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会計実務家コラム
会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
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田原中男氏の尖った提案
2018/7/6 その163 不作為の作為
学生時代の行政法の授業で初めて聞いた時にはとても新鮮に感じられましたが残念ながら当時から主流派の意見ではありませんでした。
不作為の作為とは何か。
法律を適用しない「起訴しない」という行為は法律違反ではありませんが、その判断には恣意的な意図が生じやすくなりますので、何もしない「起訴しない」こと自体がが違法だという考え方です。
法律があって該当するかどうかを検討するのではなく、まず事実がありその違法性を立証するために適用できる法律を探して立件するという義務があり、何もしないことそのものが問題だという考え方で、行政の世界ではよくある「泣き寝入り」を防ごうとするものと言っても良いでしょう。政策レベルに眼を転じると、もっと明確に見えてきます。
例えば今、日本で根本的に考えなくてはならない課題がたくさんあります。すぐに問題が生じるわけではありませんが中長期的には大きな課題で、解決を先延ばしするほど難しくなるような事態がたくさんあり、本来政府は対策を提示し国民の理解を得る(政策提示による選挙)必要がありますが行われていません。これも「不作為の行為」です
■ 参議院のあり方の提示ではなく、人口減少の中で定員増加という安直な選挙法改正
■ 世界で最も早い人口構成の高年齢化に対する施策
■ 人口の高齢化に伴う医療費等の増加に対する抜本的な対策の提示
■ 急増する国債発行残高に対する償還方法とその影響
■ 国の歳入比率を考慮すると避けられない消費税増税(欧州諸国では20%台)
■ 時価総額の10%を超える公的資金の株式市場への投入に対し撤退時期とその影響
これらの課題に対して将来像を提示するのが政治の本来の役割ですが、残念ながら何もできていません。まさに不作為の作為なのです。
議員内閣制度においてはどうしても行政の力が強くなってしまいます。三権分立の考え方から言え、立法の意義が疑われる案件に対し憲法裁判所のような司法が介入する仕組みも必要かもしれません。また、行政府と一体化した与党が立法府を形骸化してしまうことに対するチュック機能も必要でしょう。
同じ議院内閣制の英国では党議拘束は限られた案件に絞られ、議会での与党と政府の議論も活発に行われています。ほとんどの案件に党議拘束をかける日本の現状に対する見直し議論もあってしかる
べきですがここでも「不作為の作為」が働いています。
学生時代の行政法の授業で初めて聞いた時にはとても新鮮に感じられましたが残念ながら当時から主流派の意見ではありませんでした。
不作為の作為とは何か。
法律を適用しない「起訴しない」という行為は法律違反ではありませんが、その判断には恣意的な意図が生じやすくなりますので、何もしない「起訴しない」こと自体がが違法だという考え方です。
法律があって該当するかどうかを検討するのではなく、まず事実がありその違法性を立証するために適用できる法律を探して立件するという義務があり、何もしないことそのものが問題だという考え方で、行政の世界ではよくある「泣き寝入り」を防ごうとするものと言っても良いでしょう。政策レベルに眼を転じると、もっと明確に見えてきます。
例えば今、日本で根本的に考えなくてはならない課題がたくさんあります。すぐに問題が生じるわけではありませんが中長期的には大きな課題で、解決を先延ばしするほど難しくなるような事態がたくさんあり、本来政府は対策を提示し国民の理解を得る(政策提示による選挙)必要がありますが行われていません。これも「不作為の行為」です
■ 参議院のあり方の提示ではなく、人口減少の中で定員増加という安直な選挙法改正
■ 世界で最も早い人口構成の高年齢化に対する施策
■ 人口の高齢化に伴う医療費等の増加に対する抜本的な対策の提示
■ 急増する国債発行残高に対する償還方法とその影響
■ 国の歳入比率を考慮すると避けられない消費税増税(欧州諸国では20%台)
■ 時価総額の10%を超える公的資金の株式市場への投入に対し撤退時期とその影響
これらの課題に対して将来像を提示するのが政治の本来の役割ですが、残念ながら何もできていません。まさに不作為の作為なのです。
議員内閣制度においてはどうしても行政の力が強くなってしまいます。三権分立の考え方から言え、立法の意義が疑われる案件に対し憲法裁判所のような司法が介入する仕組みも必要かもしれません。また、行政府と一体化した与党が立法府を形骸化してしまうことに対するチュック機能も必要でしょう。
同じ議院内閣制の英国では党議拘束は限られた案件に絞られ、議会での与党と政府の議論も活発に行われています。ほとんどの案件に党議拘束をかける日本の現状に対する見直し議論もあってしかる
べきですがここでも「不作為の作為」が働いています。
コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏
1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
田原中男氏の尖った提案 バックナンバー
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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com
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