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会計実務家コラム

会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。

田原中男氏の尖った提案

2019/7/16 その214 第2の鎖国 

歴史で習う鎖国は、海外との行き来のない窮屈なあるいは不自由な状況というイメージがありますが、一方で元禄時代のように文化的には隆盛を極めたという一面もあり、その時代に生きた一般の人々の感覚では鎖国という意識はなかったでしょうし、不便も感じなかったのだと思います。

さらに、長崎の出島や朝鮮使節を通してかなり海外の情報は得ていたということで、特に幕末には香港まで完成していた海底ケーブルを利用したモールス信号による通信でヨーロッパの情報は1ヶ月程度で日本にも伝わりフランス革命や普仏戦争のような情報も伝わっていたようです。勿論一般の人には全く伝わらず、幕府の役人や一部の医者、学者のみに限定されていたのは事実です。

さて、今の日本の状況はどうでしょうか。鎖国はされていませんし、我々は自由に海外にも出られますし、情報も得られますが、自らの意思でこのような活動をしているでしょうか。ひょっとすると『与えられた情報』に満足しているのではないでしょうか。どれだけの人が、スーダンやセネガルで何が起きているか知っているでしょうか。

どの地域でも時差の有無が感覚としての距離に影響しますのでヨーロッパにとってのアフリカは旧植民地という理由以外にも意識の上での結びつきが強くあり、同様にアメリカにとって南米は身近です。それでは日本にとって同じ状況にある東南アジアや東アジアはどうでしょうか。ミャンマーのロヒンジャの問題やラオスの政治状況、インドネシアの人種問題についてどれだけの情報が手に入るのでしょうか。今の日本は自らの手で鎖国状態を作っている、あるいは無意識のうちに鎖国状態に陥っているのではないでしょうか。

『日本人の9割は英語は必要ない』という広告がありました。確かに日常生活ではその通りですが、英語で得られる情報量と日本語で得られる情報量には大きな差があります。中近東や旧東ヨーロッパで皆が必死に英語の勉強をしているのは情報を得るためです。

自ら鎖国を作ることなく、もっと世界の中の日本を意識しましょう。

コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏

1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。

田原中男氏の尖った提案 バックナンバー

2019.07.05 その213 不思議な国 日本 その2
2019.06.25 その212 亡国の政治
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2019.06.11 その210 奈良公園の鹿
2019.06.04 その209 東大卒が日本をダメにする その2
2019.05.20 その208 高いエンゲル係数が貧困を生む
2019.05.20 その207 新天皇、新元号、新内閣?
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2019.04.15 その203 対症療法では根本的な解決はできない
2019.04.08 その202 企業利益は最高、しかし景気回復の実感がないのは何故?
2019.04.02 その201 企業統治に一貫性が必要
2019.04.01 その200 大学の授業を英語に
2019.03.19 その199 女性の活躍度は世界最低レベル
2019.03.18 その198 言葉の重みと覆水盆に返らずの諺
2019.03.11 その197 歴史は繰り返すのではなく「韻を踏む」
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2019.02.27 その195 世論調査の不思議
2019.02.18 その194 政治家の資質
2019.02.13 その193 不思議な国、日本
2019.02.01 その192 不祥事はなぜなくならないのか
2019.01.30 その191 逃 2018年の漢字
2019.01.23 その190 フェアプレーとは何だろう
2019.01.08 その189 あけましておめでとうございます
年初に期待すること:新しい夢を持とう
2019.01.07 その188 平成最後の天皇陛下誕生日会見
2018.12.27 その187 民主主義は議論だ
2018.12.20 その186 品質保証と身分制組織
2018.12.17 その185 東大卒が日本をダメにする?
2018.12.11 その184 三題噺 英米法とお上と忖度
2018.11.29 その183 徴用工の亡霊か?
2018.11.15 その182 積極性の楽しさ
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2018.5.8 その154 団塊の世代と大学闘争
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2018.4.13 その151 働き方改革 その8 仕事量の削減が秘密の鍵
2018.4.2 その150 発言の取り消しとは何だろう
2018.3.26 その149 百年の計を見通した今の課題
2018.3.19 その148 プロの活用
2018.3.11 その147 女性の社会的進出
2018.3.5 その146 今、何が必要なのか
2018.2.26 その145 働き方改革 その7 裁量労働制の議論が横道に
2018.2.19 その144 働き方改革 その6 身近なことから改革しよう
2018.2.13 その143 Space-Xのロケットは23階建てのビルと同じ
2018.2.5 その142 政治とマーケティング
2018.1.29 その141 会議とコーヒーブレーク
2018.1.22 その140 幼稚園に見る最近の世相
2018.1.15 その139 やはり生産性の向上がこれからの鍵
2018.1.9 その138 正月早々ですが、頑張れの意味を込めて〝ひ弱な日本〟に喝!
2017.12.25 その137 日本本社の設立はできるか
2017.12.18 その136 再び身分制度を考える
2017.12.11 その135 NHK受信料
2017.12.4 その134 もっと楽観的になろう
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2017.11.21 その132 プロのコーチの存在感
2017.11.13 その131 経済学の当てはまらない時代
2017.11.05 その130 日産、スバルの完成検査
2017.10.29 その129 映画 ドリーム
2017.10.23 その128 日本沈没
2017.10.16 その127 部長が多すぎる
2017.10.10 その126 日本のバーニー・サンダース出でよ
2017.10.03 その125 働き方改革 その5
2017.09.25 その124 規制、補助金、入札
2017.09.19 その123 カッシーニ土星へ突入
2017.09.11 その122 中小企業の力
2017.09.04 その121 優柔不断と時期尚早
2017.08.28 その120 サムライジャパンのユニフォーム
2017.08.21 その119 国民皆保険
2017.08.14 その118 中島春雄さん
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