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会計実務家コラム

会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。

田原中男氏の尖った提案

2019/5/10 その206 民主主義の基本

もちろん三権分立とその背後にある概念のLiberte, Egalite, Fraterniteです。大統領制度を持たない議員内閣制度の場合、三権分立は少しややこしいくなります。日本の場合、議会で首班指名をするので不信任が可決された場合の解散(憲法69条)は立法と行政の緊張関係を保つための方法だと考えられます。憲法69条の規定により内閣不信任案が可決された場合、つまり議会が内閣を不信任とした場合、総辞職か議会を解散するという選択肢があります。ここに議会と内閣との緊張関係が存在するのです。

一方で7条解散は天皇の国事行為を規定した条文ですが、天皇に政治的判断はできないことから内閣の助言と承認に依ることとなり、実質的に内閣に解散権があると考えられ吉田内閣で初めて実施されて以来慣習化しています。憲法上7条解散が適法かどうかについては議論が分かれています。実質的に内閣に解散権があるとすると行政が立法より上位にあることになってしまうので、見直しが必要だと考えます。

日本では、明治以来の成り立ちから常に行政が立法の上位にあります。明治政府はもちろん明治元年に始まったのですが、議会はそれから遅れること22年、明治の半ばになって初めて開設されました。その間は行政府がすべての仕組みを独占的に決定していたわけで、政府としては三権分立の形式を整えるために議会の開設をしましたが、実務上は行政府が優位に立てるような考え方があったことは間違いがありません。新憲法下でも基本構造は変わっていないので、今でも行政優位のかたちが続いています。

立法の実態をみてもほとんどが政府提出の法案で、他国のような議員立法は極端に少なくなっていて、行政を自由に行うために立法府を形式的に利用しているとみられても仕方がありません。7条解散はその象徴的な行為だと考えられます。
行政の独善先行を防ぐためにも解散権の制限を加えるべきでしょう。重要法案や主要な条約締結の否決の場合に限って解散を認めるようにすれば参議院議員と同じように衆議院議員も任期を全うするまで安心して機械活動に専念できます。

コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏

1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。

田原中男氏の尖った提案 バックナンバー

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2018.1.9 その138 正月早々ですが、頑張れの意味を込めて〝ひ弱な日本〟に喝!
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2017.10.29 その129 映画 ドリーム
2017.10.23 その128 日本沈没
2017.10.16 その127 部長が多すぎる
2017.10.10 その126 日本のバーニー・サンダース出でよ
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2017.09.19 その123 カッシーニ土星へ突入
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2017.09.04 その121 優柔不断と時期尚早
2017.08.28 その120 サムライジャパンのユニフォーム
2017.08.21 その119 国民皆保険
2017.08.14 その118 中島春雄さん
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