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会計実務家コラム
会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
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田原中男氏の尖った提案
2021/12/27 その328 柔らかい個人主義の誕生を読む その2
この本の中で60年代から70年代に変化は明確な目的を持ち生産性を高める活動、ある意味で時間の節約が大切な時代から自ら目標を求める活動つまり時間の制約から解放されて自分の意思で各自の目標を求めることが要求され、それは消費を通して情報を発信することで他人の目標を知るようになるとあります。情報化時代と呼ばれるのはこのような意味を持つものです。
しかし、自らの消費が情報発信だという意識を持つことが困難であるが故目標喪失の中で不安定な状態に投げ出されることで次第に活力を失ってしまったとも指摘しています。ものを造る過程では消費者の求めるものが多岐多様になり多品種少量生産を余儀なくされるか、あるいは生産者は多くの消費者が求めているものを自ら創作しなければならないようになりました。
翻って私が在籍したソニーでは80年代途中までまさにこのようなことが行われ、開発者は自分が面白いものを造り、その意図を消費者に伝えるのが営業の役割であり大量生産よりも開発者の意図を理解してくれた消費者のみに商品を提供するため金額は高くても、デザインや品質にこだわり決してマーケットシェアを狙うものではないというある種の哲学がありました。時代を先取りした組織運営とその結果としての新しい発想の商品開発、その結果をマーケットに問うということが新鮮に受け取られたのでしょう。
しかしウォークマンの大成功によって様々な客層に対するモデルを開発したことで無意識にこのような哲学が薄れ次第に他商品でも他社とのシェー争いに巻き込まれた結果、価格競争力で後塵を拝し折角時代の先頭を走っていたにも関わらず時代の変化に遅れ、その後の業績低迷に繋がりました。70年代が終了してから40年、このような変化に対する社会の対応とそのなかで暮らす個人の意識はいまだに対応できていないことが最近のスローガンや現象に見られます。
『情報化社会=DX促進』
『目的の喪失=無気力な若者』
『哲学のない政治=短期的な戦術に明け暮れる与野党』
もう一度考え直すときではないでしょうか
(次回に続く)
この本の中で60年代から70年代に変化は明確な目的を持ち生産性を高める活動、ある意味で時間の節約が大切な時代から自ら目標を求める活動つまり時間の制約から解放されて自分の意思で各自の目標を求めることが要求され、それは消費を通して情報を発信することで他人の目標を知るようになるとあります。情報化時代と呼ばれるのはこのような意味を持つものです。
しかし、自らの消費が情報発信だという意識を持つことが困難であるが故目標喪失の中で不安定な状態に投げ出されることで次第に活力を失ってしまったとも指摘しています。ものを造る過程では消費者の求めるものが多岐多様になり多品種少量生産を余儀なくされるか、あるいは生産者は多くの消費者が求めているものを自ら創作しなければならないようになりました。
翻って私が在籍したソニーでは80年代途中までまさにこのようなことが行われ、開発者は自分が面白いものを造り、その意図を消費者に伝えるのが営業の役割であり大量生産よりも開発者の意図を理解してくれた消費者のみに商品を提供するため金額は高くても、デザインや品質にこだわり決してマーケットシェアを狙うものではないというある種の哲学がありました。時代を先取りした組織運営とその結果としての新しい発想の商品開発、その結果をマーケットに問うということが新鮮に受け取られたのでしょう。
しかしウォークマンの大成功によって様々な客層に対するモデルを開発したことで無意識にこのような哲学が薄れ次第に他商品でも他社とのシェー争いに巻き込まれた結果、価格競争力で後塵を拝し折角時代の先頭を走っていたにも関わらず時代の変化に遅れ、その後の業績低迷に繋がりました。70年代が終了してから40年、このような変化に対する社会の対応とそのなかで暮らす個人の意識はいまだに対応できていないことが最近のスローガンや現象に見られます。
『情報化社会=DX促進』
『目的の喪失=無気力な若者』
『哲学のない政治=短期的な戦術に明け暮れる与野党』
もう一度考え直すときではないでしょうか
(次回に続く)
コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏
1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ代表。
田原中男氏の尖った提案 バックナンバー
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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com
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