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【海外トレンド発信】ワクチンでも終わらないアメリカのコロナ禍

2021年12月23日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏
ワクチン接種が進んだアメリカでは6月にはほぼ全ての制限が撤廃され、人々は普通の日常生活を謳歌した。マスクをしたり飲食店での食事ができなかった時代が懐かしく感じられるほど普通の生活に戻っていた。もうコロナは“過去の事件”という感覚になり6月、7月、8月の3ヶ月間は久々の夏をエンジョイしていた。ところが、8月の終盤頃からまた新規感染者数が増え第5波が始まった。多くの州で再び室内のマスク着用が義務付けられ、少しづつ過去のコロナ禍に戻ってきつつある。
どうしてもワクチンを摂取しない人達
アメリカは早期にワクチン接種が進み、私のような一般人も4月末には2本目の摂取が完了した。ところが8月になった現在でもワクチン接種率は50%に満たない。街には予約なしで摂取ができるような病院も多数あり、ワクチンも十分確保されているが、それでも50%に満たない。これはワクチンの数や摂取体制の問題ではなく、摂取を拒んでいる人達が約半数いるという事だ。そしてそのワクチン未摂取の人達の間でデルタ型が拡がり第5派が引き起こされている。
ワクチン接種は個人の選択
私が取締役を務めているシカゴの会社でもひと悶着あった。この会社では8割の従業員がワクチン接種を終えているが、約2割未摂取者がいた。接種済のグループからは『未摂取の人達が職場にいるのは困る』という声があがってきたため、私が未摂取の人達を一人ひとり説得して回る事になった。ところがこれが誤算だった。『ちゃんと話せば理解してくれるだろう』などという日本人的な甘い考えで望んだ私が間違っていたのだが、ただ事を荒げただけで全く効果がなかった。摂取を勧める話をすると、まるで宗教的なタブーに触れてしまったかのように皆激しく抵抗したのだ。『ワクチンは危険だ』『政府の方針は科学的に間違っている』『コロナなんて怖くない』など、反論する気も起きないような理由を並べて激しく抵抗した。そこで理屈は抜きにして気持ちに訴えようと方針転換し『皆が安心して働ける職場にしようよ』と下手に出てみたところ『俺の仕事は皆を安心させる事じゅない』と返してくる始末。。ワクチン摂取が法的に義務化されていない以上、これ以上何もできる事はなく虚しく退散する事となった。
解雇かリモートに戻るかの2択
8割の社員の意見を優先し2割の未摂取者がオフィスに来ないようにするには彼らを解雇する以外に手はなかった。未摂取者はみな倉庫や工場勤務者でリモートでの業務は不可能だからだ。しかし逆に言うと、彼らがいないと日々の業務が回らない。ワクチン摂取済の社員は営業やオフィスワークが多かったため彼らはリモートになり得る。検討した結果『職場環境に不安を覚える社員はリモートワークをするように』という事になり、多くの社員がリモートに戻っていった。

ワクチン摂取を法的に義務化できないのには様々な理由があるようでなかなか現実味がない。欧米の政府は義務化できない代わりに未摂取者の生活インフラに制限をかけてきている。未摂取者は店舗に入れないなどの制限をかけ、接種済みの人達と同じ生活ができないように動いているようだ。このような施策がうまく機能してくれる事を祈るばかりである。
二発目の副反応は少しハード
今度は接種翌日に37度超の発熱があり一日寝込む事となった。しかし多くの人がそうだったように、二日目には回復して通常通りとなった。

二回のワクチン接種をして驚いた事がいくつかあった。一つは日頃は(日本人に比べて)いい加減なアメリカ人達が、見事にシステマティックな接種体制を整えて、まさにF1のピットストップのように効率的な接種を行っていた事だ。状況に応じて素早くドライブするーからウォークインにシステムを大変更したのも驚きだった。そしてもう一つはボランティアの多さと素晴らしさだった。車を誘導する人も摂取する看護師も、軍の関係者とボランティアでまかなわれていた。その数は膨大な数だがこれだけ多くの人がボランティアとして素早く集結する事に感銘した。また、ボランティアは自発的に参加しているためか、一般の病院などよりも親切でハツラツと明るい対応をしていて、とても気持ちよく接種を受ける事ができた。このような光景を目の当たりにすると、自分も何かコミュニティーに貢献しないといけないなという気分になった。
第2ラウンドスタート

4月27日に第2ラウンドのローン受付がスタート。今度の予算は$250B。前回より少ない。今回は大企業が申し込みしにくい世論環境が整ったが、それでも一瞬で無くなってしまう気配は濃厚だ。メガバンクのローン申請システムは未だにフリーズ状態でカクカク言っている。埒が明かない。そこで私は新興勢に目をつけた。Paypalだ。私が取締役をしている企業の殆どはメガバンク経由での申請で立ち往生していたためPaypalでのローン申請に切り替えた。今回の件でパンク状態となってしまった金融機関を補完すべく、政府はPaypalなどの新興フィンテック勢にも銀行免許を急遽発行したのだ。『新興のPaypalであればまだパンクしていないはず』という目論はみごとに当たり、トントンとプロセスが進む。結果ローン申請は3日ほどで完了し、後は政府からの返答待ちという状態となった。$250Bに潜り込めたかどうかはあと数日後にわかるだろう。

もし潜り込めたら2ヶ月間は今の人員を維持できる。しかしダメだったら更なるリストラを決行する必要が出てくるかもしれない。全てはロックダウンがいつ終わり経済が正常に戻るかにかかっている。ピリピリした春になりそうだ。

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