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会計実務家コラム
会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
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田原中男氏の尖った提案
2020/4/20 その253 決断力
最近の非常事態宣言をめぐる混乱と一貫性の欠如と非論理的・非合理的な発言を見ていると非常時の決断力と責任感の欠如が如実に現れますが、これが当事者の本当の実力なのでしょう。平時にはスタッフの助言や原稿を読み上げることで表面を糊塗する事はできても非常時にはそのようなごまかしは効かず本人の実力がもろに出てしまいます。
思い起こすと東日本大震災時の政府の対応と東電の福島発電所の故吉田所長の現実を把握する能力と判断力、それに基づく行動力に決定的な差が出てしまいました。古くは、阪神淡路大震災後の対処と復興を担った石原信雄氏とそれを任命し全権を与えた村山首相の的確かつ迅速な指示命令が思い起こされます。
石原氏はのちに災害からの復興策として4つの指摘をしています。
1.時間との勝負。会議会議で答えが出ないのは禁物。スピーディーな決断
2.チームには実務経験者が必要
3.主体は県市町村が当たるべし。政府直轄は地方自治になじまない
4.巨額の財源が必要だが臨時措置としての増税に対しては人々は協力してくれる
そして村山首相は石原氏に全権を委託し、法律がないことも必要ならやる、予算は気にせず必要な額を使え、責任は首相がとると明言しましたが今回はどうでしょうか。とてもスピーディーとは言えません。
『専門家』会議を頻繁に開いていますが、受け手の大臣も実務経験がありません。『特措法』では自治体が主体と書いてあるのに、今回は政府主導になっています。財源がないから休業補償はできないと言っています。比べるまでもなく、石原さんの指摘の全てに反しています。
村山首相については一つ忘れられない体験があります。辞任の記者会見をたまたまラジオで聴いていたのですが、質疑応答の最初の3つほどの質問は幹事会社を中心とした大手新聞社からで当初の会見の中で既に述べられていた事柄に関するものでした。しかし、村山首相は誠実に回答をしていました。それから先も同様の質問があり、流石に村山さんも“既にお話ししましたが”という接頭語をつけ、それでも言葉を変えながら回答していました。
気がついた事は二つ大手新聞社の記者はあらかじめ用意した質問をしている。そのため、首相の話を聞いていない。村山首相の謙虚さと労働組合で鍛えた実務能力が今の内閣にあれば、状況は随分と違っているのでしょう。
最近の非常事態宣言をめぐる混乱と一貫性の欠如と非論理的・非合理的な発言を見ていると非常時の決断力と責任感の欠如が如実に現れますが、これが当事者の本当の実力なのでしょう。平時にはスタッフの助言や原稿を読み上げることで表面を糊塗する事はできても非常時にはそのようなごまかしは効かず本人の実力がもろに出てしまいます。
思い起こすと東日本大震災時の政府の対応と東電の福島発電所の故吉田所長の現実を把握する能力と判断力、それに基づく行動力に決定的な差が出てしまいました。古くは、阪神淡路大震災後の対処と復興を担った石原信雄氏とそれを任命し全権を与えた村山首相の的確かつ迅速な指示命令が思い起こされます。
石原氏はのちに災害からの復興策として4つの指摘をしています。
1.時間との勝負。会議会議で答えが出ないのは禁物。スピーディーな決断
2.チームには実務経験者が必要
3.主体は県市町村が当たるべし。政府直轄は地方自治になじまない
4.巨額の財源が必要だが臨時措置としての増税に対しては人々は協力してくれる
そして村山首相は石原氏に全権を委託し、法律がないことも必要ならやる、予算は気にせず必要な額を使え、責任は首相がとると明言しましたが今回はどうでしょうか。とてもスピーディーとは言えません。
『専門家』会議を頻繁に開いていますが、受け手の大臣も実務経験がありません。『特措法』では自治体が主体と書いてあるのに、今回は政府主導になっています。財源がないから休業補償はできないと言っています。比べるまでもなく、石原さんの指摘の全てに反しています。
村山首相については一つ忘れられない体験があります。辞任の記者会見をたまたまラジオで聴いていたのですが、質疑応答の最初の3つほどの質問は幹事会社を中心とした大手新聞社からで当初の会見の中で既に述べられていた事柄に関するものでした。しかし、村山首相は誠実に回答をしていました。それから先も同様の質問があり、流石に村山さんも“既にお話ししましたが”という接頭語をつけ、それでも言葉を変えながら回答していました。
気がついた事は二つ大手新聞社の記者はあらかじめ用意した質問をしている。そのため、首相の話を聞いていない。村山首相の謙虚さと労働組合で鍛えた実務能力が今の内閣にあれば、状況は随分と違っているのでしょう。
コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏
1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
田原中男氏の尖った提案 バックナンバー
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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com
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