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会計実務家コラム
業界の動向や時事問題などをテーマにした独自の視点・見解の内容となっておりますので、新たな発見の一助になれば幸いです。
佐久間裕輝氏のコラム
2024/7/23 連載コラム№7 プロジェクト成果物の完成を目指す
前回、ODWの考え方及び、「OD」構築の進め方についてお話しましたが、今回は「W:WBS」についてお話します。
以前も触れましたが、WBS(Work Breakdown Structure)はプロジェクトワーク推進の基軸となり、精度の低いWBSは全く機能しない形骸化した産物となり、プロジェクトそのものの進捗管理に大きな影響をきたします。
WBSの主な構成要素は「タスク」「担当」「期日」「成果物」などとなりますが、この「成果物」が前回お話した「ODW」の「D:Deliverables」であり、これを目標とした「タスク」「担当」「期日」等の要素が定義されます。
つまり、「”Object"-"Deliverable"-"WBS"」という構図が成立し、プロジェクトの目標が実際のプロジェクト・タスクまで落とし込まれることとなるのです。
それでは、形骸化した産物とならないためのWBS構築における留意点をいくつか挙げてみましょう。
今回は、成果物間の関連性の確保についてお話します。
ObjectiveとDeliverableは必ずしも「1:1」ではなく、多くの場合「1:n」或いは「n:n」の関係性であり、特定の目的に対して複数のDeliverableの作成が進められている訳であるが、複数存在する場合にはDeliverable相互間の関連性を成果物関連図として整理することが重要です。関連性とは例えば、特定の成果物の内容が、別の成果物構築のためのインプットとなる場合などです。
この関連性を整理することにより、各成果物の作成順位やタイミングが明確になり、WBS上の時間軸(期日)が明確になりWBSの精度が確保されます。特に同一のプロジェクト内において、目的に応じた複数のチームが設定されている場合は、チーム間の連携を確保することも非常に重要な営みとなり、併行した複数の取り組み間において整合性が確保され、作業の手戻りや完了待ちといった事態を回避することができ、計画通りのゴールを迎えることができるのです。
そして成果物に関して忘れてはならないことは、完成に向けた、複数回にわたる中間レビューや承認プロセスを定義の上、余裕をもった時間軸にて計画に盛り込みます。特に、計画通りにランディングを迎えるため、中間レビューの設定は大変重要なのです。
コラム著者 佐久間 裕輝氏
総合商社の経理部門に約10年間在籍した後、米国公認会計士(イリノイ州)取得を経て某会計系コンサルティングファームに参画、その後、フリーランスとしてコンサルティング業を継続中。慶応義塾大学卒
主な著書:経理・財務の実務に必要な「知識×実行」(税務経理協会)
CFO 最高財務責任者の新しい役割(HARVARD BUSINESS SCHOOL PRESS)など
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