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【海外トレンド発信】報酬委員会が取締役会で果たす役割の変化

2019年12月11日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

報酬委員会は取締役会の主要機能の一つで、アメリカでは上場企業のみならず非上場企業でも設置されている所が多い。Comp committeeと呼ばれるこの委員会は主にCEOなど経営陣の報酬を決定する役目を担っている。同業の動向や最近のトレンドを取り込んで報酬を決定していくわけだが、最近はこのようなただ報酬を決めるという役目では不十分なようだ。フィラデルフィアの老舗ヘッドハンティング会社であるKaplan社が新たな役目を提案している。



Why the Compensation Committee Needs a Rebrand
https://www.bankdirector.com/committees/compensation/why-the-compensation-committee-needs-a-rebrand/
人はお金だけでは動かなくなった

CEOやCFOなどの経営層人材は実に様々な動機で動いているらしい。元々もうお金に困っていない層の人達なので、それ意外の何かを求める事が多いのだろう。こうなると業績連動型の高度な報酬制度を用意しても、何のモチベーションにもならず機能しない事になってしまう。経営層の人達それぞれが何を求めているかを把握し、それを提供するようにしないと有能な経営陣をキープする事が難しい。これは他社の報酬動向やトレンド云々よりも、よりパーソナルなアプローチが必要となるので、全く新しい機能が求められると言ってもいいだろう。
報酬委員会は経営人材戦略を考えるべき場所

取締役会の最大の任務は経営トップであるCEOの選任だ。トップ次第で経営は大きく変わるし、トップをいつでも更迭できる状況にする事で取締役会が経営へのグリップを効かせる事ができる。しかし実際の現場では『代わりになれる誰か』がいなければトップを変える事などできるはずもなく、また代わりはそうそういないので実質的にグリップが弱くなってしまっているケースも多い。そう考えると取締役会には代わりを準備しておく戦略が必要となる。Kaplan氏によると、外部からのトップ招聘は運やタイミング次第という部分があるため、自社内で次期CEO候補を複数育てていく方が確実だそうだ。企業の規模によるが、CEOから2階層下のレベルの人達までモニタリングし、相応しい人材を戦略的に育てていく必要があるとの事だ。

日本の委員会設置会社では指名委員会が次期社長の人選を担っていると思うが、Kaplan氏の提言によるとただの指名だけではなく、育成や報酬も含めた包括的な経営人材戦略を策定する機能が取締役会にとって重要だとの事だ。次の誰かを用意しておく事が経営のグリップを効かせる重要なファクターであるとしたら、この人材戦略はまさにその根幹を成す機能と言えるだろう。
リモートなら対象は全米中

例えば弊所がシカゴのローカルで誰かを採用しようとすると、普通はまずジョブサイトに登録する事となる。そこで検索されて応募者が来たり来なかったするのを待つ。応募者が来たら面接をするのだが、当然来るのは通勤可能な距離に住んでいる人だ。非常に限られた範囲の中から、有能でしかも今職を探している人と運命的にジャストミートしないといけない。これでは非常に確率が低い。リモートならば全米中から対象者を探す事が可能になるので現実味がある。弊所の場合は時差なくリアルタイムでリモートの人とコミュニケーションが取りたいためアメリカ国内限定となるが、時差があっても良ければ世界中から探す事だって可能だ。今後も非有名企業を中心にリモートワークが更に増えていきそうな気がする。
4.スタートアップ

業種という括りは関係なく、スタートアップ企業の場合リモートワークを受け入れる素地があり、経理担当、コントローラー、CFOとあらゆるレベルのポジションでリモート求人が出ているらしい。まだ規模が小さく無名の企業が優秀な人を採用するには、何らかの“特典”を用意する必要があるが、リモートワークをOKとする事でその特典としているようだ。スタートアップを複数かけもちなどすると、安定した仕事量をキープする事が可能なようだ。

アメリカでもリモートワークはまだ主流ではない。しかし年々その数は増えており、今後更に増える事が予想されている。主流になる前に上述のような業界で“リモートワークでの実績”を積んでおくことが後々大切になってくるのかもしれない。

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