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会計実務家コラム
会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
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田原中男氏の尖った提案
2017/10/16 その127 部長が多すぎる
20世紀後半までは高度成長+人口増加で多くの企業がピラミッド型の組織を維持することが可能で、年功による昇進、昇給も行われていました。
21世紀になり成長が止まるとともに人口も減少し始め各企業は生き残り競争に突入しました。対応策の一つが人員の削減で主として欧米から輸入された手法を使ったリストラが進行した結果、組織はピラミッド型からフラット型へ構造変化した筈ですが実際には『ずんどう型』になってしまいました。
本来なら経営トップを含め上位管理者を削減し、組織の下位者に権限を移譲し、コスト削減と経営のスピードアップを図るべきところ、『日本的な温情さ』と『外部からの圧力:社外取締役や株主総会の希薄さ』のため部長以上の職務が温存され皺寄せが課長や第一線の担当者に押し付けられてしまいました。
担当レベルの仕事に熟知した課長レベルによる素早い判断と経験を生かした指導や教育が重要であるのにかかわらず、このレベルを薄くした上に『判断:決裁』を実務に疎い部長に残してしまったために決断スピードの遅延と無理難題が下位者に押し付けられた結果『うつ病』『過労死』『自殺』というようなことが顕在化したというのは言い過ぎでしょうか。
部長職というのは『判断+決裁』が主たる役割ですから優秀な課長レベルが存在すれば多くの課長を抱えていても業務遂行はできます。
一方課長職は『実務に基づく判断と担当者とのコミュニケーション』や様々な『相談』に対処することが主たる役割なので実務に精通していることも必要ですし、それほど多くの人を配下に持つことは困難です。
それでも判断や決裁の範囲が広がれば対応はできますが現実には少ない決裁権限と多くの人の面倒を見なくてはならないようなリストラの結果、組織全体の業務遂行力が低下してしまいました。
最近の社会的な現象『過労・精神的病』の増加、組織的な企業不祥事を見ると上記のような誤ったリストラの結果がようやく顕在化してきたのではないでしょうか。
さて、それでは解決策は何でしょうか?
部長を減らし課長を増やす、それに伴い大幅な権限移譲を行いながら結果責任はあくまで経営トップが取る覚悟を内外に示すということではないでしょうか。
もう一つ組織レベルを削減し情報がスムーズに流れるようにすることも大切です。組織レベルを削減すれば、誰が何に対して責任を持つのかが明確になり、各自の判断能力の向上が求められることでそれぞれのレベルで成長が図られます。
行政レベルの規制緩和は困難ですが、このような企業内での規制緩和はトップの決断ですぐに実行可能で、経営のスピードは高まり、経営の質も高まります。
現場に近い人たちが生き生きとする環境整備が求められています。
20世紀後半までは高度成長+人口増加で多くの企業がピラミッド型の組織を維持することが可能で、年功による昇進、昇給も行われていました。
21世紀になり成長が止まるとともに人口も減少し始め各企業は生き残り競争に突入しました。対応策の一つが人員の削減で主として欧米から輸入された手法を使ったリストラが進行した結果、組織はピラミッド型からフラット型へ構造変化した筈ですが実際には『ずんどう型』になってしまいました。
本来なら経営トップを含め上位管理者を削減し、組織の下位者に権限を移譲し、コスト削減と経営のスピードアップを図るべきところ、『日本的な温情さ』と『外部からの圧力:社外取締役や株主総会の希薄さ』のため部長以上の職務が温存され皺寄せが課長や第一線の担当者に押し付けられてしまいました。
担当レベルの仕事に熟知した課長レベルによる素早い判断と経験を生かした指導や教育が重要であるのにかかわらず、このレベルを薄くした上に『判断:決裁』を実務に疎い部長に残してしまったために決断スピードの遅延と無理難題が下位者に押し付けられた結果『うつ病』『過労死』『自殺』というようなことが顕在化したというのは言い過ぎでしょうか。
部長職というのは『判断+決裁』が主たる役割ですから優秀な課長レベルが存在すれば多くの課長を抱えていても業務遂行はできます。
一方課長職は『実務に基づく判断と担当者とのコミュニケーション』や様々な『相談』に対処することが主たる役割なので実務に精通していることも必要ですし、それほど多くの人を配下に持つことは困難です。
それでも判断や決裁の範囲が広がれば対応はできますが現実には少ない決裁権限と多くの人の面倒を見なくてはならないようなリストラの結果、組織全体の業務遂行力が低下してしまいました。
最近の社会的な現象『過労・精神的病』の増加、組織的な企業不祥事を見ると上記のような誤ったリストラの結果がようやく顕在化してきたのではないでしょうか。
さて、それでは解決策は何でしょうか?
部長を減らし課長を増やす、それに伴い大幅な権限移譲を行いながら結果責任はあくまで経営トップが取る覚悟を内外に示すということではないでしょうか。
もう一つ組織レベルを削減し情報がスムーズに流れるようにすることも大切です。組織レベルを削減すれば、誰が何に対して責任を持つのかが明確になり、各自の判断能力の向上が求められることでそれぞれのレベルで成長が図られます。
行政レベルの規制緩和は困難ですが、このような企業内での規制緩和はトップの決断ですぐに実行可能で、経営のスピードは高まり、経営の質も高まります。
現場に近い人たちが生き生きとする環境整備が求められています。
コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏
1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
田原中男氏の尖った提案 バックナンバー
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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com
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