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会計実務家コラム

会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。

田原中男氏の尖った提案

2017/12/18 その136 再び身分制度を考える


働き方改革 その5

組織運営の見直しとそのための法的整備、社会全体の見直しが必要だと考えます。
今だに、入社時の成績と学歴で一生を支配するような労働慣行が残っているところがありますが、大正時代ではあるまいし、戦後民主主義とは何だったのだろうか。

典型的な例は国家公務員、名前こそ違え上級公務員試験という身分制度が残り、エリートとそれ以外、実はこの内に専門職が含まれている、が明確に差別されグラスシーリングではなく鉄板のような壁が存在し、実務から育った人はチャレンジする機会もない一方、試験で高得点を取った人はその後40年間勉強しないでも一定の地位までの昇進が保証されるという点に疑問が残ります。

民間企業でも似たような制度を今でも継続している企業があり、この根本概念が変化しない限り正規・非正規の問題も、長時間労働を誘発する全人格的労働慣行も解決しないでしょう。
以下引用になりますが、1970年代初頭、米国ノースカロライナ州で示唆に富む社会実験が行なわれました。
この実験では0歳の子供が5歳まで成長する過程で、「大人が子を手厚くケアする」グループと、しないグループに分け、40年後の学歴や健康などを追跡調査しました結果は、幼児期のケアの重要性を示すもので、“手厚いケア群”が大学を卒業する確率は、“手厚いケアをしなかった群”より4倍も高く、健康度も高いことがわかったのです。(Frances A. et al. “Adult Outcomes as aFunction of an Early Childhood Educational Program”)

日本ではこれらの社会実験を「優秀な子を育てる英才教育」とみる傾向がりますが、実際にはそうではありません。確かに小学低学年までのIQは高まっていますが、その後効果は持続していないのです。
一方、学校を卒業するまで学び続ける力、企業などで働き続ける力、賃金を得る力などの、いわゆる「生きる力」は5歳まで、どれだけ大人に手厚いケアを受けたかで大きく変わります。

このように困難を乗り越えるたくましさ、市場経済の競争に破れたときの打たれ強さ健康に暮す力、などが大変重要で、後天的に得られたいわゆるIQ的な点数は「国を成長させ、社会を豊かにする力」には大きな要素ではないことを示しています。

最初に書いたように、後天的に得られる点数で身分的な固定化を図るような慣行が改善され、有能な人材が自由に活躍できる社会の実現を目指そうではありませんか。

コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏

1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。

田原中男氏の尖った提案 バックナンバー

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2017.12.4 その134 もっと楽観的になろう
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2017.10.29 その129 映画 ドリーム
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2017.01.29 その91 働き方改革2
2017.01.22 その90 働き方改革
2017.01.09 その88 時期尚早
2017.01.04 その87 あけましておめでとうございます
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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com