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会計実務家コラム
会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
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田原中男氏の尖った提案
2020/2/17 その244 マニュアルは絶対か?
マニュアルの整備は必要ですが、逆に思考力を低下させている面もあります。マニュアル通りに仕事をすれば考えたり判断する必要がないし、責任も回避できます。国際学習到達度調査(PISA)での読解力の低下はスマホやゲームの影響ではなく単に学校教育の質の低下によるものではないかと思われます。
Show and tellのようなものを取り入れれば改善されることは必至です。幼少期に本を読まなくなったのは確かですが、何かに関心を持てば長じてから本を読むようになることは諸外国の大学教育を見ても明らかです。長文をもとに議論するような授業をすれば大幅に改善されることは明らかです。要するに,昨年末の英語や記述式導入の混乱にもあるように、原因は単に文科省の考える力の不足、つまり実力低下によるものでしょう。
最初の話題に戻りますが、現象と原因は必ずしも一致しないので、真の原因を探ることが肝心です。マニュアルは原因が明確になれば有効ですが、現象面を原因として捉えがちで結果的に必要な対策が取られないことがあります。やや古い話になりますがJR西の台車亀裂、先頭車両の破損を例に考えて見ましょう。
台車作成過程で部材組み合わせの都合で材料を過度に削ったことが原因で、多少の微調整ならともかく厚みの半分近くを削るというのは設計上考えられていなかったのではないでしょうか。現場の作業を把握していれば過度の切削はダメだという認識がある筈で設計者が現場の状況を把握していない、設計したら終わりあとは現場の責任という態度にこそ問題があります。さらに、小倉駅で乗車の乗客が破損を見ていながら駅員は見ていても確認作業をしなかったのはマニュアルにないからなのか?
現場から離れた運行指令室が全権限を持つというマニュアルも運行上は良いとしてもリスク管理上は問題があります。状況のわかる現場がもっと権限と責任を持つべきです。組織運営上の問題がない前提の作業マニュアルは、問題が発生した場合の手順にはならないということで、リスク管理のマニュアルができていないことが真の原因でしょうし、マニュアル通りといえば責任から免れるという意識もあるのではないでしょうか。
マニュアルの整備は必要ですが、逆に思考力を低下させている面もあります。マニュアル通りに仕事をすれば考えたり判断する必要がないし、責任も回避できます。国際学習到達度調査(PISA)での読解力の低下はスマホやゲームの影響ではなく単に学校教育の質の低下によるものではないかと思われます。
Show and tellのようなものを取り入れれば改善されることは必至です。幼少期に本を読まなくなったのは確かですが、何かに関心を持てば長じてから本を読むようになることは諸外国の大学教育を見ても明らかです。長文をもとに議論するような授業をすれば大幅に改善されることは明らかです。要するに,昨年末の英語や記述式導入の混乱にもあるように、原因は単に文科省の考える力の不足、つまり実力低下によるものでしょう。
最初の話題に戻りますが、現象と原因は必ずしも一致しないので、真の原因を探ることが肝心です。マニュアルは原因が明確になれば有効ですが、現象面を原因として捉えがちで結果的に必要な対策が取られないことがあります。やや古い話になりますがJR西の台車亀裂、先頭車両の破損を例に考えて見ましょう。
台車作成過程で部材組み合わせの都合で材料を過度に削ったことが原因で、多少の微調整ならともかく厚みの半分近くを削るというのは設計上考えられていなかったのではないでしょうか。現場の作業を把握していれば過度の切削はダメだという認識がある筈で設計者が現場の状況を把握していない、設計したら終わりあとは現場の責任という態度にこそ問題があります。さらに、小倉駅で乗車の乗客が破損を見ていながら駅員は見ていても確認作業をしなかったのはマニュアルにないからなのか?
現場から離れた運行指令室が全権限を持つというマニュアルも運行上は良いとしてもリスク管理上は問題があります。状況のわかる現場がもっと権限と責任を持つべきです。組織運営上の問題がない前提の作業マニュアルは、問題が発生した場合の手順にはならないということで、リスク管理のマニュアルができていないことが真の原因でしょうし、マニュアル通りといえば責任から免れるという意識もあるのではないでしょうか。
コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏
1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
田原中男氏の尖った提案 バックナンバー
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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com
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