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会計実務家コラム
会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
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田原中男氏の尖った提案
2019/3/18 その198 言葉の重みと覆水盆に返らずの諺
周の呂尚は仕事もせずに本ばかり読んでいたので妻に離縁されたが、その後斉の国で顕位に上りのちに太公望と呼ばれるようになった。そこで妻は復縁を申し出たが太公望は水の入った盆を持ってきて、水を床にこぼし、「この水を盆の上に戻してみよ。」と言ったことが原典で取り返しのつかないことの例えとして使われています。翻って、最近の新聞で気になるのは『前言を取り消します』『謝罪して発言を取り消します』等発言が多いことです。諺にもあるとおり、一度口から出た言葉は無くなりません。
関連して、最近の新聞記事で天皇陛下についての座談会で次のような記事があり天皇陛下がどれだけ言葉に注意し、様々なことを斟酌してお言葉を述べられているかを示したものですが、謝罪して取り消しますという態度との落差の大きさに自己への責任感の落差を感じてしまいました。
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全国戦没者追悼式で冒頭の言葉、「本日、戦没者を追悼し」と言うのはあたりまえのことなんですが、そのあとに「平和を祈念する日にあたり」と言われているんですよ。このとき、「あれっ?『平和を祈念する日』じゃないんじゃないか」と思いましたが、本当は「戦没者を追悼し平和を祈念する日」なんですね。1982年に閣議で決まったんです。
陛下は即位して最初の追悼式からずっと「平和を祈念する日」と言われているんですよ。何度でも同じ言葉を言って国民に伝えたいという思いがよく分かりましてね。それともう一つ「この過去の歴史をその後の時代とともに正しく理解しようと努めることは日本人自身にとって、また日本人が世界の人々と交わっていく上にも極めて大切なことと思います」
事実と真実の違いがあると思うんです。「事実」というのは、子供の絵日記で朝5時に起きてラジオ体操をしてどうのというのが「事実」です。「真実」というのは、永井荷風が「断腸亭日乗」で「きょうは特記すべき事無し」と書くようなことです。自分の生活パターンでいつもと同じことを繰り返している。だからそのように書く。これが「真実」です。
天皇陛下が8月15日のお言葉で繰り返し同じことを語っているのは、真実を語っていることだと思うんです。
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一つ一つの言葉をどれだけ推敲して発言しているかという意識の差を感じます。
周の呂尚は仕事もせずに本ばかり読んでいたので妻に離縁されたが、その後斉の国で顕位に上りのちに太公望と呼ばれるようになった。そこで妻は復縁を申し出たが太公望は水の入った盆を持ってきて、水を床にこぼし、「この水を盆の上に戻してみよ。」と言ったことが原典で取り返しのつかないことの例えとして使われています。翻って、最近の新聞で気になるのは『前言を取り消します』『謝罪して発言を取り消します』等発言が多いことです。諺にもあるとおり、一度口から出た言葉は無くなりません。
関連して、最近の新聞記事で天皇陛下についての座談会で次のような記事があり天皇陛下がどれだけ言葉に注意し、様々なことを斟酌してお言葉を述べられているかを示したものですが、謝罪して取り消しますという態度との落差の大きさに自己への責任感の落差を感じてしまいました。
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全国戦没者追悼式で冒頭の言葉、「本日、戦没者を追悼し」と言うのはあたりまえのことなんですが、そのあとに「平和を祈念する日にあたり」と言われているんですよ。このとき、「あれっ?『平和を祈念する日』じゃないんじゃないか」と思いましたが、本当は「戦没者を追悼し平和を祈念する日」なんですね。1982年に閣議で決まったんです。
陛下は即位して最初の追悼式からずっと「平和を祈念する日」と言われているんですよ。何度でも同じ言葉を言って国民に伝えたいという思いがよく分かりましてね。それともう一つ「この過去の歴史をその後の時代とともに正しく理解しようと努めることは日本人自身にとって、また日本人が世界の人々と交わっていく上にも極めて大切なことと思います」
事実と真実の違いがあると思うんです。「事実」というのは、子供の絵日記で朝5時に起きてラジオ体操をしてどうのというのが「事実」です。「真実」というのは、永井荷風が「断腸亭日乗」で「きょうは特記すべき事無し」と書くようなことです。自分の生活パターンでいつもと同じことを繰り返している。だからそのように書く。これが「真実」です。
天皇陛下が8月15日のお言葉で繰り返し同じことを語っているのは、真実を語っていることだと思うんです。
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一つ一つの言葉をどれだけ推敲して発言しているかという意識の差を感じます。
コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏
1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
田原中男氏の尖った提案 バックナンバー
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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com
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