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ワークダイバーシティ

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【海外トレンド発信】海外子会社のガバナンス(守り編)

2019年1月31日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

前回の(攻め編)に続いて(守り編)をまとめてみたい。日本企業海外子会社は未だガバナンスが整備されていない場合が多いが、特に『守り』に関しては死活問題となり得る大きな問題である。本社は株主に対し有効なコーポレート・ガバナンスを整備する責任を負っているが、海外事業については内部監査頼みになっているケースが多い。一般的に5日程度で行われる内部監査を『十分なガバナンス』と株主に説明するのは無理がある。不正等のリスクが高い海外ではより社外取締役の役目が重要となる。

『守り』の役割① 不正抑止力

専門家の社外取締役がいつでも自由に帳簿や各種データにアクセスし、数ヶ月おきには実査にやってきて色々な質問をするという状況は、不正する気を起こさせなくする抑止力がある。不正はそれを発見する努力よりも抑止する努力の方が重要で経営的にも合理的だ。頻繁に現地とやりとりしながらも一定の距離を保ちあくまでも株主である本社寄りの人間である態度を取り続ける社外取締役がいる事で不正の芽が発芽するのを防ぐ事がでる。
『守り』の役割② 不正発見力

仮に不正が行われている場合、行う側も完璧な隠蔽を試みるので数日間の内部監査でそれを発見するのは至難の業だ。内部監査は事前にスケジュールがわかるため当然それに備えられてしまう。不正を発見するには継続的に現地社員達と接触し、そこから感じられる変化や不穏な動きを察知する必要がある。独立した立場の社外取締役がこの役目を担い、日頃から現地とコミュニケーションを取る事によって不正発見力を上げる事ができる。


弊社が今まで経験した不正は横領や購買不正であった。横領は比較的内部監査でも発見しやすいが、購買不正は発見が難しい。また欧米ではカルテル不正などで巨額の損失が出る事もありグループ全体への影響も大きい。海外での守りのガバナンスは今後更に重要性を増していくだろう。
ROIの経営感覚を身につける

例えば営業部門であれば売上をどれだけ上げるかのみが関心で、経費は使えれば使えるだけ良いという感覚になりがちだ。しかしZBBでコストを積み上げていく際にはどうしても「このコストは本当に必要なのか?」という事を気にせざるを得ない。積み上げた以上その理由を問われれば説明できないといけないからだ。そのプロセスを繰り返していくうちに「うちは今期は売上は横ばいだったが、コストをこれだけ削減して利益は大きく伸ばした」という事も言えるようになる。更にこのZBBの文化が根付くと本当に有効なコストのみを選択するようになっていき、経営者的なROIの感覚が浸透していくらしい。毎年全社でZBBの作業を行うのは大変な事ではあるが、それ以上の効果が期待できるようだ。面倒な作業を好まない欧米で最近ZBBが流行しているのは、このような理由なのかもしれない。
中小事務所の強い味方

今まで中小事務所は監査シーズンにたくさんのスタッフが必要で、しかし一度確保してしまうとシーズンオフに人員過多となってしまうというジレンマを抱えていた。しかしこのAIサービスを使えばハイシーズンの人員需要を少なく抑える事ができる。これは中小事務所にとって強い味方になりそうだ。今後は大手向けだけではなく中小向けのこのようなAIやロボティクスサービスもどんどん登場してくるかもしれない。

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