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【海外トレンド発信】パンデミック下の銀行に初めて行ってみた

2020年7月14日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

米国内がロックダウンとなってからは、多くの銀行が店舗を閉鎖しATMやオンラインや電話で対応するところが多かった。ドライブスルーがある店舗はパンデミック中もオープンしていたため、車が長蛇の列になっている事もあった。このような状態だったので銀行に行く事は全くなかったのだが、先日どうしても行かなくてはならない用事があり、開いている店舗に行く事になった。
店舗に来させて営業する常套手段
用事というのは、6ヶ月物のCD(譲渡性預金)が満期となったので解約するというとても簡単な事であった。オンラインで簡単にCDを選んで買えるのに、満期時には店舗に来ないと解約できないという金融機関がよくやるプレイだ。わざわざ店舗にアポを取った上で来店し、プライベートバンカーの待つ部屋に案内され、コーヒーを出され、そこであれやこれやと様々な金融商品のセールスをひとしきり受けるという流れで、とても煩わしい。しかし相手も仕事なので仕方なくこのプレイにお付き合いする覚悟で銀行を訪れた。
セールスどろこではない銀行員
実際に行ってみると、そこはいつもと全く違う様相であった。入り口付近にマイクがあり、そこで名前と要件を伝えるとスピーカー越しに「VIPルームにご案内しますので右にお進みください」と言ってきた。無人対応というか、有人だがリモート対応だ。右に進んでみるとそこにはVIPとわざわざゴールドで書かれたエリアがあり、そこにプライベートバンカーが待ち構える広いVIPルームがあった。セールスのための隔離部屋だ。「ここでみっちり営業を受けるのか・・まぁ仕方ない」と思って中に入ろうとすると、「すみません、中に入らないでそこでお願いします」と中のバンカーが言ってきた。え?ここで? 部屋の外の入り口付近に椅子が一つ置いてあった。どうやら私はここに座り、相手は部屋の中で応対するというプレイのようだ。新しい。しかし、それにしても部屋の外では相手があまりにも遠い。「CDの解約ですよね?」とバンカーが大声で質問し「はい。そうです。」と私も大声で答えやりとりが始まった。大声でお互いが叫び合い、時には「え?何ですか?もっと大声で!」などと言いながらCDを解約するという面白い展開となった。当然ながらこの状況ではバンカーも営業トークなどできるはずもなく、シンプルにCDの解約手続きを進めてくれた。助かった。

奥の方では別の部屋でも同じような大声プレイが行われていた。そちらは融資の審査に関することのようで、かなり複雑なやりとりが大声で行われていた。プライバシーも何もあったものではないが、この状況では仕方ないのだろう。

パンデミック前ですら各大手銀行が実店舗を減らしつつあるというニュースがあったが、今回のロックダウンで更にその流れが進みそうだ。そのうちに大声プレイをしなくてもZoomのようなもので応対するようになるのかもしれない。
アメリカ人の失業者とのミスマッチ
IT企業達は、今回の就労ビザの停止はアメリカの失業者達の救済にならないと主張している。インド人エンジニア達はかなりハイスペックなスキルの持ち主達であり、アメリカの失業者達は単純労働者の場合が多いので就労ビザを制限したところで彼らの職が増えるわけではないという事だ。確かにH-1Bビザ発給数の75%はそういったハイスペックなITエンジニア達だと言われているので、彼らが入国できないからといって「じゃあ失業中のアメリカ人で穴を埋めよう」というわけにはいかない。ただ、IT業界以外の人達はそんな事実は知らないし、「外国人の就労ビザを制限する」とトランプ大統領が声高らかに宣言すれば、非エリート層のアメリカ人達は「トランプは自分達の味方だ!」と思うだろう。トランプ大統領はボリュームゾーンであるこの層を取り込むのが実に上手だ。被害者となるインド人ITエンジニア達は気の毒だが、きっとそれほど優秀な人達であればインドからリモートで働く形で採用され、アメリカベースの給与を付与されるようになるのだろう。
ローンを獲得したのはやはり
2日と経たずに秘密のベールが剥がされた。Shake shackなどの大規模外食チェーンやLAレイカーズなどのプロバスケットチーム、他にも多くの大企業がこのローンを獲得していた事が判明した。中小企業救済のためのローンではあったが、大企業でも獲得できる抜け道が多くあったためだ。メガバンク各行は大企業顧客にはハンズオンで対応し、いち早くローン獲得につなげたわけだ。大企業であれば2ヶ月分の全従業員の給与額は膨大な金額となる。あっという間に$350Bがはけてしまったのはこのためであった。
大バッシングを受けローンを返却
ローンを受けた大企業は連日次々と判明し、新聞等で大バッシングを受けた。このバッシングによりLAレイカーズなど多くの企業が政府にローンをすぐさま返金するという事も起きた。しかしマスコミに嗅ぎつけられていない大企業は未だ多く、恐らくバレるまでは返金しないというスタンスを取るのだろう。
第2ラウンドスタート

4月27日に第2ラウンドのローン受付がスタート。今度の予算は$250B。前回より少ない。今回は大企業が申し込みしにくい世論環境が整ったが、それでも一瞬で無くなってしまう気配は濃厚だ。メガバンクのローン申請システムは未だにフリーズ状態でカクカク言っている。埒が明かない。そこで私は新興勢に目をつけた。Paypalだ。私が取締役をしている企業の殆どはメガバンク経由での申請で立ち往生していたためPaypalでのローン申請に切り替えた。今回の件でパンク状態となってしまった金融機関を補完すべく、政府はPaypalなどの新興フィンテック勢にも銀行免許を急遽発行したのだ。『新興のPaypalであればまだパンクしていないはず』という目論はみごとに当たり、トントンとプロセスが進む。結果ローン申請は3日ほどで完了し、後は政府からの返答待ちという状態となった。$250Bに潜り込めたかどうかはあと数日後にわかるだろう。

もし潜り込めたら2ヶ月間は今の人員を維持できる。しかしダメだったら更なるリストラを決行する必要が出てくるかもしれない。全てはロックダウンがいつ終わり経済が正常に戻るかにかかっている。ピリピリした春になりそうだ。

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