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【海外トレンド発信】会社更生法申請直前の役員賞与支給が話題に

2020年9月14日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏
アメリカではパンデミックの影響により、有名企業の会社更生法(Chapter 11)申請が相次いでいるが、多くの企業で申請する直前に役員にしっかりとボーナスを支払っているケースが多いという事が先日ニュースとなっていた。

相次ぐ有名企業の倒産
パッと探すだけでもこれだけの企業がパンデミックになってから倒産している。
JC Penny(百貨店)
Neiman Marcus(百貨店)
Pier 1 Imports(雑貨)
Muji(雑貨)
J Crew(ファッション)
Brooks Brothers(ファッション)
True Religion(ファッション)
Lucky Brand(ファッション)
Gold’s Gym(フィットネスジム)
24 Hour Fitness(フィットネスジム)
Hertz(レンタカー)
Dean & Deluca(カフェ)
申請前のボーナスラッシュ
Chapter 11は申請を行いそれが認められた段階で会社の資金を自由にできなくなる。その代わり債権者からの取り立ても凍結され、後に認められる再建プランに従って資金が使われ、債権の返済も行われる。つまり申請してしまったら役員賞与など支払えなくなってしまうのだ。破産処理中の役員賞与支払は破産法上でも禁止されている。それは困るという事で役員達は申請前にボーナスを受け取ったわけだが、これがあまりにも明らさまであったため話題となった。多くの企業で破産申請前の2ヶ月内に役員ボーナスを支払っていたが、JC Pennyなどは申請5日前、もっと酷い企業は2日前に支払っているケースもあったようだ。
法律よりモラル的な批判の的に
破産申請前のPreferential transfer(誰かに優先的に資金を支払ってしまうもの)は法律で禁止されているのが、ボーナスがこれにあたるのかというと今のところそうではない。つまり申請前の役員ボーナス支給は基本的に合法だ。以前から決まっているものだから問題ないという論理や、有能な役員達を破産処理中もキープするためにもボーナスは必要だという意見もある。ただ、痛みを被る債権者や、破産処理の影響でリストラされる従業員達を横目に、役員達だけがしっかりボーナスを取るのはいかがなものか?というナラティブで世間の注目を浴びる事となった。これを受けて政府も法改正に動いているようなので、今後は厳しく規制されるようになるのかもしれない。

翌日審査完了でスピード融資
ポチッた翌日、融資審査が通ったという通知と共に融資契約書がメールで送られてきた。オファーされた融資上限金額がそのまま銀行に振り込まれ、それが元本になるようだ。となると先に受け取ったアドバンスは融資金額に含まれない事になる。やはりあれは本当にただ補助してくれただけだったのだろうか。。金利の3.75%は安くはないが、アメリカで普通に融資を受けようとすると4%~6%の金利がかかる。そう考えると、今後の不測の事態に備えて借りておいた方がいいかもしれないと思い、そのままこの融資を受ける事にした。

返済は12ヶ月後からスタートする事になっているが、どこにどうやって返済するのかもまだ明らかにされていない。きっと何らかの返済システムを準備して12ヶ月以内には明示されるのだろう。準備が整う前にどんどん始めてしまうあたりが実にアメリカらしいと感じた一件であった。
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ローンを受けた大企業は連日次々と判明し、新聞等で大バッシングを受けた。このバッシングによりLAレイカーズなど多くの企業が政府にローンをすぐさま返金するという事も起きた。しかしマスコミに嗅ぎつけられていない大企業は未だ多く、恐らくバレるまでは返金しないというスタンスを取るのだろう。
第2ラウンドスタート

4月27日に第2ラウンドのローン受付がスタート。今度の予算は$250B。前回より少ない。今回は大企業が申し込みしにくい世論環境が整ったが、それでも一瞬で無くなってしまう気配は濃厚だ。メガバンクのローン申請システムは未だにフリーズ状態でカクカク言っている。埒が明かない。そこで私は新興勢に目をつけた。Paypalだ。私が取締役をしている企業の殆どはメガバンク経由での申請で立ち往生していたためPaypalでのローン申請に切り替えた。今回の件でパンク状態となってしまった金融機関を補完すべく、政府はPaypalなどの新興フィンテック勢にも銀行免許を急遽発行したのだ。『新興のPaypalであればまだパンクしていないはず』という目論はみごとに当たり、トントンとプロセスが進む。結果ローン申請は3日ほどで完了し、後は政府からの返答待ちという状態となった。$250Bに潜り込めたかどうかはあと数日後にわかるだろう。

もし潜り込めたら2ヶ月間は今の人員を維持できる。しかしダメだったら更なるリストラを決行する必要が出てくるかもしれない。全てはロックダウンがいつ終わり経済が正常に戻るかにかかっている。ピリピリした春になりそうだ。

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