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【海外トレンド発信】投資家としての存在感を増すファミリーオフィス

2022年3月23日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

以前サッカーの本田選手がベンチャーファンドを作った際に、そのファンドに俳優ウィル・スミスのファミリーオフィスが参加しているという記事を読んだ事があった。『ウィル・スミス程になるとやっぱりファミリーオフィスを持っているんだなぁ』と思った記憶があったが、ファミリーオフィスについては『きっと大金持ちが資産運用して後々相続や贈与をするためのものなんだろう』という程度の理解しかなかった。ところが最近経済ニュースでよくこのファミリーオフィスという法人の話を目にするようになり、実は欧米では投資業界でメジャーなポジションを築いているようだという事がわかった。下の記事でその概要が紹介されていた。




Making family offices your go-to source of capital
https://www.cfodive.com/news/making-family-offices-your-go-to-source-of-capital/619036/
静かで忍耐強い投資家
ベンチャー企業にとって資金調達の相手といえばエンジェル投資家やインキュベーターから始まり次にVCファンドと移っていくのが今まで最も一般的だった。確立されたエコシステムではあるが、創業者にとってひとつ厄介な問題がある。それはどの相手もExitを求めているという事だ。しかもできるだけ短期に。早く業績を伸ばして数年後に売却もしくはIPOでExitする事を投資家は望むが、創業者はそんなに焦らずじっくりと事業を進めたいという場合も多い。その場合の次の手はローンという事になるが、創業間もない企業は運転資金をローンで調達する事が難しい。不確かな将来の成長に期待してして資金を提供する事は銀行は苦手だからだ。この需給ギャップを埋めてくれる投資家としてファミリーオフィスが存在感を増している。ファミリーオフィスは長期的な投資を志す傾向があり、短期的なキャピタルゲイン狙いではない場合が多いからだ。
ファミリーオフィスの特徴
ファミリーオフィスと聞くと今までは何となく『大金持ちの資産管理信託』のようなイメージを持っていたが、その実態は殆どVCやPEファンドなどの機関投資家と変わらない活動をしているらしい。違う点は大きく2点。ひとつはファンドのように期限を持たない事が多いため、期限に追われて投資資産を現金化する必要がないという点。そしてもう一つはファミリーオフシスの資産の出資者はオーナーのみという点だ。第三者からの出資を受け入れて投資活動をしているわけではないので、自分たちの好きなように柔軟な投資を行う事ができる。これから資金調達を行うベンチャー企業にとって、長期的に付き合う事ができる株主としてファミリーオフィスはとても重要な投資家と言えるだろう。
2月13日
Vovaさんから「チーム全員でポーランド国境付近に一時移住した」という連絡が入った。Vovaさんによるとこれはあくまでも念の為の措置で、安心して業務に当たる事ができるようにとりあえず職場を移動したとの事だった。VovaさんのホームタウンはSumyというロシア国境に近い街なので、より安全な場所にという事だったのだろう。2014年にロシアとの紛争が始まって以来、ウクライナはロシアの侵略を許した事は一度もなく、兵力も近代化が進んでいるので、今回も全く心配はしてないとVovaさんは言っていたが、移動したという事はやはり危機的なものを少し感じていたのかもしれない。
2月24日
昨日まで普通にやりとりしていたVovaさんとの連絡が急につかなくなった。いつも即レスのVovaさんだけに1日レスポンスがないというのは非常事態を意味しているように思えた。ネットワークが破壊されたなどの理由で連絡がつかないのであればいいが、大丈夫だろうか?ととても心配になった。2日目もレスポンスがなく、心配は日々募っていった。
2月26日
Vovaさんから、チームとその家族全員でポーランドに入る事ができたと連絡があった。「PCや機材一式も一緒に持ってきて、ポーランドでレンタルオフィスを借りてネットワークにも繋がったからもう大丈夫。今日からバリバリ仕事します。」との事。ホームタウンや家や知り合いがどんな事になっているのかもわからない状況で、この逞しさは凄まじい。「僕らは慣れているから大丈夫。でも、今回は酷いね。ここまでやられるとは想像もできなかった。」とVovaさん。一日も早く無事にVovaさん達がホームタウンに戻れる日が来る事を祈るばかりである。

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