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会計実務家コラム

会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。

田原中男氏の尖った提案

2019/2/1 その192 不祥事はなぜなくならないのか

最近も厚労省の統計データの基本的な誤りが公表され、統計そのものの信頼性が損なわれるような事態が発生しましたが、なぜ次々とこのような事態が発生するのでしょうか。いつの場合も『第三者委員会』が設立され、原因の究明と再発防止策が発表されますがすぐに次の事態が発生してしまいます。

どうして官公庁や企業の不祥事は無くならないのでしょうか。それは、もともと根本的に解決しようという『意思』がないからです。たまたま見つかったのは不運だった、どこでもやっているのに自分達だけ正直にやれば、競争力・組織の品格が落ちると考えているので、少数のスケープゴーを処分して?被り、処分者には裏で十分な保障を与えて口封じというのが実態ではないでしょうか。

組織のトップに職業倫理観がないことが根本原因で、今回の厚労省の統計問題でも第三者委員会と言いながら、厚労省と関係のある『第三者』が調査し、一週間であれだけの報告書を作成することはあり得ません。調査すべき対象を特定し、面談予定を組み、質問を整え、面談し、その結果を整理し原因特定をし、対策を考え、報告書原案を作成し、整合性を見直し、最終案をまとめ印刷する過程が一週間でできるとは思えません。

一週間で印刷された報告書ができてきた時点で内容に疑問を抱くべきで、報道にもあるように厚労省内部で報告書原案が第三者委員会とは別に作成されていたと考えざるを得ません。もっと厳しく言えば、報告書原案に沿って第三者委員会が活動したと言われてもやむを得ない事態です。

何故か?解決しようという意思がないからです。
嘆かわしいことですが、結局は社会を反映しているので、国民全体の課題でもあります。国民がもっと怒りを表すことが重要ですが、世論調査の結果を見ても『怒り』よりも『諦め』が先に立っているようです。全豪オープンの大坂選手の試合のように厳しい局面を切り抜けるタフな精神力が国民にも求められています。

コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏

1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。

田原中男氏の尖った提案 バックナンバー

2019.01.30 その191 逃 2018年の漢字
2019.01.23 その190 フェアプレーとは何だろう
2019.01.08 その189 あけましておめでとうございます
年初に期待すること:新しい夢を持とう
2019.01.07 その188 平成最後の天皇陛下誕生日会見
2018.12.27 その187 民主主義は議論だ
2018.12.20 その186 品質保証と身分制組織
2018.12.17 その185 東大卒が日本をダメにする?
2018.12.11 その184 三題噺 英米法とお上と忖度
2018.11.29 その183 徴用工の亡霊か?
2018.11.15 その182 積極性の楽しさ
2018.11.15 その181 JRの計画運休
2018.11.09 その180 試合中の事故で賠償?
2018.11.08 その179 私の憲法改正
2018.11.06 その178 虫眼鏡社会
2018.10.23 その177 一億総無責任時代
2018.10.05 その176 再び寛容と忍耐を
2018.10.05 その175 労働法の改正で自由な働き方を
2018.09.27 その174 国際感覚を磨こう
2018.09.19 その173 役職定年って何だろう
2018.09.14 その172 外見が変わると中身も変わる
2018.09.05 その171 そして誰もいなくなった
2018.08.31 その170 大学無償化前に必要なこと
2018.08.10 その169 プロの活用
2018.08.10 その168 やはり日本には投資家はいなかった
2018.08.10 その167 茹でガエルになっていないか?
2018.08.01 その166 民主主義とは何か
2018.07.18 その165 ピンボケの働き方改革
2018.07.10 その164 なぜ、閉塞感なのか
2018.07.06 その163 不作為の作為
2018.06.29 その162 日中露とかけて今を楽しむと解く
2018.06.22 その161 アベノミクスを検証する
2018.06.12 その160 農業国アメリカ
2018.06.05 その159 北朝鮮に1ポイント
2018.06.04 その158 融資から投資へ
2018.5.30 その157 翻訳と文化
2018.5.22 その156 ロボコンの功罪
2018.5.15 その155 北朝鮮問題を考える
2018.5.8 その154 団塊の世代と大学闘争
2018.4.23 その153 MBA経営が会社をダメにする?
2018.4.17 その152 Pentagon Papers
2018.4.13 その151 働き方改革 その8 仕事量の削減が秘密の鍵
2018.4.2 その150 発言の取り消しとは何だろう
2018.3.26 その149 百年の計を見通した今の課題
2018.3.19 その148 プロの活用
2018.3.11 その147 女性の社会的進出
2018.3.5 その146 今、何が必要なのか
2018.2.26 その145 働き方改革 その7 裁量労働制の議論が横道に
2018.2.19 その144 働き方改革 その6 身近なことから改革しよう
2018.2.13 その143 Space-Xのロケットは23階建てのビルと同じ
2018.2.5 その142 政治とマーケティング
2018.1.29 その141 会議とコーヒーブレーク
2018.1.22 その140 幼稚園に見る最近の世相
2018.1.15 その139 やはり生産性の向上がこれからの鍵
2018.1.9 その138 正月早々ですが、頑張れの意味を込めて〝ひ弱な日本〟に喝!
2017.12.25 その137 日本本社の設立はできるか
2017.12.18 その136 再び身分制度を考える
2017.12.11 その135 NHK受信料
2017.12.4 その134 もっと楽観的になろう
2017.11.27 その133 仕事に必要な六つの資質
2017.11.21 その132 プロのコーチの存在感
2017.11.13 その131 経済学の当てはまらない時代
2017.11.05 その130 日産、スバルの完成検査
2017.10.29 その129 映画 ドリーム
2017.10.23 その128 日本沈没
2017.10.16 その127 部長が多すぎる
2017.10.10 その126 日本のバーニー・サンダース出でよ
2017.10.03 その125 働き方改革 その5
2017.09.25 その124 規制、補助金、入札
2017.09.19 その123 カッシーニ土星へ突入
2017.09.11 その122 中小企業の力
2017.09.04 その121 優柔不断と時期尚早
2017.08.28 その120 サムライジャパンのユニフォーム
2017.08.21 その119 国民皆保険
2017.08.14 その118 中島春雄さん
2017.08.07 その117 8月6日、9日、15日 そして7月31日
2017.07.31 その116 働き方改革は働かせ方改革
2017.07.24 その115 目的と手段
2017.07.19 その114 出遅れる日本企業
2017.07.04 その113 私の参議院・選挙改革
2017.06.27 その112 日本的経営の終焉とこれから:その4
2017.06.19 その111 日本的経営の終焉とこれから:その3
2017.06.14 その110 日本的経営の終焉とこれからの時代:その2
2017.06.05 その109 日本的経営の終焉とこれからの時代:その1
2017.05.28 その108 勝ち馬に乗る
2017.05.21 その107 ガバナンス、民主主義、多数決
2017.05.17 その106 何故、コンサルは役に立たないのか?
2017.05.08 その105 働き方改革 その3
2017.05.01 その104 決算発表は何故遅れる?
2017.04.23 その103 新しい産業をどうやって起こすか?
2017.04.16 その102 日本式経営、絶頂の30年、惰性の30年、そして衰退の30年
2017.04.09 その101 ワグナーの曲は美しいか?
2017.04.02 その100 日本人とは
2017.03.27 その99 本質を見抜く力を養おう
2017.03.19 その98 企業の寿命は?
2017.03.12 その97 公人、私人?
2017.03.05 その96 国家百年の計
2017.02.27 その95 プレ金?
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