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会計実務家コラム
会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
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田原中男氏の尖った提案
2020/12/28 その286 田植え理論
私が入社した頃は田植えは手作業でした。今のように機械であれば少人数で素早くできるのですが、手作業だと周囲の協力がないと田植えができません。また、雨が降れば延期されますし、突然晴れたら急に田植えになります。タイミングがありますからのんびりと決められた通りにやっていては全ての作業が終わらなくなりますし、必要な準備も整えている必要があります。また、当時は今と違ってあちこちでストがありました。会社でも“◯◯闘争”国鉄(JR)も“△△闘争”と言ってストを断行したものです。
その時ある工場長曰く「田植え理論」と称してスト解消前から組合員と再開準備を始めていました。24時間連操の電気炉を持っていた工場なのでスト解除から準備を始めたのでは電気炉の温度上昇に半日はかかってしまいます。そこでスト解除の方向が見えて来ると組合幹部と交渉し電気炉のスイッチを入れ監視担当者に張り付かせ、スト解除となったら直ちに操業に入るような体制を組合と連携して進めていました。
最近のコロナ対策の施策を見ていると全てが後手後手、対症療法、結果が出てから対策を考えるので拙速、抜け穴だらけになってしまっていて田植え理論のような準備ができていません。何をやるにも準備が必要で、その期間がどのくらい必要かというのはそれまでの経験から十分に把握できますし、将来のことですから可能性のある事態をいくつかシュミレーションしてそれぞれについて対策案を立案し、準備することが遅滞なく次のステップに進める方策です。
立派な学校を出てそれなりの経験があるにもかかわらずこのような準備ができないのには二つのことが考えられます。一つは無駄なことはしない。可能性のあるオプションをいくつか考えるのではなく結果が出ていることに対してだけ考えるという手抜き。
二つ目は責任を取らない。複数のオプションを作成することの余計な予算と時間が後で非難されないように事前準備をしないという手抜き。Time is Moneyという発想はありません。
多くの国では必ずシュミレーションをしてその中から状況に合った最適解を見つけるということをしていますので、コロナ対策で見られるような対症療法的アプローチでは対外交渉で先手を取ることはできません。
田植えの機械化で発想も貧困になってしまったのでしょうか。
私が入社した頃は田植えは手作業でした。今のように機械であれば少人数で素早くできるのですが、手作業だと周囲の協力がないと田植えができません。また、雨が降れば延期されますし、突然晴れたら急に田植えになります。タイミングがありますからのんびりと決められた通りにやっていては全ての作業が終わらなくなりますし、必要な準備も整えている必要があります。また、当時は今と違ってあちこちでストがありました。会社でも“◯◯闘争”国鉄(JR)も“△△闘争”と言ってストを断行したものです。
その時ある工場長曰く「田植え理論」と称してスト解消前から組合員と再開準備を始めていました。24時間連操の電気炉を持っていた工場なのでスト解除から準備を始めたのでは電気炉の温度上昇に半日はかかってしまいます。そこでスト解除の方向が見えて来ると組合幹部と交渉し電気炉のスイッチを入れ監視担当者に張り付かせ、スト解除となったら直ちに操業に入るような体制を組合と連携して進めていました。
最近のコロナ対策の施策を見ていると全てが後手後手、対症療法、結果が出てから対策を考えるので拙速、抜け穴だらけになってしまっていて田植え理論のような準備ができていません。何をやるにも準備が必要で、その期間がどのくらい必要かというのはそれまでの経験から十分に把握できますし、将来のことですから可能性のある事態をいくつかシュミレーションしてそれぞれについて対策案を立案し、準備することが遅滞なく次のステップに進める方策です。
立派な学校を出てそれなりの経験があるにもかかわらずこのような準備ができないのには二つのことが考えられます。一つは無駄なことはしない。可能性のあるオプションをいくつか考えるのではなく結果が出ていることに対してだけ考えるという手抜き。
二つ目は責任を取らない。複数のオプションを作成することの余計な予算と時間が後で非難されないように事前準備をしないという手抜き。Time is Moneyという発想はありません。
多くの国では必ずシュミレーションをしてその中から状況に合った最適解を見つけるということをしていますので、コロナ対策で見られるような対症療法的アプローチでは対外交渉で先手を取ることはできません。
田植えの機械化で発想も貧困になってしまったのでしょうか。
コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏
1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
田原中男氏の尖った提案 バックナンバー
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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com
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