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【海外トレンド発信】テレワークはToo muchで

2020年5月18日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

アメリカでもイギリスでも外出禁止令が出た日以降は殆どがテレワークとなった。弊所では以前から欧米各所と時差と距離を超えてテレワークを行っていたのでさほど大きな混乱はなかった。しかし、テレワークを全く行っていなかった米英のクライアント企業では各所で様々な問題が起こった。
停滞感や倦怠感が発生
アメリカでは、外出禁止令が出た直後の雰囲気はとても明るいものだった。スタッフの皆は外出禁止令が出て会社に来れなくなる事を心待ちにしていたようで、発表後は皆「法令だからしょうがないよね」といいながら喜びを隠せずにいた。出社最終日には「Happy Corona Holiday!」などと言って別れるほどホリデー気分満載であった。こうなると当然『テレワーク = 休暇』という雰囲気になってしまう。休暇ではない事はわかっていても、朝からしっかり仕事をしている様子はないし、どんなに管理しようとしても倦怠感が拭い切れない状態となってしまった。
チーム感の崩壊
チームワークの良さが売りであったイギリスの企業でも変化が起こった。日頃はチームとして動き、自部署の問題は誰もが自分事として対応してきたスタッフ達が、テレワークを機に大きく変わってしまったのだ。自分宛に来ない問題は自分事ではないと解釈し、自発的に動かず問題が放置されてしまう。オンラインミーティングを行っても効果は一時的で、すぐにチーム感が崩壊し皆個人主義的な動きになってしまう。自宅にいるため家族や自分の生活が感心事の中心となり、チームは二の次というマインドセットになってしまったのだろう。
鍵は“Too much”
弊所でもテレワーク導入初期は全く同じような弊害に遭遇した。その度に口を酸っぱくして皆で唱えてきた言葉が“Too much”であった。普通なら「そこまで言うの?」と思われるようなToo muchな説明をテレワークではしようというものだ。軽く一言伝えればわかって動いてくれるだろうという事も、添付できる資料は全て添付して「わかった? 本当に理解した? わかったらすぐに返事してね」と伝える。「この件はあなたのチームで対応してね」などという不明確な指示はご法度とし、誰がいつまでに対応しないといけないかを明確に伝える。ミーティングもToo muchを意識し、たいした議題がない時でも必ず行い雑談も交えた情報交換をする。日頃メッセージで済ましているような事はメールで丁寧に、日頃メールなら電話で声を聞きながら、日頃電話の事はZoomで顔を見て話す。このようなクドいコミュニケーションを自社のスタイルとして浸透させてきた。
近くの他人より遠くのテレワーカー

アメリカでもイギリスでも、クライアント内でこのクドいコミュニケーションの導入を図った。いや、今も悪戦苦闘中だ。導入もクドくひとりひとり説明しないとなかなか根付かない。「そこまで言わなくてもわかるよ。バカにしているのか?」と言われるレベルまで話し、「いや、テレワークではそれが大事なんだ」という事を説いていく。骨の折れるプロセスだ。しかしながら、これをしていると今まではあまり仕事の絡みがなく、殆ど話をしなかった人が多くいた事に気付かされた。物理的には同じオフィスにいて顔も合わせて挨拶もしていたのにだ。ところが、テレワークとなり一対一でToo muchなやりとりをするようになり、以前よりも親しくなり相手の事もよく理解するようになった。

Too muchなコミュニケーションは慣れるまでは大変だが、それに見合う恩恵があるように思う。いつの日か、テレワークでも阿吽の呼吸が生まれてくる日を夢見つつ、これからもクドく頑張っていこうと思う。
4.従業員文化を知る

取締役が毎月ランチョン等の場を設けて、様々な立場の従業員と交流する事はその企業の文化や今流れている空気感を把握する助けとなるらしい。人事部門から上がってくる情報やデータだけを見ていても、本当の“今の状況”はわからないとの事だ。ただ、私個人的には普通の従業員が取締役とランチを共にしたところで、本音の部分を語れるとはとても思えない。例えば取締役がふらっと現場に来て、現場の人達に質問をしたり意見を求めたりする事が普通の景色になるようであれば、従業員達の状況をリアルに感じ取ることができるのかもしれない。

人材の流動化やデータベース化が進む昨今だからこそ、タレントマネジメントはこれから今まで以上に重要となっていくだろう。取締役会も足元の業績にばかり目を向けていければ良い時代ではなくなってきている。

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