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会計実務家コラム
会計ダイバーシティでは、会計領域でご活躍されている実務家の方々のコラム記事などをご紹介してまいります。
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
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田原中男氏の尖った提案
2023/04/14 その406 不作為の作為
学生時代に行政法の時間に習った言葉です。
普通は何かやるから結果が出て、場合によっては責任が生じます。しかし、不作為であればそこからは何も出てこないので一見責任は無いように見えますが「何もしないことで本来なら避けられる結果が生じた場合は何もやらないことそのものに責任があるという考え方です」
何故、行政法でこのような授業があったのかというと「行政が結果を恐れてやらなければならないことをやらない」ことにも責任があるということです身近な例を挙げると少子化対策があります。
最近でこそ「異次元の少子化対策」との声がありますが出生数の減少は30年も前から起きていたのにそれから何もしてこなかった結果が今にあります。
より深刻なのは異次元の少子化対策が目覚ましい成果を上げたとしても少なくともこれから20年間は人口減少が続くということです。若年層の人口減少は今起きているので出生率が多少上がっても母数が減少していますから出生者数の絶対値は高齢者の死亡者数を超えないのです。
なぜこのようなことになってしまったのでしょうか。
まさにこれが「不作為の作為」なのです。人口統計は出生数と死亡率で決まりますので難しい統計手法は要りません。しかし結果が出るまで長い時間がかかるので遅滞なく政策を実行することが必要でした。
似たようなことがごく最近にも見られました。日銀の長期に亘る金融緩和政策です、10年継続しても景気が変わらないどころか市場機能が喪失し将来の金融政策の自由度が極端に減っている上、太陽のETF購入で作られた一見好調な株式相場もETF売却に動けば大暴落の可能性があります。
本当の原因はどこにあるのでしょうか。
行政法で不作為の作為という言葉が出たように官僚の習性が生み出した状況でしょう、民間企業であれば不作為はほとんど仕事放棄とみなされますが官僚の世界では責任を取る可能性のある作為より短期的に責任のない不作為の方が好まれるからです。
そう言えば最近の政治家も官僚や労組出身者が幅を利かせていますね。
学生時代に行政法の時間に習った言葉です。
普通は何かやるから結果が出て、場合によっては責任が生じます。しかし、不作為であればそこからは何も出てこないので一見責任は無いように見えますが「何もしないことで本来なら避けられる結果が生じた場合は何もやらないことそのものに責任があるという考え方です」
何故、行政法でこのような授業があったのかというと「行政が結果を恐れてやらなければならないことをやらない」ことにも責任があるということです身近な例を挙げると少子化対策があります。
最近でこそ「異次元の少子化対策」との声がありますが出生数の減少は30年も前から起きていたのにそれから何もしてこなかった結果が今にあります。
より深刻なのは異次元の少子化対策が目覚ましい成果を上げたとしても少なくともこれから20年間は人口減少が続くということです。若年層の人口減少は今起きているので出生率が多少上がっても母数が減少していますから出生者数の絶対値は高齢者の死亡者数を超えないのです。
なぜこのようなことになってしまったのでしょうか。
まさにこれが「不作為の作為」なのです。人口統計は出生数と死亡率で決まりますので難しい統計手法は要りません。しかし結果が出るまで長い時間がかかるので遅滞なく政策を実行することが必要でした。
似たようなことがごく最近にも見られました。日銀の長期に亘る金融緩和政策です、10年継続しても景気が変わらないどころか市場機能が喪失し将来の金融政策の自由度が極端に減っている上、太陽のETF購入で作られた一見好調な株式相場もETF売却に動けば大暴落の可能性があります。
本当の原因はどこにあるのでしょうか。
行政法で不作為の作為という言葉が出たように官僚の習性が生み出した状況でしょう、民間企業であれば不作為はほとんど仕事放棄とみなされますが官僚の世界では責任を取る可能性のある作為より短期的に責任のない不作為の方が好まれるからです。
そう言えば最近の政治家も官僚や労組出身者が幅を利かせていますね。
コラム著者 BMDリサーチ代表 田原中男氏
1946年生まれ。東京大学経済学部、ハーバードビジネススクール(PMD)CIA(公認内部監査人)
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ(http://www.bmd-r.com)代表
1970年、ソニー入社。人事、ビジネス企画、管理業務、子会社再建、内部監査を担当。特に内部監査については、金融、映画等すべてのビジネス領域を包括的に評価することを可能とするグローバルな内部監査体制を構築。2003年からはグローバルなソニーグループ全体の内部統制体制構築に勤める。ソニー退社後、新日本監査法人アドバイザーを経て、現在、内部統制コンサルティングBMDリサーチ(http://www.bmd-r.com)代表
田原中男氏の尖った提案 バックナンバー
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BMDリサーチ http://www.bmd-r.com
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