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会計実務家コラム
会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
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田原中男氏の尖った提案
2022/06/20 その366 1%の確率
7月の参議院選挙は自民党の大勝、楽勝でほぼどの予想も一致していますがほんの僅かの予想外は無いのか考えてみました。要素としては投票率、無風に対する飽き、自分の投票行動は全体に影響しないということでしょうか。
前回の投票率は48.8%でしたが今回も無風、争点無しという状況では更に低くなる可能性が高くなります。以前は低投票率は労組などの組織票の多い野党有利と言われましたが、最近は野党組織票の低下と以外に喧伝されない与党の高い組織票を考慮すると逆に与党有利の展開になります。
最大の浮動票源である都市圏の無党派層の投票行動は棄権(選挙に行かず投票率は下がる)なので低投票率=野党敗北となります。これに対し与党は農協、郵便局、創価学会のような組織票があります。一方で長い無風選挙に対する飽きもマグマのように蓄積されていますので何かのきっかけで突然噴出するかもしれません。
前首相があたかも自分が守護神のようにでしゃばっている姿、資源コスト上昇にほとんど無策な政府に対する不満、高度成長期のまま冷凍保存されたような社会の仕組みに対する不満、変化を求める無意識な期待感もあります。どうせ変わらないから今までと違うところに投票してみようというゲーム感覚の投票行動は前回衆議院選挙での日本維新の会の躍進に見られた現象です。このように考えると1%の確率で第番狂わせが起きる可能性がないわけではありません。
最後に一つ。
日本では公示直後の「序盤戦」と投票日前の「終盤戦」予測で投票行動がかなり影響されています。「どうせ変わらないから」「自分が投票しても落選するなら」ということで選挙結果はほぼ報道機関の予測通りになります。さらにどうせ勝てるから自分が投票しなくても良いだろうということが低投票率に繋がっているとしたら報道が選挙を左右していることになってしまいます。
因みにフランスでは公示後の選挙予想報道は禁じられています。報道機関は予測が正確だったというでしょうが実際はその報道が投票行動に影響を与えているのかもしれません、小選挙区制度ではワンサイドな報道があると投票に行くインセンティブが薄れてしまいます。
唯一の例外は「山が動いた」1989年の選挙で、この時は「マドンナブーム」という無党派層を巻き込むブームがありました。最近の選挙に関するブームは何があるのでしょう。無節操な低金利、膨大な国債利払のため利上げできない日銀、呆れるような政治家の発言と資質、物価上昇と伴わない賃金上昇、確かにこれらは問題ですがいずれも「ネガティブな課題」ですから同意はするが人を惹きつけるキャッチフレーズにはなりません。
今必要なのは「未来が明るくなるようなキャッチフレーズ」で実現可能性は低くても構わないのです。人は夢を追うことで活力が出、結果的に困難な目標も達成できるのです。どんなキャッチフレーズがあるのでしょうか。
『立候補者の平均年齢30歳代、女性比率50%、医療費の無償化、年金5割増。財源は消費税2%アップ』どうでしょうか。
7月の参議院選挙は自民党の大勝、楽勝でほぼどの予想も一致していますがほんの僅かの予想外は無いのか考えてみました。要素としては投票率、無風に対する飽き、自分の投票行動は全体に影響しないということでしょうか。
前回の投票率は48.8%でしたが今回も無風、争点無しという状況では更に低くなる可能性が高くなります。以前は低投票率は労組などの組織票の多い野党有利と言われましたが、最近は野党組織票の低下と以外に喧伝されない与党の高い組織票を考慮すると逆に与党有利の展開になります。
最大の浮動票源である都市圏の無党派層の投票行動は棄権(選挙に行かず投票率は下がる)なので低投票率=野党敗北となります。これに対し与党は農協、郵便局、創価学会のような組織票があります。一方で長い無風選挙に対する飽きもマグマのように蓄積されていますので何かのきっかけで突然噴出するかもしれません。
前首相があたかも自分が守護神のようにでしゃばっている姿、資源コスト上昇にほとんど無策な政府に対する不満、高度成長期のまま冷凍保存されたような社会の仕組みに対する不満、変化を求める無意識な期待感もあります。どうせ変わらないから今までと違うところに投票してみようというゲーム感覚の投票行動は前回衆議院選挙での日本維新の会の躍進に見られた現象です。このように考えると1%の確率で第番狂わせが起きる可能性がないわけではありません。
最後に一つ。
日本では公示直後の「序盤戦」と投票日前の「終盤戦」予測で投票行動がかなり影響されています。「どうせ変わらないから」「自分が投票しても落選するなら」ということで選挙結果はほぼ報道機関の予測通りになります。さらにどうせ勝てるから自分が投票しなくても良いだろうということが低投票率に繋がっているとしたら報道が選挙を左右していることになってしまいます。
因みにフランスでは公示後の選挙予想報道は禁じられています。報道機関は予測が正確だったというでしょうが実際はその報道が投票行動に影響を与えているのかもしれません、小選挙区制度ではワンサイドな報道があると投票に行くインセンティブが薄れてしまいます。
唯一の例外は「山が動いた」1989年の選挙で、この時は「マドンナブーム」という無党派層を巻き込むブームがありました。最近の選挙に関するブームは何があるのでしょう。無節操な低金利、膨大な国債利払のため利上げできない日銀、呆れるような政治家の発言と資質、物価上昇と伴わない賃金上昇、確かにこれらは問題ですがいずれも「ネガティブな課題」ですから同意はするが人を惹きつけるキャッチフレーズにはなりません。
今必要なのは「未来が明るくなるようなキャッチフレーズ」で実現可能性は低くても構わないのです。人は夢を追うことで活力が出、結果的に困難な目標も達成できるのです。どんなキャッチフレーズがあるのでしょうか。
『立候補者の平均年齢30歳代、女性比率50%、医療費の無償化、年金5割増。財源は消費税2%アップ』どうでしょうか。
コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏
1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ(http://www.bmd-r.com)代表
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ(http://www.bmd-r.com)代表
田原中男氏の尖った提案 バックナンバー
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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com
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