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会計実務家コラム
会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
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田原中男氏の尖った提案
2021/5/11 その306 福島原発の汚染水処理に思う
福島原発の汚染水タンクが満杯になるので海洋放出を決定したが、地元の漁業関係者からの反対が強くこれからどうなるのか?
結局政府はそのまま押し切ってしまうのだろうが、いくつかの疑問を感じました。
1.なぜもっと早く決定しなかったのか
2.世界中の原発で同様の処理がされているのに何故これほどの反対があるのか
3.事故前の福島原発でも同じような放出があった筈なのに今回はなぜ反対なのか
4.黒潮が流れ着くアメリカ西海岸ではなく日本海側の中国、韓国が反対するのか
このような状況を考えると政府の進め方が稚拙であることが明確になってきました。
「原発事故=汚染水=放出=健康被害=反対」という流れは十分に理解できまさすが科学的、論理的に考えれば現時点では海洋放出しか手段がないことは明白です。これらを基礎に現状を考えると戦略性の欠如が明白です。では、本来どのようにすれば良かったのかを検証してみましょう。
2と3は不信感と過去10年の無策に対する怒りで当然の反応でしょう。4は政治的な観点から考えるべきで日中、日韓関係の悪化によるものです。それではどうすれば良かったのでしょうか。
1.早い段階からIAEAを巻き込む:対策チームにIAEAのオブザーバーを参加させる
2.同様に関係諸国にもオブザーバーの派遣を要請する
3.アメリカ、カナダ、ロシア、中国、韓国
4.地元利害関係者、特に漁業関係者の参加を求める
5.国際共同チームからの提言を求める
6.予想される対策は海洋放出になる可能性が高い
7.定期的な会議進行状況の公表と放出後のデータ公表を事前に対策案に盛り込む
事故後5年を目処に対策チームを立ち上げ検討に十分な時間をかけ、結論が出た後も地元への説明会を十分に行う。このようにすれば、結論に対して利害関係者全員が責任を持つことになり、個人レベルでの反対感情は残るものの組織としての反対は少なくなるでしょう。このような戦略は将来を見通すことで初めて立案できるので、現状から遡及して考えると「Too Little, Too Late, No Strategy」という日本の現状が浮かび上がります。風評被害に対して対策を行うと言っていますが、既に「風評」は起きていますので手遅れです、風評は起きないような対策を立てなければ意味がありません。立案のプロセスに関係者全員が参加し皆が納得することが風評対策でもあります。ここから想起されるのは日本が急坂を転げ落ちるように没落へ向かっているという事実です。
福島原発の汚染水タンクが満杯になるので海洋放出を決定したが、地元の漁業関係者からの反対が強くこれからどうなるのか?
結局政府はそのまま押し切ってしまうのだろうが、いくつかの疑問を感じました。
1.なぜもっと早く決定しなかったのか
2.世界中の原発で同様の処理がされているのに何故これほどの反対があるのか
3.事故前の福島原発でも同じような放出があった筈なのに今回はなぜ反対なのか
4.黒潮が流れ着くアメリカ西海岸ではなく日本海側の中国、韓国が反対するのか
このような状況を考えると政府の進め方が稚拙であることが明確になってきました。
「原発事故=汚染水=放出=健康被害=反対」という流れは十分に理解できまさすが科学的、論理的に考えれば現時点では海洋放出しか手段がないことは明白です。これらを基礎に現状を考えると戦略性の欠如が明白です。では、本来どのようにすれば良かったのかを検証してみましょう。
2と3は不信感と過去10年の無策に対する怒りで当然の反応でしょう。4は政治的な観点から考えるべきで日中、日韓関係の悪化によるものです。それではどうすれば良かったのでしょうか。
1.早い段階からIAEAを巻き込む:対策チームにIAEAのオブザーバーを参加させる
2.同様に関係諸国にもオブザーバーの派遣を要請する
3.アメリカ、カナダ、ロシア、中国、韓国
4.地元利害関係者、特に漁業関係者の参加を求める
5.国際共同チームからの提言を求める
6.予想される対策は海洋放出になる可能性が高い
7.定期的な会議進行状況の公表と放出後のデータ公表を事前に対策案に盛り込む
事故後5年を目処に対策チームを立ち上げ検討に十分な時間をかけ、結論が出た後も地元への説明会を十分に行う。このようにすれば、結論に対して利害関係者全員が責任を持つことになり、個人レベルでの反対感情は残るものの組織としての反対は少なくなるでしょう。このような戦略は将来を見通すことで初めて立案できるので、現状から遡及して考えると「Too Little, Too Late, No Strategy」という日本の現状が浮かび上がります。風評被害に対して対策を行うと言っていますが、既に「風評」は起きていますので手遅れです、風評は起きないような対策を立てなければ意味がありません。立案のプロセスに関係者全員が参加し皆が納得することが風評対策でもあります。ここから想起されるのは日本が急坂を転げ落ちるように没落へ向かっているという事実です。
コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏
1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
田原中男氏の尖った提案 バックナンバー
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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com
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