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会計実務家コラム
会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
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田原中男氏の尖った提案
2023/02/10 その398 JOB型雇用と退職金制度
JOB型雇用になると専門性を活かした転職、昇進も可能になるという議論がありますがその一方で専門性がなければチャンスがないという現実も待ち構えています。
JOB型のメリットは確かにその通りでしょうが生涯収入の観点からみると退職金制度の改革も必要でしょう。特に一定程度の勤務実績がある人にとって年功的な現在の退職金制度は転職の障害の一つです。
若い頃から転職をしている人にとってはハードルは低いですが、逆に同じ会社に長く勤めた人と比べると最終的な収入はどうなるのでしょうか。
40年勤続で退職時の退職金が2、3千万円だとすると退職金の税額控除を考慮すると転職による昇給で取り返すのは相当に高いハードルがありますしリスクもあるので万人が挑戦できる訳ではありません。
最近の報道では退職金そのものの額も減少し2千万円にもならないということで平均的な住宅ローン残高にも足りない恐れがあります。一部企業では退職金の代わりに確定拠出年金制度を利用しているとのことですが税制面での優遇も退職金と比較して少なく、資金運用会社もまだ少数しかありませんので就社ではなく就職だというよりも長期雇用を前提にしているようにも見えます。
このように制度は多面的な検討と設計が必要でJOB型雇用になれば全てが解決というのはあまりにも短絡的な議論で単に他国で導入しているからというだけでは日本に根付くのは難しいでしょう。
最大の課題は日本という閉じられた社会の中では成功したモデルも海外との競争が必須になった今の時代に何をしなければならないのか、また何が必要でそのための負担を企業・社員・国や政府がどのように分担し、援助をするのかという根本的な議論がないまま制度だけを海外から導入しようとしている危うさがあるということです。
「Baseballと野球は違うスポーツだ」と言われますが、Baseballが日本社会に馴染むように変質したのだと思います。だとすればJOB型雇用も日本に合うように変質させれば良いのでしょう。
JOB型雇用になると専門性を活かした転職、昇進も可能になるという議論がありますがその一方で専門性がなければチャンスがないという現実も待ち構えています。
JOB型のメリットは確かにその通りでしょうが生涯収入の観点からみると退職金制度の改革も必要でしょう。特に一定程度の勤務実績がある人にとって年功的な現在の退職金制度は転職の障害の一つです。
若い頃から転職をしている人にとってはハードルは低いですが、逆に同じ会社に長く勤めた人と比べると最終的な収入はどうなるのでしょうか。
40年勤続で退職時の退職金が2、3千万円だとすると退職金の税額控除を考慮すると転職による昇給で取り返すのは相当に高いハードルがありますしリスクもあるので万人が挑戦できる訳ではありません。
最近の報道では退職金そのものの額も減少し2千万円にもならないということで平均的な住宅ローン残高にも足りない恐れがあります。一部企業では退職金の代わりに確定拠出年金制度を利用しているとのことですが税制面での優遇も退職金と比較して少なく、資金運用会社もまだ少数しかありませんので就社ではなく就職だというよりも長期雇用を前提にしているようにも見えます。
このように制度は多面的な検討と設計が必要でJOB型雇用になれば全てが解決というのはあまりにも短絡的な議論で単に他国で導入しているからというだけでは日本に根付くのは難しいでしょう。
最大の課題は日本という閉じられた社会の中では成功したモデルも海外との競争が必須になった今の時代に何をしなければならないのか、また何が必要でそのための負担を企業・社員・国や政府がどのように分担し、援助をするのかという根本的な議論がないまま制度だけを海外から導入しようとしている危うさがあるということです。
「Baseballと野球は違うスポーツだ」と言われますが、Baseballが日本社会に馴染むように変質したのだと思います。だとすればJOB型雇用も日本に合うように変質させれば良いのでしょう。
コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏
1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ(http://www.bmd-r.com)代表
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ(http://www.bmd-r.com)代表
田原中男氏の尖った提案 バックナンバー
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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com
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