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会計実務家コラム
会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
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田原中男氏の尖った提案
2021/1/13 その289 携帯電話料金
政府が携帯電話料金の引き下げを目指して「競争原理を導入」したいとのことですが本質を捉えているのでしょうか。アダム・スミスの富国論によれば完全で自由な市場では競争原理が働き「見えざる神の手」によって需給の均衡点で適切な価格が形成されるとされています。
しかし、いつの時代にも「完全で自由な市場」は存在せず、何らかの規制が必要で規制が存在する分だけ本来の適正水準での均衡点からは異なる価格形成がなされるというのが現代の共通した認識です。
それでは日本の携帯電話市場はどうなっているのでしょうか。限定された電波を使う「土管」である通信ネットワークの建設・維持は認可制で競争は著しく制限されていますがこれは諸外国とも同様です。「土管」を整備した会社はその建設費と維持費を通信料として回収しますので通信料は高い方が有利ですし、限定された会社間ですから料金は高止まりする傾向にあります。もし、日本のようにネットワークを持つ会社が端末販売も通信回線も同時に販売できれば独占的な地位を維持できます。
当初SIMロックがあってA社の端末を購入するとA社の通信回線を使用せざるを得なくなると高い通信料が維持され、競争は通信料金ではなく、いかに多くの端末を売って通信料を得るかということになりますから端末の値引き販売で囲い込みをするという構図ができあがりました。
SIMロックが消滅した後は他の回線への切り替え手数料で囲い込み、今回それも消滅するのでようやく少し競争できるようになりましたが、本質は回線を独占的に保持し続けることで格安携帯への回線使用料は高値維持できますので、競争条件は公平ではありません。
ではなぜヨーロッパでは安くなったかというと、回線使用契約と端末販売が分離されているからでヨーロッパ共通規格であれば他国で購入した端末をそのまま使用できるので端末の安値販売で顧客を囲い込み高い通信量を取るとこが難しい
からです
世界的に見て単価の高いiPhoneのシェアが異常に高い日本は廉価販売と高い通信料での端末値引きの回収という歪な構造によるもので、回線使用料の競争がないことに原因があります。
本当に携帯料金を引き下げようとすれば政府が価格にまで規制をかけるのではなく回線と端末販売を分離すれば本当の意味での競争が起きて自然に価格は下がりますし消費者はサービス内容で通信会社を選択することができます。
政府が携帯電話料金の引き下げを目指して「競争原理を導入」したいとのことですが本質を捉えているのでしょうか。アダム・スミスの富国論によれば完全で自由な市場では競争原理が働き「見えざる神の手」によって需給の均衡点で適切な価格が形成されるとされています。
しかし、いつの時代にも「完全で自由な市場」は存在せず、何らかの規制が必要で規制が存在する分だけ本来の適正水準での均衡点からは異なる価格形成がなされるというのが現代の共通した認識です。
それでは日本の携帯電話市場はどうなっているのでしょうか。限定された電波を使う「土管」である通信ネットワークの建設・維持は認可制で競争は著しく制限されていますがこれは諸外国とも同様です。「土管」を整備した会社はその建設費と維持費を通信料として回収しますので通信料は高い方が有利ですし、限定された会社間ですから料金は高止まりする傾向にあります。もし、日本のようにネットワークを持つ会社が端末販売も通信回線も同時に販売できれば独占的な地位を維持できます。
当初SIMロックがあってA社の端末を購入するとA社の通信回線を使用せざるを得なくなると高い通信料が維持され、競争は通信料金ではなく、いかに多くの端末を売って通信料を得るかということになりますから端末の値引き販売で囲い込みをするという構図ができあがりました。
SIMロックが消滅した後は他の回線への切り替え手数料で囲い込み、今回それも消滅するのでようやく少し競争できるようになりましたが、本質は回線を独占的に保持し続けることで格安携帯への回線使用料は高値維持できますので、競争条件は公平ではありません。
ではなぜヨーロッパでは安くなったかというと、回線使用契約と端末販売が分離されているからでヨーロッパ共通規格であれば他国で購入した端末をそのまま使用できるので端末の安値販売で顧客を囲い込み高い通信量を取るとこが難しい
からです
世界的に見て単価の高いiPhoneのシェアが異常に高い日本は廉価販売と高い通信料での端末値引きの回収という歪な構造によるもので、回線使用料の競争がないことに原因があります。
本当に携帯料金を引き下げようとすれば政府が価格にまで規制をかけるのではなく回線と端末販売を分離すれば本当の意味での競争が起きて自然に価格は下がりますし消費者はサービス内容で通信会社を選択することができます。
コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏
1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
田原中男氏の尖った提案 バックナンバー
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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com
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