• TOP
  • ≫ メッセージ

会計実務家コラム

会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。

田原中男氏の尖った提案

2019/11/18 その232 瓢箪から駒で世界の潮流が変わる

ジョン万次郎が鳥島で救助されたのはアメリカの捕鯨船、この時代には太平洋のみならず日本海側でも捕鯨が行われていましたが、もちろん鯨の肉を採るのではなく鯨油の採取が目的でしたから、船上で搾油した後鯨肉は海に捨てていました。鯨油は石油が利用され始めても原潜で使われる潤滑油には最後まで鯨油が使われていました。通常型潜水艦より遥かに深いところまで潜航できる原潜には極低温でも使用できる潤滑油が必要で、石油由来の代替品はなかなかできなかったからです。

しかし、アメリカで高性能の合成潤滑油が完成した時に、鯨の保護を唱え、冷戦の相手であるソ連が鯨油を入手できないようにしたのです。米軍やアメリカ政府が直接鯨の保護を訴えるのではなく、環境保護団体に援助することで世界的な動きを作り上げたのです。似たようなことは禁煙にもあります。アメリカから始まった禁煙は、当初の目的は麻薬撲滅が主たる目的でした。マリファナはタバコのように吸えるので、職場や公共の場所でもタバコを吸うようにマリファナを吸うことが始まり、取締りが困難だったのです。そこで、タバコを含めた全面的禁煙活動を始めたのです。もっとも、その後アメリカを始めたとして禁煙は広まったものの、逆にマリファナは
嗜好品として認められるところが増えてしまいました。これらはまさに「瓢箪から駒」と言えるかもしれません。

11月9日はベルリンの壁が崩壊した記念日ですが、これもきっかけはちょっとした誤解からでした。東欧諸国では既に旅行制限の緩和が進んでおり、連日デモが続いていた東独でもホーネッカー議長が人気挽回を目指して東欧圏内の旅行の自由化を決めました。そのニュースを聞いた東ベルリンの市民が検問所を訪れ、いつから変更なのかを問い合わせたところ、政府の担当者が政府の中枢に問い合わせることなく、決定したなら今から有効と答えたために、多数の市民が西ベルリンへの検問所に押しかけ守備隊は止めたら暴動になると感じ、通過を認めたために、東欧圏のみならず西側への通過が既成事実としてしまったのです。
元々、このような情報は東独内では流れることはなかったのですが、多くの市民が西側の放送を聞いていたために起きたことです。

やってみないと分からないことも沢山あると言うことですから、なんでも無理と思わずにチャレンジすることが大切です。

コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏

1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。

田原中男氏の尖った提案 バックナンバー

2019.11.12 その231 大学入試の英語試験を考える
2019.11.08 その230 ポリティカルシミュレーション
2019.10.28 その229 ラグビーワールドカップ
2019.10.16 その228 何故、企業に余剰資金があるのか 
2019.10.09 その227 道徳教育は必要だ
2019.09.30 その226 責任と結果責任
2019.09.25 その225 携帯料金と災害とどちらが大切?
2019.09.17 その224 いつまで札束の上に寝ていられるのか?
2019.09.17 その223 魔女はいたのか?
2019.09.05 その222 マネジメントとは
2019.09.05 その221 内定辞退率を購入? 販売?
2019.08.15 その220 終戦の日を迎えて
2019.08.08 その219 英語教育の重要性
2019.08.06 その218 常識はずれの発想に突破口はある
2019.07.30 その217 日本企業はどこで間違ったのか その2
2019.07.22 その216 日本企業はどこで間違ったのか
2019.07.19 その215 事実は一つでも真実は二つ?
2019.07.05 その214 第2の鎖国
2019.07.05 その213 不思議な国 日本 その2
2019.06.25 その212 亡国の政治
2019.06.14 その211 無党派層は無関心層ではない
2019.06.11 その210 奈良公園の鹿
2019.06.04 その209 東大卒が日本をダメにする その2
2019.05.20 その208 高いエンゲル係数が貧困を生む
2019.05.20 その207 新天皇、新元号、新内閣?
2019.05.10 その206 民主主義の基本
2019.05.08 その205 10連休対策?
2019.04.22 その204 ピクトグラム
2019.04.15 その203 対症療法では根本的な解決はできない
2019.04.08 その202 企業利益は最高、しかし景気回復の実感がないのは何故?
2019.04.02 その201 企業統治に一貫性が必要
2019.04.01 その200 大学の授業を英語に
2019.03.19 その199 女性の活躍度は世界最低レベル
2019.03.18 その198 言葉の重みと覆水盆に返らずの諺
2019.03.11 その197 歴史は繰り返すのではなく「韻を踏む」
2019.03.04 その196 無駄の効用
2019.02.27 その195 世論調査の不思議
2019.02.18 その194 政治家の資質
2019.02.13 その193 不思議な国、日本
2019.02.01 その192 不祥事はなぜなくならないのか
2019.01.30 その191 逃 2018年の漢字
2019.01.23 その190 フェアプレーとは何だろう
2019.01.08 その189 あけましておめでとうございます
年初に期待すること:新しい夢を持とう
2019.01.07 その188 平成最後の天皇陛下誕生日会見
2018.12.27 その187 民主主義は議論だ
2018.12.20 その186 品質保証と身分制組織
2018.12.17 その185 東大卒が日本をダメにする?
2018.12.11 その184 三題噺 英米法とお上と忖度
2018.11.29 その183 徴用工の亡霊か?
2018.11.15 その182 積極性の楽しさ
2018.11.15 その181 JRの計画運休
2018.11.09 その180 試合中の事故で賠償?
2018.11.08 その179 私の憲法改正
2018.11.06 その178 虫眼鏡社会
2018.10.23 その177 一億総無責任時代
2018.10.05 その176 再び寛容と忍耐を
2018.10.05 その175 労働法の改正で自由な働き方を
2018.09.27 その174 国際感覚を磨こう
2018.09.19 その173 役職定年って何だろう
2018.09.14 その172 外見が変わると中身も変わる
2018.09.05 その171 そして誰もいなくなった
2018.08.31 その170 大学無償化前に必要なこと
2018.08.10 その169 プロの活用
2018.08.10 その168 やはり日本には投資家はいなかった
2018.08.10 その167 茹でガエルになっていないか?
2018.08.01 その166 民主主義とは何か
2018.07.18 その165 ピンボケの働き方改革
2018.07.10 その164 なぜ、閉塞感なのか
2018.07.06 その163 不作為の作為
2018.06.29 その162 日中露とかけて今を楽しむと解く
2018.06.22 その161 アベノミクスを検証する
2018.06.12 その160 農業国アメリカ
2018.06.05 その159 北朝鮮に1ポイント
2018.06.04 その158 融資から投資へ
2018.5.30 その157 翻訳と文化
2018.5.22 その156 ロボコンの功罪
2018.5.15 その155 北朝鮮問題を考える
2018.5.8 その154 団塊の世代と大学闘争
2018.4.23 その153 MBA経営が会社をダメにする?
2018.4.17 その152 Pentagon Papers
2018.4.13 その151 働き方改革 その8 仕事量の削減が秘密の鍵
2018.4.2 その150 発言の取り消しとは何だろう
2018.3.26 その149 百年の計を見通した今の課題
2018.3.19 その148 プロの活用
2018.3.11 その147 女性の社会的進出
2018.3.5 その146 今、何が必要なのか
2018.2.26 その145 働き方改革 その7 裁量労働制の議論が横道に
バックナンバーは下記URLよりご覧下さい。
BMDリサーチ http://www.bmd-r.com