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ワークダイバーシティ

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【海外トレンド発信】テレワーク先進国 オランダの企業文化

2020年8月17日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏
今まであまり気にしていなかったが、オランダはテレワークの先進国らしい。先日BBCの下の記事でオランダではコロナ前からテレワークが浸透していた事や、その背後にある独特な企業文化が紹介されていた。




What the Dutch can teach the world about remote work
https://www.bbc.com/worklife/article/20200623-what-the-dutch-can-teach-the-world-about-remote-work
米や英を大きく引き離すテレワーク普及率
アメリカでも数年前からテレワークはもはや一般的となり、特にIT業界や会計業界ではテレワーカーが珍しくなくなっていた。しかしそれでもパンデミック前のアメリカのテレワーク普及率は4.7%。イギリスでも3.6%。一方オランダは14.1%と大きく差をつけている。言われてみると確かにアムステルダムはコワーキングスペースやバーチャルオフィスが至るところにあり、選択肢が豊富にある。バーチャル法人電話システムも数種類ありテレワークをしやすい環境が整っている。弊社のアムステルダムオフィスもコワーキングスペースのバーチャルプランを利用し、電話もバーチャルシステムだ。オランダでテレワークが普及している一因がこの充実したインフラにあるようだが、上述の記事ではもっと深いオランダ特有の文化的な背景が紹介されていた。
従業員を信頼するカルチャー
アメリカ企業や(恐らく多くの日本企業も)そうだが、企業は従業員を監視し管理しようとするバイアスがある。ところがオランダではより従業員を信頼し、業務に支障がない範囲で従業員に自由裁量を与える文化があるそうだ。最も興味深い例で言うと、オランダの大手銀行INGでは、従業員に無制限休暇を与える制度をパイロットプログラムとしてテストしているそうだ。いくら休暇を取ろうと業務に支障がなく効率が上がるのであれば良いという考え方に基づくもののようだ。

確かに、パンデミックとなってからは私のクライアント企業でも面白い現象が起きている。安全のために家からテレワークをする人達と、テレワークできるにも関わらずそれでもオフィスに行く人達だ。オフィスに行っているグループはテレワーク組よりも自分達の方が真面目に働いていると主張するのだが、じゃあどれくらい売上や利益に貢献しているのか?と考えると疑問符がつく。会社に行くイコール真面目に仕事をしていると考えている人達が一定数いる事がわかってきた。一方テレワークで給与制度も歩合や業務にリンクしたものにしたグループはパンデミック前よりも成果をあげていたりする。これからは各従業員の特性に応じて雇用形態をフレキシブルにし、彼らに信頼を与え成果を求めるというオランダスタイルが相応しいのかもしれない。
ロックダウンで隆盛となったホームエクササイズ
買収ターゲットとなったのは、このロックダウンで大きく売上を伸ばしたMirrorだ。下のウエブサイトを少し見るだけで、興味をそそられるようなサービスだ。



Mirror
https://www.mirror.co/



以前から話題になっていた企業であったが、このロックダウンでジムが閉まり、人々が家の中で運動をするようになり一気に契約者数が伸びたようだ。Zoomでオンラインエクササイズをするような簡単なサービスではなく、専用のミラー(鏡の中にインストラクターがライブで映し出される)を購入しプライベートレッスンを受けるという高級なものだ。機器の価格は$1,000を超える。今までは金額など気にしない富裕層が入会していたのが、ロックダウンの影響で富裕層以外の顧客も獲得してきたようだ。

Lululemonは今後単なるアパレルブランドではなく、サービスも提供するエクササイズブランドとしての成長を目指しているようで、Mirrorはジャストフィットする企業だったのだろう。多くの企業はパンデミックで業績を落としているが、それによって今後補強すべき分野も明らかになってきている。今後はその分野をM&Aによって獲得しようという動きが活発になってくる可能性がある。
翌日審査完了でスピード融資
ポチッた翌日、融資審査が通ったという通知と共に融資契約書がメールで送られてきた。オファーされた融資上限金額がそのまま銀行に振り込まれ、それが元本になるようだ。となると先に受け取ったアドバンスは融資金額に含まれない事になる。やはりあれは本当にただ補助してくれただけだったのだろうか。。金利の3.75%は安くはないが、アメリカで普通に融資を受けようとすると4%~6%の金利がかかる。そう考えると、今後の不測の事態に備えて借りておいた方がいいかもしれないと思い、そのままこの融資を受ける事にした。

返済は12ヶ月後からスタートする事になっているが、どこにどうやって返済するのかもまだ明らかにされていない。きっと何らかの返済システムを準備して12ヶ月以内には明示されるのだろう。準備が整う前にどんどん始めてしまうあたりが実にアメリカらしいと感じた一件であった。
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ローンを受けた大企業は連日次々と判明し、新聞等で大バッシングを受けた。このバッシングによりLAレイカーズなど多くの企業が政府にローンをすぐさま返金するという事も起きた。しかしマスコミに嗅ぎつけられていない大企業は未だ多く、恐らくバレるまでは返金しないというスタンスを取るのだろう。
第2ラウンドスタート

4月27日に第2ラウンドのローン受付がスタート。今度の予算は$250B。前回より少ない。今回は大企業が申し込みしにくい世論環境が整ったが、それでも一瞬で無くなってしまう気配は濃厚だ。メガバンクのローン申請システムは未だにフリーズ状態でカクカク言っている。埒が明かない。そこで私は新興勢に目をつけた。Paypalだ。私が取締役をしている企業の殆どはメガバンク経由での申請で立ち往生していたためPaypalでのローン申請に切り替えた。今回の件でパンク状態となってしまった金融機関を補完すべく、政府はPaypalなどの新興フィンテック勢にも銀行免許を急遽発行したのだ。『新興のPaypalであればまだパンクしていないはず』という目論はみごとに当たり、トントンとプロセスが進む。結果ローン申請は3日ほどで完了し、後は政府からの返答待ちという状態となった。$250Bに潜り込めたかどうかはあと数日後にわかるだろう。

もし潜り込めたら2ヶ月間は今の人員を維持できる。しかしダメだったら更なるリストラを決行する必要が出てくるかもしれない。全てはロックダウンがいつ終わり経済が正常に戻るかにかかっている。ピリピリした春になりそうだ。

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