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会計実務家コラム
会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
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田原中男氏の尖った提案
2021/3/15 その299 株高 投信 ETF買い
アメリカは401K制度で投信を通じ間接的に多くの個人が株を所有するので株価と個人所得と経済活動は連動しています。日本でも401Kまがいの制度はありますが小規模で企業の導入も限定的,しかも使用制限が厳しく原則的に退職時にしか使えません。
元々退職金制度が整備されておらず、しかも30年、40年という長期在職が少ないアメリカで退職金を補完するように制度ができました。非課税で拠出し社外で積み立てて運用しますので会社が変わっても継続でき最終的に引退した時に引き出すと年収が低いために税率が低くて済みます。ある意味で節税対策ということです。またアメリカでは中途での一部解約が認められるので株高->増加資金で家の増改築->それを担保に借入->手許資金の増加というプラスの循環が出現しますので株価は多くの人にとって重要になります。
日本では退職金は引当金として社内で積み立て独立して運用することはありませんのでこのような循環にならず株高が実体経済に影響することは少なく外国人株主の保有比率が3割を超えることを考えると日本の株高は外国人の資産増加に寄与していますが国民に対しては影響が少ないことになっています。
金融緩和と日銀のETF買いが値上がりの原因だとすると税金で外国人の資産を増やしているという皮肉な実態と,それに気づかない政府という構図が見えてしまいます。貯金から投資へという掛け声だけで仕組みを変えないのであれば何も変わりません。財務省は非課税での積み立てで税収が減少することを嫌い日本版401Kの限度額を非常に低い水準に抑えているので個人にとっては退職金がわりにはなっていません。
もしこのような仕組みを変更すれば企業内に積み立てられた退職引当金が市場に出また退職金制度の恩恵にあずかれない非正規社員にとってもメリットのある制度になります。財務省にとっても運用益には課税できるわけですから投資規模が膨らめばそれなりの税収があり、このようにして初めて株高が個人にとってもメリットになるのです。規制緩和、デジタル化などなど掛け声は華やかですが、何かを根本的に変革したければ仕組みそのものを変更しないと何も変わりません。
そもそも規制緩和という言葉自体が規制ありきという発想ですから目に見えておかしな規制のみが少し緩和されるだけで、本当にやりたいのなら完全規制撤廃した上で悪影響のある場面にのみ最低限の規制を新たに作るという発想が必要です。毎年様々な法律ができますがほとんど撤廃はありませんので将来的には規制だらけになってしまいます。
アメリカは401K制度で投信を通じ間接的に多くの個人が株を所有するので株価と個人所得と経済活動は連動しています。日本でも401Kまがいの制度はありますが小規模で企業の導入も限定的,しかも使用制限が厳しく原則的に退職時にしか使えません。
元々退職金制度が整備されておらず、しかも30年、40年という長期在職が少ないアメリカで退職金を補完するように制度ができました。非課税で拠出し社外で積み立てて運用しますので会社が変わっても継続でき最終的に引退した時に引き出すと年収が低いために税率が低くて済みます。ある意味で節税対策ということです。またアメリカでは中途での一部解約が認められるので株高->増加資金で家の増改築->それを担保に借入->手許資金の増加というプラスの循環が出現しますので株価は多くの人にとって重要になります。
日本では退職金は引当金として社内で積み立て独立して運用することはありませんのでこのような循環にならず株高が実体経済に影響することは少なく外国人株主の保有比率が3割を超えることを考えると日本の株高は外国人の資産増加に寄与していますが国民に対しては影響が少ないことになっています。
金融緩和と日銀のETF買いが値上がりの原因だとすると税金で外国人の資産を増やしているという皮肉な実態と,それに気づかない政府という構図が見えてしまいます。貯金から投資へという掛け声だけで仕組みを変えないのであれば何も変わりません。財務省は非課税での積み立てで税収が減少することを嫌い日本版401Kの限度額を非常に低い水準に抑えているので個人にとっては退職金がわりにはなっていません。
もしこのような仕組みを変更すれば企業内に積み立てられた退職引当金が市場に出また退職金制度の恩恵にあずかれない非正規社員にとってもメリットのある制度になります。財務省にとっても運用益には課税できるわけですから投資規模が膨らめばそれなりの税収があり、このようにして初めて株高が個人にとってもメリットになるのです。規制緩和、デジタル化などなど掛け声は華やかですが、何かを根本的に変革したければ仕組みそのものを変更しないと何も変わりません。
そもそも規制緩和という言葉自体が規制ありきという発想ですから目に見えておかしな規制のみが少し緩和されるだけで、本当にやりたいのなら完全規制撤廃した上で悪影響のある場面にのみ最低限の規制を新たに作るという発想が必要です。毎年様々な法律ができますがほとんど撤廃はありませんので将来的には規制だらけになってしまいます。
コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏
1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
田原中男氏の尖った提案 バックナンバー
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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com
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