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会計実務家コラム
会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
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田原中男氏の尖った提案
2018/6/22 その161 アベノミクスを検証する
最近はアベノミクスという言葉も聞かれませんが、5年前に始まったアベノミクスは結局どうなったのでしょうか?
結論から言えば、何も成果を産んでいないのではないでしょうか。
一見、株価はある程度の水準に達し物価やGDPも何とか0.5~1.0とプラスになっていますが、賃金は上がらず生活保護対象世帯は過去最高水準になっています。
何故かと言えば、世界経済の回復と数字のマジックなのです。株価で言えば政府系ファンドを通じた日銀の介入で日経平均は2,000円ほど高いと言われています。
また、最近の世界経済の回復により海外での企業収益力は増加していて、日系企業の海外子会社もその恩恵にあずかっています。
さらに、円安でドル建てやユーロ建ての海外での利益は円表示ではかさ上げされていますが、国内での収益力はそれほど大きくありませんので国内の社員に円で支払う給与は増やせないのです。
さて、アベノミクスに戻りますが2013年2月にこのように言いました。
“三本の矢”は順番が違うと言うこと。
まず、産業政策示し、それに必要な財政出動があり、資金面からのバックアップとして大胆な金融緩和が来る。このように道筋が明確であれば日銀も政策手段を選択しやすく、また結果に対する責任と言うことも言えるでしょうが、金融緩和のみでデフレを脱却し、その責任を日銀にとらせると言うのは政治家の責任逃れに過ぎないのではないでしょうか。
また2015年11月にはこのように指摘もしました。
そもそも、10兆円の需要不足があるのが不況、デフレの原因と言われてきましたので順番としては需要創出、過剰供給の解消があって需給バランスが逼迫すれば自然とインフレ傾向となる、つまりデマンドプル型のデフレ脱却となります。
需要不足の中で金融緩和をしても、投資は増えず余剰資金は止むを得ず国債と株式市場に流れ、株高と金利の低下をもたらすものの設備稼働率上昇は輸出の増加分のみで国内への還元は少ないのです。それでも物価上昇すればコストプッシュ型の見かけのデフレ脱却で、早晩景気は下振れてしまいます。
どうもアベノミクスは国内需要増加という好循環を生み出してはいないようで一部の富裕層にバブル的な余剰資産を与えただけのようです。
マスコミも経済評論家ももっとしっかりとした立ち位置で現状分析と批評をすべきでそのことで健全な議論のベースができるのですが、無気力、無風状態になってしまいました。
最近はアベノミクスという言葉も聞かれませんが、5年前に始まったアベノミクスは結局どうなったのでしょうか?
結論から言えば、何も成果を産んでいないのではないでしょうか。
一見、株価はある程度の水準に達し物価やGDPも何とか0.5~1.0とプラスになっていますが、賃金は上がらず生活保護対象世帯は過去最高水準になっています。
何故かと言えば、世界経済の回復と数字のマジックなのです。株価で言えば政府系ファンドを通じた日銀の介入で日経平均は2,000円ほど高いと言われています。
また、最近の世界経済の回復により海外での企業収益力は増加していて、日系企業の海外子会社もその恩恵にあずかっています。
さらに、円安でドル建てやユーロ建ての海外での利益は円表示ではかさ上げされていますが、国内での収益力はそれほど大きくありませんので国内の社員に円で支払う給与は増やせないのです。
さて、アベノミクスに戻りますが2013年2月にこのように言いました。
“三本の矢”は順番が違うと言うこと。
まず、産業政策示し、それに必要な財政出動があり、資金面からのバックアップとして大胆な金融緩和が来る。このように道筋が明確であれば日銀も政策手段を選択しやすく、また結果に対する責任と言うことも言えるでしょうが、金融緩和のみでデフレを脱却し、その責任を日銀にとらせると言うのは政治家の責任逃れに過ぎないのではないでしょうか。
また2015年11月にはこのように指摘もしました。
そもそも、10兆円の需要不足があるのが不況、デフレの原因と言われてきましたので順番としては需要創出、過剰供給の解消があって需給バランスが逼迫すれば自然とインフレ傾向となる、つまりデマンドプル型のデフレ脱却となります。
需要不足の中で金融緩和をしても、投資は増えず余剰資金は止むを得ず国債と株式市場に流れ、株高と金利の低下をもたらすものの設備稼働率上昇は輸出の増加分のみで国内への還元は少ないのです。それでも物価上昇すればコストプッシュ型の見かけのデフレ脱却で、早晩景気は下振れてしまいます。
どうもアベノミクスは国内需要増加という好循環を生み出してはいないようで一部の富裕層にバブル的な余剰資産を与えただけのようです。
マスコミも経済評論家ももっとしっかりとした立ち位置で現状分析と批評をすべきでそのことで健全な議論のベースができるのですが、無気力、無風状態になってしまいました。
コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏
1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
田原中男氏の尖った提案 バックナンバー
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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com
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