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会計実務家コラム
会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
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田原中男氏の尖った提案
2021/09/14 その321 教育は何のためにあるのか
いうまでもない事ですが教育とは考える力を育むためであって知識を増やしたり、情報を暗記することではありません。明治以来の日本の教育は知識偏重でしたがそれなりの理由もありました。永い鎖国によって欧米諸国との科学技術の格差は歴然としており、ある意味では独立を保つために科学技術で『追いつけ、追い越せ』は必要だったのかもしれませんが逆に失うものも多くありました。
江戸時代の藩校や私塾はもっぱら考える力を育んでいました。鎖国によって海外諸外国との競争、特に発明発見につながるような競争からは無縁の世界でしたから、精神的な側面に専念することが出来ました。その為に歴史や先人の知恵を学ぶ事を重んじ,古典を読み込みましたがそれは暗記や知識のためではなく、あくまでも思考能力を育むためでした。その典型が禅問答で高度な知的ゲームとも言えます。
このような環境での『先生』の役割は『考える力をつけるための訓練』であって知識の伝達ではないことは自明の理です。日経新聞に米国の教育者の言葉として下記のような文章が引用されていました。『凡庸な教師はただ喋る。良い教師は説明する。優れた教師は自らやってみせる。そして、偉大な教師は心に火をつける。』
藩校や私塾での『白文素読』と『禅問答のような解釈議論』それに『素振りと乱どり』による身体訓練という組み合わせはまさに『心に火をつける』教育だったのではないでしょうか。
1989年に経済的には世界のトップに近いところまで到達した途端に次の追いつく目標を失い、以後30年間停滞してしまったのは『心に火をつける』ことが出来なかったからでしょう。今こそ再び皆が、特に若者が『心に火をつけて』新しい境地を探検することを願うばかりです。過去の成功体験でオリンピックでこのような事を期待していた人もいたようですが、現実は異なります。本当に身体の中から湧き出るような『火種』が求められます。
いうまでもない事ですが教育とは考える力を育むためであって知識を増やしたり、情報を暗記することではありません。明治以来の日本の教育は知識偏重でしたがそれなりの理由もありました。永い鎖国によって欧米諸国との科学技術の格差は歴然としており、ある意味では独立を保つために科学技術で『追いつけ、追い越せ』は必要だったのかもしれませんが逆に失うものも多くありました。
江戸時代の藩校や私塾はもっぱら考える力を育んでいました。鎖国によって海外諸外国との競争、特に発明発見につながるような競争からは無縁の世界でしたから、精神的な側面に専念することが出来ました。その為に歴史や先人の知恵を学ぶ事を重んじ,古典を読み込みましたがそれは暗記や知識のためではなく、あくまでも思考能力を育むためでした。その典型が禅問答で高度な知的ゲームとも言えます。
このような環境での『先生』の役割は『考える力をつけるための訓練』であって知識の伝達ではないことは自明の理です。日経新聞に米国の教育者の言葉として下記のような文章が引用されていました。『凡庸な教師はただ喋る。良い教師は説明する。優れた教師は自らやってみせる。そして、偉大な教師は心に火をつける。』
藩校や私塾での『白文素読』と『禅問答のような解釈議論』それに『素振りと乱どり』による身体訓練という組み合わせはまさに『心に火をつける』教育だったのではないでしょうか。
1989年に経済的には世界のトップに近いところまで到達した途端に次の追いつく目標を失い、以後30年間停滞してしまったのは『心に火をつける』ことが出来なかったからでしょう。今こそ再び皆が、特に若者が『心に火をつけて』新しい境地を探検することを願うばかりです。過去の成功体験でオリンピックでこのような事を期待していた人もいたようですが、現実は異なります。本当に身体の中から湧き出るような『火種』が求められます。
コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏
1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
田原中男氏の尖った提案 バックナンバー
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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com
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