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【海外トレンド発信】グローバル・サプライチェーン内の人身売買リスク

2019年9月17日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

仕入先のそのまた仕入先、つまり自社のサプライチェーン内のどこかに人身売買に関わっている企業があるリスクは、私たちが想像する以上にあるようだ。先日アメリカである企業からのパーム油の輸入を禁止させようとする訴訟が起こった。その企業はマレーシアのFGVという企業で、P&Gやペプシやネスレなどの大手がパーム油を仕入れている。この企業が多くの奴隷労働者を使っている事実が判明したからだ。もしこの輸入禁止が現実のものとなると、大企業のサプライチェーンに大きなダメージを与えそうだ。
想像するより多い人身売買や強制労働の現実

人身売買や強制労働の被害にあっている人々は世界に4千万人以上いるらしい。その多くが貧困地域出身の人たちで、インドの地方などでは他に仕事がないので選択の余地がない場合もあるらしく、またその人達を必要とする業者が多数存在しエコシステムを形成しているらしい。私も夏のドバイでその現実を見る事があった。綺羅びやか都心部の景色とは対象的に、少し離れた場所に建設労働者の寮が立ち並ぶ地域があった。殆どはインドやパキスタンからの出稼ぎ者で、かなり厳しい住環境の中で暮らしていた。そこに毎朝数百台のバスが押しかけ労働者達を乗せて建設現場へ向かう。40度を超える猛暑の中、エアコンもないバスにすし詰め状態で乗っていた。建設現場は2020年ドバイ万博が行われる付近だ。大手ディベロッパーと建設会社が競うようにそこに建物を建てていた。大企業のサプライチェーンの中に確実にその人達が入っていた。
世界中で企業にリスク開示を求める動き

イギリス、フランス、スイス、オーストラリアなどで既に人身売買や強制労働に関する法律が制定されている。アメリカではカリフォルニア州が「サプライチェーンの透明性に関する法律」を制定し、企業側が自社のサプライチェーン内でこのようなリスクがないよう、どのような措置を講じているかを公開しなくてはいけなくなっているようだ。今後この動きは更に拡がっていくように思う。

サプライチェーンが国外に及ぶ事が多くなると、全てをチェックする事は難しいかもしれない。しかし、FGVのように何か起こった場合自社のサプライチェーンに影響を及ぼしかねないサプライヤーの場合は入念にチェックする必要がありそうだ。
自社開発より買収へ

Nike社は3年かけて自社でこの販売予測システムを開発してきたが、なかなかうまく行かないと見てCelectの買収へと踏み切ったそうだ。Nikeが3年かけてうまくいかないようであれば、当然競合相手も苦戦するに違いない。その点Celectを買収してしまえばここのテクノロジーを独り占めできるメリットは大きいのだろう。AIやデータ関連企業は最近同業大手からへの売却というExit以外に、事業会社への売却という新たなExitが目立ち始めている。新たなM&Aの潮流になりそうだ。
最悪の場合はどうするか?

前述のランサムウエア被害に遭ったクライアントのケースでは、専門のコンサルタントに解決を依頼したそうだ。そのコンサルタントは、サイバー犯罪者と直接交渉をし、身代金の金額を下げたり、支払い後のサーバー復旧まで行ってくれたらしい。数百万円の被害でサーバ復旧に成功したので不幸中の幸いと言えるだろう。警察に相談すると「身代金は払ってはいけない。払ったところで本当に復旧できるかどうかわからない。」と言われるそうだが、だからと言ってその解決策を示してくれるわけではない。そういう場合は専門家に賭けてみるのも一案なのかもしれない。

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