならず「何をいつまでに」という時期の設定も可能

結論を言えば、目標設定も評価も管理者の責任が格段に重くなるということになりますし、このような能力を保持する人が管理者になるべきということです。

コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏

1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。

田原中男氏の尖った提案 バックナンバー

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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com