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会計実務家コラム

会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。

田原中男氏の尖った提案

2021/07/06 その314 So what? Therefore

昔アメリカで仕事をしていた時によく言われた言葉です。不都合な事実があり、データを出すと“So what ?“ それがどうした?となるので「こうなるとこう、だから問題が起きる」と説明します、すると“Therefore“ それでどうしたいんだ? つまり対策や行動計画を求めてくるわけです。目の前で起きていることは誰にでもわかる、その後の課題も想像がつく。しかし、それではどうしたら良いのかという提案がないと仕事をしたことにはならないということです。具体的な手段を提案しない、できないのであれば無闇に騒ぐなというニュアンスもあります。

先日のバイデン大統領の議会演説を聞いていても、主張には具体的な方法と数字が含まれています。一方、日本での所信表明演説や国会答弁では具体的な内容がほとんど無く精神論や抽象論が大半ですから結果責任を追求しにくい構造になっています。出処進退を明確にして責任を取ることにつながらず責任を「痛感して」終わりです。企業の仕事も政府の仕事も結局は結果で判断されることなので、事前に具体的な数字を表明して達成できたかどうかが明白になるようにしなければなりません。

ハーバードMBAのケーススタディーでの議論は数字に基づく事実とそこから導き出される論理的な提案の良否を競わせるものですから、このようにして教育を受けた人たちはデータから重要な事実を把握し、そこから結論を導いだすことに慣れており反対する場合も同じように事実に基づき論理立てて反論します。ここで大事なのは膨大なデータや参考文献からいかにして筋道立てた論理を展開するかという事になり蓋然性の高い現状把握ができるようになります。日本ではこのような教育をしていませんので企業の経営でも政府内でも国会でもしっかりとした議論が進まないのでしょう。

「御神輿」経営と言われる所以です。COVID-19に即して言えば一日の感染者数が1,000人を超えた! So What? 保健所や病院の処理能力を超えて医療崩壊が起きる! Therefore PCR検査や追跡は保健所の枠を超えて行える体制を構築しましょう。コロナ専用病棟を臨時に設置し、医師や看護師を政府レベルで集めましょう。

