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【海外トレンド発信】予実管理の終焉と新たな経営管理手法

2019年9月25日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

FP&A(経営管理)関連の情報を見ていると、最近よく目にする言葉が2つある。ひとつは“Rolling horizon”で、もうひとつは“Driver base”だ。年度予算を作って予実管理をしていく伝統的な経営管理手法ではもう限界があるという事で、この2つの手法を使った経営管理がトレンドになりつつある。
一定期間の“予算”ではなくずっと続く予測

Rolling horizonとは一定期間を管理するのではなく、見える範囲を継続的に見ていくという手法だ。地平線にはいくら進んでもたどり着く事がないように、経営予測も例えば『向こう30ヶ月』などと地平線を決めたら、継続的に向こう30ヶ月の予測を立てていく。つまり毎月予測数値を変えていくという事だ。四半期に一度予算を見直す企業は多くあるが、毎月予測を変えていくというのはなかなか難しい。しかしこれができると経営管理が劇的に変わる。
予算改定の頻度が少ないリスク

例えば製造業では、予測に沿って製造を開始してから顧客に届くまでに18ヶ月かかるような場合もある。出来上がった頃には世の中の状況が変わっているかもしれないのだ。しかもその予測が年に一度しか改定されないとしたら現実との誤差はとても大きなものになってしまう。機会損失のリスク、売れ残り在庫のリスク、キャッシュフローが大幅に狂うリスクなどが出てきてしまう。これらのリスクを低く抑えるには予測改定のサイクルを短くする必要がある。

サプライチェーンが国外に及ぶ事が多くなると、全てをチェックする事は難しいかもしれない。しかし、FGVのように何か起こった場合自社のサプライチェーンに影響を及ぼしかねないサプライヤーの場合は入念にチェックする必要がありそうだ。
予測は分散管理

経理部や経営企画部が予算を取りまとめる集中的な管理手法では、当然毎月予測を改定するなどできるはずがない。各部署がそれぞれの予算を管理し、それが自動的に予測に反映されるシステムが必要になる。最近はそのようなシステムが複数あるのでそれらを活用する事になるだろう。しかしここで各部署が管理する予算が単に「先月と同じ金額を入れておこう」というような古典的なものだと何の意味もない。そこで重要となってくるのがDriver baseだ。
管理するのは金額ではなくドライバ

各担当者は、売上やコストに影響を与えているドライバを注意深く観察する。そしてそのドライバの数値を調節する。商品の市場価格、仕入れ値、ロジスティクス費用、人件費などのトレンドを各担当者が毎月見直し、その小さなドライバの数値を調節していく。そしてそれがシステムを通じて向こう30ヶ月の予測として自動的に集約されていく。ここまでできればもう年度予算による経営管理を捨てて、継続的な予測に基づいた機動的な経営をする事が可能となる。

アメリカでは既に4年程前からこのような経営管理に移行している企業があるようだ。これは間違いなく今後のトレンドとなってくるだろう。

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