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【海外トレンド発信】バイデンの法人税増税案が及ぼす米経済への影響?

2021年3月26日
モーゲンスターン・シカゴ 代表
米国公認会計士 村田幸伸氏

トランプ政権が終わりアメリカの法人税はまた先進国で最も高いレベルに戻りそうだ。元は21%~36%であった法人税率がトランプ政権下では一律21%になった。特に大企業にとっては大幅な減税であった。しかし今回バイデン政権になり予定通り法人税率を上げる方向で進んでいる。現在は一律28%(7%アップ)の案が有力だ。トランプ政権以前よりは低い税率だが、それでも州の法人税を加算すると例えば私のいるイリノイ州では37%という税率になる。これはやはりOECDの中でも最高レベルの税率だ。

CFO DIVEのこちらの記事によると、この増税がアメリカ経済に及ぼす負の影響は小さくないようだ。



Biden's corporate tax hike would reduce output, jobs, wages, study finds
https://www.cfodive.com/news/biden-corporate-tax-hike-employment-production-tax-foundation/595673/?utm_source=Sailthru&utm_medium=email&utm_campaign=Issue:%202021-02-26%20CFO%20Dive%20%5Bissue:32680%5D&utm_term=CFO%20Dive
負の影響の規模感

CFO DIVEの分析によると、この増税により長期的に国内総生産は0.8%減少。159,000人の失業者を新たに増え、平均給与は0.7%減少するらしい。パンデミックによる大規模な財政出動により膨大な借金を抱えるアメリカ政府は増税は避けられないようだが、その影響により経済的な損失も覚悟しなければならないようだ。
ビジネスは国境を超えられる

GAFA企業群が複雑な国際タックルプランニングにより法人税を劇的に安くしていた件は有名だが、もっと身近な私の周りでもアメリカの法人税の高さを理由にビジネスの一部を海外に持っていくアメリカ企業の例は多かった。例えばロジスティクスなどの社内機能をアメリカから低税率国に移すという例は多く、アムステルダムやガーンジーなどが人気であった。トランプ政権の法人税減税により『わざわざそこまでしなくても良いよね』という流れになり2017年以降に機能をアメリカに戻すという案件も経験した。今回のバイデン増税により『やっぱりこの機能はアメリカから出そう』という動きが再燃しそうだ。

ビジネスは簡単に国境を超えられる。一方人はそう簡単に国境を超える事はできない。ビザの問題もあるし何と言っても慣れ親しんだ国を税率を理由に離れるのはなかなか難しい。そう考えると高所得者への個人所得税の増税も今後大いにターゲットになりそうだ。
第2弾もフィンテック勢が躍進
前回は大手銀行がオンラインでの申込みシステムを用意するのに相当ジタバタし、PaypalやQuickbooksなどの新興フィンテック勢が銀行免許を獲得して大いに活躍した。オンラインに特化している分効率よくわかりやすいサイトを作成し、多くのユーザーを獲得した。今回の第2弾もルールが変わったためローン申し込みウエブサイトも変更の必要があり大手銀行は再びモタモタしてしまったが、フィンテック勢は速やかに専用ウエブサイトを開設した。これにより恐らくまた多くの顧客を大手銀行から奪ったのではないだろうか。

弊社の顧問先も全て、無事Paypal経由でPPPローンの申し込みを完了したが今後どのような手続きでローンの免除手続きを行う事になるのかが気になるところだ。


翌日審査完了でスピード融資
ポチッた翌日、融資審査が通ったという通知と共に融資契約書がメールで送られてきた。オファーされた融資上限金額がそのまま銀行に振り込まれ、それが元本になるようだ。となると先に受け取ったアドバンスは融資金額に含まれない事になる。やはりあれは本当にただ補助してくれただけだったのだろうか。。金利の3.75%は安くはないが、アメリカで普通に融資を受けようとすると4%~6%の金利がかかる。そう考えると、今後の不測の事態に備えて借りておいた方がいいかもしれないと思い、そのままこの融資を受ける事にした。

返済は12ヶ月後からスタートする事になっているが、どこにどうやって返済するのかもまだ明らかにされていない。きっと何らかの返済システムを準備して12ヶ月以内には明示されるのだろう。準備が整う前にどんどん始めてしまうあたりが実にアメリカらしいと感じた一件であった。
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ローンを受けた大企業は連日次々と判明し、新聞等で大バッシングを受けた。このバッシングによりLAレイカーズなど多くの企業が政府にローンをすぐさま返金するという事も起きた。しかしマスコミに嗅ぎつけられていない大企業は未だ多く、恐らくバレるまでは返金しないというスタンスを取るのだろう。
第2ラウンドスタート

4月27日に第2ラウンドのローン受付がスタート。今度の予算は$250B。前回より少ない。今回は大企業が申し込みしにくい世論環境が整ったが、それでも一瞬で無くなってしまう気配は濃厚だ。メガバンクのローン申請システムは未だにフリーズ状態でカクカク言っている。埒が明かない。そこで私は新興勢に目をつけた。Paypalだ。私が取締役をしている企業の殆どはメガバンク経由での申請で立ち往生していたためPaypalでのローン申請に切り替えた。今回の件でパンク状態となってしまった金融機関を補完すべく、政府はPaypalなどの新興フィンテック勢にも銀行免許を急遽発行したのだ。『新興のPaypalであればまだパンクしていないはず』という目論はみごとに当たり、トントンとプロセスが進む。結果ローン申請は3日ほどで完了し、後は政府からの返答待ちという状態となった。$250Bに潜り込めたかどうかはあと数日後にわかるだろう。

もし潜り込めたら2ヶ月間は今の人員を維持できる。しかしダメだったら更なるリストラを決行する必要が出てくるかもしれない。全てはロックダウンがいつ終わり経済が正常に戻るかにかかっている。ピリピリした春になりそうだ。

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