これまでのコロナ対策は各個人に頑張ってくださいというだけで具体的な対策がありませんでしたのでここで言うThereforeの次がないのです。

コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏

1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。

田原中男氏の尖った提案 バックナンバー

2021.07.05 その313 デジタル教育
2021.06.24 その312 野党の主張
2021.06.16 その311 予言と予測
2021.06.14 その310 デジタル庁の初仕事
2021.06.08 その309 利己的な日本
2021.05.24 その308 政権の最終局面で危機を迎える国民の悲劇
2021.05.19 その307 猿真似とアイデア拝借
2021.05.11 その306 福島原発の汚染水処理に思う
2021.04.26 その305 大本営発表
2021.04.15 その304 市松会
2021.04.08 その303 野党慣れした野党
2021.04.05 その302 政治はマーケッティング
2021.03.26 その301 日本翻訳に隠された真実
2021.03.18 その300 日本人の繊細な感情はどこへ行ったのか?
2021.03.15 その299 株高 投信 ETF買い
2021.03.12 その298 報道の自由とその背景にあるもの
2021.03.10 その297 内からの眼、外からの眼
2021.03.08 その296 そろそろ宴会政治からの脱却を
2021.02.22 その295 BLM、トランプ、階級社会
2021.02.18 その294 マスクで表情が消える?
2021.01.19 その293 唐鳳・デジタル担当政務委員
2021.01.28 その292 2021年を展望する
2021.01.21 その291 言葉の重みについて
2021.01.14 その290 コロナに始まりコロナで終わった2020年の意味を考えてみる
2021.01.13 その289 携帯電話料金
2021.01.12 その288 デジタル化は言葉の定義とデータ共通化
2021.01.08 その287 本質を捉える知
2020.12.28 その286 田植え理論
2020.12.15 その285 日本版“緑の党”は可能か?
2020.11.11 その284 予見力と決断力
2020.11.17 その283 丁寧に説明するとはどういうこと?
2020.11.13 その282 本質は何か?を問う大切さ
2020.11.09 その281 “覆水盆に返らず” は死語?
2020.10.27 その280 明治23年を超えられない
2020.10.22 その279 勘違いでなく統治の不備?
2020.10.20 その278 何か勘違いしていませんか?
2020.10.07 その277 日本の停滞はインテリが闘わなくなったから
2020.10.05 その276 何か間違っていませんか?
2020.10.02 その275 天上がりとJOB型雇用
2020.09.28 その274 選挙とは
2020.09.18 その273 改めて終戦の日を思う
2020.09.17 その272 政治は腹芸ではない
2020.09.04 その271 3回目の四半世紀
2020.09.04 その270 JRの切符は何故1ヶ月前からしか買えないのか?
2020.08.24 その269 ルールは運用次第で活きもすれば死にもする
2020.08.18 その268 誰も報道しない世論調査結果
2020.08.17 その267 全員が感染経路不明者ではないの?
2020.07.29 その266 富士通の制度改善
2020.07.15 その265 かんぽの不当販売
2020.07.03 その263 アル・カポネ、禁酒法、個人情報
2020.07.03 その262 Black Lives Matter
2020.06.08 その261 数字で見えてくる世界
2020.06.08 その260 体調が悪かったらどこへ行く 保健所?
2020.05.26 その259 信条と信念 
2020.05.25 その258 個人の力が再び求められている 
2020.05.18 その257 リモート教育
2020.05.11 その256 禅問答で鍛えられた合理的思考
2020.05.01 その255 発言が無いのはどうしたことか
2020.04.20 その254 指導者に求められること
2020.04.20 その253 決断力
2020.04.16 その252 リスクは誰が負うのか 
2020.04.15 その251 警察組織にみる彼我の差 
2020.04.09 その250 日本型 緑の党 
2020.04.08 その249 不安解消には具体的な情報公開を
2020.03.26 その248 新型コロナウイルスに対して その2
2020.03.11 その247 民主主義とは
2020.02.17 その246 ボケの防止は定年退職前から
2020.02.17 その245 新型コロナウイルス肺炎対応の混乱
2020.02.17 その244 マニュアルは絶対か?
2020.02.06 その243 Stay where you are
2020.01.29 その242 孤立していることを知らない怖さと安心
2020.01.20 その241 郵便のユニバーサルサービス
2020.01.16 その240 正論
2020.01.06 その239 
あけましておめでとうございます。毎週、世の中の出来事で “これ変ですね” と思われることを掲載していましたが今年は一念発起、北海道に引っ越し、豊かな自然の中でのんびりと暮らすことにいたしました。
2020.12.25 その238 規制と責任回避は果てしなく続く
2019.12.16 その237 専門家とは
2019.12.09 その236 歳を取ると何もできなくなるという現実
2019.12.04 その235 歳を取ると何故一年が早く過ぎるのか
2019.11.27 その234 世界で孤立する日本の将来は?
2019.11.25 その233 茹で上がりつつある茹でガエル
2019.11.18 その232 瓢箪から駒で世界の潮流が変わる
2019.11.12 その231 大学入試の英語試験を考える
2019.11.08 その230 ポリティカルシミュレーション
2019.10.28 その229 ラグビーワールドカップ
2019.10.16 その228 何故、企業に余剰資金があるのか 
2019.10.09 その227 道徳教育は必要だ
2019.09.30 その226 責任と結果責任
2019.09.25 その225 携帯料金と災害とどちらが大切?
2019.09.17 その224 いつまで札束の上に寝ていられるのか?
2019.09.17 その223 魔女はいたのか?
2019.09.05 その222 マネジメントとは
2019.09.05 その221 内定辞退率を購入? 販売?
2019.08.15 その220 終戦の日を迎えて
2019.08.08 その219 英語教育の重要性
2019.08.06 その218 常識はずれの発想に突破口はある
2019.07.30 その217 日本企業はどこで間違ったのか その2
2019.07.22 その216 日本企業はどこで間違ったのか
2019.07.19 その215 事実は一つでも真実は二つ?
2019.07.05 その214 第2の鎖国
2019.07.05 その213 不思議な国 日本 その2
2019.06.25 その212 亡国の政治
2019.06.14 その211 無党派層は無関心層ではない
2019.06.11 その210 奈良公園の鹿
2019.06.04 その209 東大卒が日本をダメにする その2
2019.05.20 その208 高いエンゲル係数が貧困を生む
2019.05.20 その207 新天皇、新元号、新内閣?
2019.05.10 その206 民主主義の基本
2019.05.08 その205 10連休対策?
2019.04.22 その204 ピクトグラム
2019.04.15 その203 対症療法では根本的な解決はできない
2019.04.08 その202 企業利益は最高、しかし景気回復の実感がないのは何故?
2019.04.02 その201 企業統治に一貫性が必要
2019.04.01 その200 大学の授業を英語に
2019.03.19 その199 女性の活躍度は世界最低レベル
2019.03.18 その198 言葉の重みと覆水盆に返らずの諺
2019.03.11 その197 歴史は繰り返すのではなく「韻を踏む」
2019.03.04 その196 無駄の効用
2019.02.27 その195 世論調査の不思議
2019.02.18 その194 政治家の資質
2019.02.13 その193 不思議な国、日本
2019.02.01 その192 不祥事はなぜなくならないのか
2019.01.30 その191 逃 2018年の漢字
2019.01.23 その190 フェアプレーとは何だろう
2019.01.08 その189 あけましておめでとうございます
年初に期待すること:新しい夢を持とう
2019.01.07 その188 平成最後の天皇陛下誕生日会見
2018.12.27 その187 民主主義は議論だ
2018.12.20 その186 品質保証と身分制組織
2018.12.17 その185 東大卒が日本をダメにする?
2018.12.11 その184 三題噺 英米法とお上と忖度
2018.11.29 その183 徴用工の亡霊か?
2018.11.15 その182 積極性の楽しさ
2018.11.15 その181 JRの計画運休
2018.11.09 その180 試合中の事故で賠償?
2018.11.08 その179 私の憲法改正
2018.11.06 その178 虫眼鏡社会
2018.10.23 その177 一億総無責任時代
2018.10.05 その176 再び寛容と忍耐を
2018.10.05 その175 労働法の改正で自由な働き方を
2018.09.27 その174 国際感覚を磨こう
2018.09.19 その173 役職定年って何だろう
2018.09.14 その172 外見が変わると中身も変わる
2018.09.05 その171 そして誰もいなくなった
2018.08.31 その170 大学無償化前に必要なこと
2018.08.10 その169 プロの活用
2018.08.10 その168 やはり日本には投資家はいなかった
2018.08.10 その167 茹でガエルになっていないか?
2018.08.01 その166 民主主義とは何か
2018.07.18 その165 ピンボケの働き方改革
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