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会計実務家コラム

会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。

田原中男氏の尖った提案

2017/6/14 その110 日本的経営の終焉とこれから:その2

人口と組織の相関関係がピラミッドの崩壊で大きな影響を受けましたが、ゆっくりとした進捗ののため構造変化に気がついた人が少なかったことで、限界を超えた時点で急激案変化が起きたのだと錯覚してしまいました。

1945年8月のことを明確に記憶している人はごく少数になってきましたが、この時点に立ち戻ってみると企業も行政機関でも戦時体制から解放された途端に、平時の組織運営の経験者が存在しないことに気づくと共に青天井のような機会が目の前に現れたのです。
前例はなく、規制もなく、資源もない代わりに自由にそれぞれの意思とアイデアで腕を振るえる時代が到来したのです。しかもその後の復員者とベビーブームによって豊富な労働力が確保されたのです。

長い歴史の中で、また世界的に見てもこのような例はほとんどありません。
つまり希代稀な状況の中でいわゆる『日本的経営』が育まれたのです。特殊な時代は長続きしません。30年後、60年後には制度疲労によって多少の手直しではどうにもならない時が来ました。それが今です。

このような事実を基に解決策を考えると答えは意外に簡単です。これまでは小さなピラミッドがそのままの形状で大きくなって来たことで内部の仕組みを変える必要はなかったのです。しかし人口のピラミッドが崩れると組織のピラミッドも崩壊せざるをえません。
もう一つ、平均寿命が飛躍的に伸びたために勤務可能年数と退職後年数の比率が3:2から3:4へと変化し、定年延長ということが必要になり、ますますピラミッド形状の歪が目立ってきています。

年齢による序列というのは絶対に追い抜けないという意味では、受け入れやすい基準ではありますが組織を維持する前提であるピラミッド構造が崩壊した時には年齢とは異なる基準を作る必要があり、それを受け入れることが大切です。
これから必要なことは、新しい価値基準を作り、その基準での評価を定着させることです。
そのためのアイデアが求められています。

コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏

1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。

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