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【海外トレンド発信】大型ERP vs 小規模専業サービス

2017年11月13日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

今アメリカでは会計等ビジネスソフトウェアの動向が大きく2つに分かれている。一つはSAPやOracleのような
大規模なERPをもっと気軽に導入できるようにしようという動きで、IntactやWorkdayなどがその雄として成長
している。そしてもう一方は目的別の専業サービスが成長し、またそれらを『繋げる』サービスも同時に成長して
いるという動きだ。

高度化を目指すIntactとSage

気軽に導入できるクラウド型のERPとしてシェアを伸ばしていたIntactを今年イギリスのSageが買収した。Sageはイギリスの中小企業向け会計ソフトで大きなシェアを持ち、米のQuickbooksのような存在であったが、海外シェア拡大を目指しQuickbooksのライバルであったPeachtreeを買収した事がある。しかし国際展開はなかなか思うように進まずQuickbooksが世界シェアを伸ばし続け、更にクラウド専業のXoroが欧州でのシェアを伸ばし、中小企業向け会計ソフトでは英国内止まり感が漂っていた。そこでもう少しハイエンドユーザーの市場で世界シェアを伸ばしているIntactを買収し『クラウド簡易ERP』という別の土俵で戦おうとしているように感じられる。
専業サービス達の躍進

アメリカでは経費精算はExpensifyというアプリがとても有名で多くの企業で使われている。規模の大小を問わず対応可能で、スマホでレシートの写真を撮り承認を経て会計ソフトにデータを流すというアプリだ。今では殆どの会計ソフトがExpensifyに対応している。支払管理はBill.com、CRMはSalesforce、ビジネス・インテリジェンスはTableauなど、専業サービス達もそれぞれの分野で世界標準となり始めている。
『入り』と『引出し』の連携

いくつかの専業サービスを使う場合カギとなるのが、データの入りと出しの連携の有無だ。会計ソフトへの『入り』の部分は既に対応済みの場合が多いが、例えば今まで使っているCRMを無理やり会計ソフトに連携させたいという場合もある。こういう場合は連携させるスクリプトをエンジニアに書いてもらえば処理を自動化する事ができる。私のイギリスのお客様は昔から使っている古い会計ソフトからSageのクラウドCRMにデータを流すスクリプトを使っており、スムーズなデータ連携を実現している。またデータの『引出し』の方でも連携がカギとなる。例えばTableauはQuckbooksのオンライン版には対応しているがハイエンドモデルには対応していない。しかしこれも全く繋げられないという訳ではなく、スクリプトや別のサービスを使う事でQucikbooks内のデータにアクセスする事ができるようになる。私のオランダのお客様はExactというTableauに全く連携しない会計ソフトを使用していたが、やはりスクリプトを書く事でデータ連携する事ができた。こうなってくるともはや大規模なERPはいらないのではないか??という感じにもなってくる。
海外子会社が多い場合は『統一より分散』が有効か

M&Aなどで子会社が増えてくると、今までだったら『基幹システムを統一化しよう』という動きが主流であった。しかしそれはなかなか難しいし大きなコストがかかる。そうなると各社で使っているシステムはバラバラでもそれを繋ぐ事ができればそっちの方が良いという事になってくるだろう。各社で規模や現地の標準に合ったシステムを使い、そのデータを本社で繋げる。Tableauなどの専業サービスが成長してくれたお陰で、こういう事が可能になってきている。なんとなく業界全体的な流れが『統一より分散』『大規模より専業』という風になってきている気がする。

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